「Song for Me」「宙を眺めてはひとり旅」感想文
本記事ではサークル「オールトの雲」様の頒布作品「Song for Me」「宙を眺めてはひとり旅」の感想を残す。
なんと匿名配送にも対応している。個人的には非常にありがたい限りであった。
「Song for Me」は完全新規作品、「宙を眺めてはひとり旅」は作者様がWeb公開されていた作品集である。
予備知識はここまで。いざ、感想へ。
ネタばれはしないように頑張ろう。
まずは「Song for me」から。
時系列としてはS12最終話~New Year's specialまでの間の出来事である。
ドクターが収監されている最中にリヴァーと出会うお話。
「そう来たかーーーーーーそう来るよねーーーーー」
これが第一感である。
「13代目ドクター」と「リヴァー・ソング」の邂逅を書く際の制約として、「リヴァーはドクターを認知できない」という点が挙げられる。厳密な時系列で言えば問題ないのだが、その前提に立っておいた方がややこしい問題が起きにくいだろう。
本作のドクターも同様の認識だったようで、それでいてそこに踏み込まない理由の理解が読み手(=私)よりも一段深かった。脱帽。感服。
その他にも監獄内でドクターが思想に耽る様子の描写が自然でこれは普段からやってることなのだろうなと思わされた。
※余談であるが、本作品を読了した数時間後に個人輸入で購入したNew Year's Secial本編のDVDが届いた。順番が逆でなくて良かったと思うと同時に、本編を観終わった後にこの幕間は存在しえたものだとも思ったことを付記する。
「宙を眺めてはひとり旅」は短編集である。様々な代のドクターとコンパニオンのやり取りが、時にシリアスに、時にコミカルに描かれている。
本当は一つ一つにフォーカスして書くべきなのだろうが、いずれの作品も読後の後味が心地よいという総括で終わらせる非礼をお許しいただきたい。
前にも書いたが以下の作品のインスピレーションはこの短編集の中の一遍からいただいたものであり、この場を借りて改めて感謝申し上げます。
詫びと感謝を同時に述べているのはあまりに情緒不安定が過ぎる気もするが、他に入れる場所もないのでやむなしということにしたい。どちらもまごうことなき本心なので。
数年ぶりに実体のある小説を購入した。
装丁へのこだわり具合に思わず舌を巻くと共に、アナログならではの良さを感じることができた。作者様の想いが伝わってきた。
データで済ませることで特に問題ないからこそ、手元に残るものの愛おしさもひとしおであるなと身をもって理解したため、今後も興味の沸いたものは積極的に収集していきたいと思う。コンテンツの消費が早くその場で手に入れなかったものを後から入手するのが難しい時代でもあるしね。