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日本の雇用の歴史について

①第二次世界大戦前(~1945年)

実は日本では、第二次世界大戦前まで転職は活発に行われていました。

時代背景もありますが、労働者は、賃金が少しでも高いところに転職するのが当たり前で、1年間における転職率100%という時代もありました。

②戦後(1945年~1950年)

日本の労働市場は戦時中に空洞化していましたが、大量の退役軍人達が労働市場に流れ込み、人材過剰となり雇用は混乱状態に陥りました。

これを沈静化するためにできたのが職業安定所(現ハローワーク)です。

実はこの時、民間の職業紹介は職業安定所の登場により廃止され、雇用はすべて国が管理・統制するようになりました。

その結果、1人1社主義に基づいて国と学校が協力して学生に就職斡旋をする方式が取られ、新卒一括採用という制度が生まれました。

(※ここでの新卒は中学卒の集団就職を指します。)

③高度経済成長期(1955年~1973年)

国民の経済力が高まり、高校への進学率が急増しました。高校生以上の学生の就職斡旋は、国ではなく学校側が中心となり行っておりました。当時の日本は就農人口も多く、自営業率も高く、新卒者は「家業を継ぐ」「職人に弟子入りする」「企業へ就職する」といった多くの選択肢が身近にありました。

世の中で高卒が主流になるなかで、中卒の集団就職斡旋を中心に行ってきた職業安定所の役目は薄まり転職者斡旋へと役割を変えていきました。

つまり、新卒は学校側が斡旋し、転職の際には、職業安定所が斡旋するという構図が出来ました。

経済の発展と共に物価が高騰し続けたために、毎年労働者の賃金も引き上げられるようになりました。そこで勤続年数に応じて労働者を昇給・昇進させる年功序列制度が確立されます。

この時代年配労働者が少なく55歳以上の労働者の割合は14.6%でした。

そしてその67%以上が自営業で占めていました。

つまり、企業務めで55歳以上の労働者はかなり少なかったのです。こうした背景から年功序列制度が成り立っていたと言えるのです。

④バブル期(1980年~1991年)

日本が好景気のバブルに沸く中、人手不足で企業が新卒を優遇する傾向は一層高まりました。この時代から学校からの斡旋を受けずとも、企業から売り込みに応じるという形で簡単に就職ができるようになりました。

⑤バブル崩壊後(1991年~2001年)

経済成長に伴って、新卒主義や年功序列が機能してきましたが、景気が後退すると、その仕組みは一気に限界を迎えることになります。
大量に雇用した社員が年を重ね人件費の高騰を招く結果となり、不況に突入していく中での人件費高騰問題を解消するためには、中高年のリストラ、高卒者の採用削減という結果をもらたしました。
また、高卒の就職が厳しくなる中、大学進学者が増え、「石を投げれば学士にあたる」とも揶揄されました。
大学進学者が増え、卒業者も増えました。しかしここで問題が発生します。実は、企業側の大卒者への求人数は増えておらず、就職率が下がる結果となります。

企業は人件費の削減のためや派遣事業の規制緩和から、派遣社員などの非正規雇用を活用するようになり、あぶれた若者や高齢者や女性を中心に非正規雇用が増えていきました。

就職氷河期を被った、あぶれた若者、リストラ高齢者、女性の多くは戦後に作られたシステム「新卒至上主義」を企業が廃止しないため、その後もいい職にありつくことが出来ず、失われた世代「ロストジェネレーション」と呼ばれます。

⑥その後(2001年~現在)

大震災、リーマンショックとバブル崩壊後、追い打ちをかけるように様々な事件が起こり、日本の景気は落ち込み続けました。

2013年第二次安倍内閣において、一連の経済対策(アベノミクス)が発表され、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の『三本の矢』を経済成長を目的とした政策運営の柱に掲げ日本再興戦略として進められている。

確かに、株価は1万円台~2万円台に上昇し、離職率や就職率も改善され雇用環境も売り手市場に戻るなど一手の成果は見られたがサラリーマンの所得は増えていません。

⑦これからの時代

日本の雇用の歴史を振り返ることで、社会構造の変化に対して、雇用システムの根本が変化に対応することが出来ていないことが明らかになりました。

いい大学を出て、いい会社に入って、生涯安泰に暮らしていくというのは実は夢物語で、ドラマの中の話のようにも聞こえます。
新卒一括採用、終身雇用、生活を保障してくれる優良企業、これらは全て「一時の夢でした」程度に考えるのがちょうどいいのではないでしょうか。

会社はあなたの人生を担保してくれません。
日本政府もあなたの人生を守ってはくれません。
自分自身を守るためにも考え主体的に行動を起こしていくことが求められる時代です。雇用されている状態で豊かな人生を送ることは、ますます難しくなっていきます。雇用されるという状態のまま、何も行動を起こさない人はいざという時に全てを失うというリスクが常に付きまとうことになります。

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