ガリフレイ香文の書き方
お題:クララ
どんな時間でもあなたを助ける、それが私の役目
注意:当記事にはドクター・フーのいくつかのエピソードにおける重大なネタバレが含まれております。ご了承ください。
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前回の続編である。
「ガリフレイ香文って何???」という諸氏においては上の記事を読んでから改めて戻ってきていただきたい。
前回は香文の概要やルールについて説明したが、今回はどのようにして作れば良いか、という点に焦点を当てようと思う。
と言っても自分で作る時の思考の流れを書き記すだけだが。もっとスマートなやり方や個々人の手になじむ方法はあると思うので、あくまでも参考程度に読んでほしい。
早速本題に入るが、筆者が香文を作る際のフローは以下の通りである。
①お題を考える
②お題から想起されるシーンを考える
③想起されたシーンを見返す
④見返しながら思いついたフレーズを書き出す
⑤フレーズに合わせて言葉(時語含む)を加える
⑥25文字になるように言い回しを調整する
⑦完成
順を追って説明する。
①お題を考える
ここは香文の骨子になる部分のため、真っ先に固めなければならない部分である。
幸いなことに昨今では「ワンドロライ」なる企画があるためお題に困ることはあまりない。
最近は専ら上記のように提示されたお題の中からピンときたものを選択して作っている。人物名だけでなく普通名詞や動詞が選択肢に上がっているため思考の自由度を高められる点で非常に重宝している。
②お題から想起されるシーンを考える
ここで語れるものはあまりない。その日のひらめきに依存してしまうため、論理的な説明がうまくできないのである。
シーンが中々思いつかないこともあるため、筆者は①と②を同時並行で行うことでカバーしようとしている。
お題やエピソード一覧などとにらめっこしながら特定の場面が浮かび上がったら次のフェーズへ進む。もちろんインプット対象としてオーディオや二次絵など他のものも対象に入れるとより良くなると思う。
筆者のひらめきの内容に関しては後述の自作解説を通して読み取っていただきたい。
③想起されたシーンを見返す
基本的に本編の特定のシーンが想起されるので、そのシーンの前後を見返しながらシチュエーションや登場人物のイメージを膨らませる。
④見返しながら思いついたフレーズを書き出す
③と並行して思いついたワンフレーズを書き出すことで、香文に落とし込む素地を作り始める。ここもひらめき依存のためどうしても的確な説明ができない。「ひらめき」部分をうまく言語化できるようになれば説明の説得力も大幅に向上すると思うのだが、今後の課題としたい。
⑤フレーズに合わせて言葉(時語含む)を加える
フレーズに肉付けをするフェーズ。筆者はまず時語から考えるようにしている。シーンに合う単語は限られてくるため、フレーズと併せて大きな骨子として利用できる。
あとは骨子に合うように言葉を繋げていくだけだが、この際に「日本語のリズムとして自然であること」を意識して作ることを意識するようにしている。本質的には日本語の詩であることと、25=(7+5)*2 +1という文字数より、七五調ベースで考えると大幅な文字数オーバーや文字数不足には陥りにくくなると考えている。
これは余談であるが、七五調のリズムの参考になる動画投稿者を紹介する。合う人は一握りかもしれないが、ハイレベルな作りこみとなっているため一見の価値はあるだろう。手書きのイラストの可愛さも魅力。
⑥25文字になるように言い回しを調整する
一通り作れたところで細部の調整を入れて文字数を合わせる。
ここは書く経験を増やすことで調整いらずで完成させられることもある。
語感を意識しながら作ることが秘訣だと思う。
⑦完成
ここまでできれば完成です。お疲れ様でした。
筆者の場合ここまでの所要時間はおおよそ20~30分程度といったところか。
慣れてきたことで少しずつ所要時間が短くなっているような気もする。
いかがだっただろうか。
冒頭に書いた通り、独学のノウハウのため最適解でない可能性も充分にあり得る。しっかり調べられていないが、俳句や短歌のノウハウを応用することはできるのではないかと思っている。
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ここからは、今まで作った香文を振り返りながら「ひらめき」の中身を伝えられればと思う。自分自身パターンを包括しきれていないが、何かの参考になれば幸いである。
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①お題:瞬き・立ち止まる
瞬く者に明日はなく、立ち止まらせること能わず
→モチーフは嘆きの天使。珍しく特定のエピソードに依拠しないつくりになっている。なんとなく伝承のような言い回しになるように考えていった覚えがある。
②お題:故郷
過去も故郷も明かさない、けれども家族の一員
→モチーフはS12コンパニオンから見た13代目ドクター。
家族でも知らないことはあるし、逆に知らないことがあるからといって家族になれないわけでもないよね、という想いが浮かんできた結果として完成した作品。
③お題:リヴァー
最初は殺意、今は愛─その瞳に宿る想い
→リヴァーの登場するエピソード全般がモチーフであるが、特にS6EP7「ドクターの戦争」およびEP8「ヒトラーを殺そう!」が核心部分にある。
上の作品含め、この時期はエピソード単体よりも世界観全般を包括するように考える癖があったようだ。
④お題:買い物
どんな時間や場所であれ、ご入り用にはお任せを!
→S11EP7「謎の差出人」がモチーフ。冒頭の配達シーンをベースにカブラムのキャッチコピーを書くつもりで考えた。
①②にも共通するが、読点を挟んで13文字-12文字/12文字-13文字の構成はリズム的にかなりバランスが良いように見える。
⑤お題:計算
二度とないこの計算リソースを得られるチャンスよ
→S7EP12「銀色の悪夢」がモチーフ。計算といえばサイバーマンのイメージが強く、その中でもドクターに直接知恵比べで挑んだサイバープランナーが最初に想起された。EPを再視聴する中で人間臭さを感じたため、打算的な雰囲気を表現したかった。
⑥お題:集める
どんな時代のどんなものでも奪えば手に入るのだ
→S12EP4「ニコラ・テスラと恐怖の夜」がモチーフ。収集するエイリアンとして第一感で浮かんだのがスキスラだった。「時代」に関してはタイムトラベルできるかどうかの言及がないため正直グレーだと思うが、骨董品的な物も宇宙船内にはあるだろうからギリギリセーフという解釈にしている。
⑦お題:切り札
行使する最後の切り札 その代償は──永遠
→50周年SP「ドクターの日」がモチーフ。タイムウォーの切り札たりえるモメントが最初に浮かび上がり、ウォードクターとバッドウルフたるモメントとのやり取りから産み落とした。
⑤⑥⑦あたりはフレーバーテキストとして使えそうなフレーズにすることを意識して作った記憶がある。端的に印象づける、という意味でキャッチコピーやフレーバーテキストを参考にするのもベースのインプットとして良いかもしれない。
⑧お題:クララ
どんな時間でもあなたを助ける、それが私の役目
→S7EP13「ドクターの名前」がモチーフ。クララと言えば「あり得ない存在」という肩書きが印象的。その伏線がすべて回収されるこのEPこそクララの立ち位置のターニングポイントだということで最初に想起されたのだと思う。
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自作解説であった。作るときは個別だがまとめて振り返ると一定の傾向が見えてくる、というのはなかなかに面白いなと思った。
前回とは趣向を変えて構成的な観点から考察を進めたが、やはりこちらの方が性に合うなと思った。
最後に、冒頭で紹介したアカウント主催のイベントがGWに開かれるようである。
文字でも参加できる上に人気作品の投稿者には景品もあるとのこと。
香文はかなりライトに作れる形式のため、今まで参加してこなかった方もこの機会に挑戦してみるのはいかがだろうか。