気がついた時にはサッカー選手だった。
詩人はふりをするものだ
そのふりは完璧すぎて
本当に感じている
苦痛のふりまでしてしまう
ーフェルナンド・ペソアー
とあるサッカー場。大学サッカーの試合をスタンドに座って観戦している。
「正直戸惑ってる。いつまでもプレーヤーだと思ってたけど、いざ辞めてみれば案外サッカーが他人事に思える。」
「もうずいぶん前から変わらないさ。とにかくそんなことは考えても仕方がないってことだ。」
「けど、お前はこれからもサッカー続けるじゃないか。」
「サッカーなんてかなり前からやってないよ。ただ俺はどう生きるべきかがわかったって話。」
「やり直せたらって思うよ。問題はどこからやり直すかだ。」
「画家が絵を描きなおすだろ。でも、何度やったって同じことなんだよ。どんなプレーをしたいとか、どんなプレーヤーになりたいとかそんなことは意味がないんだから。」
「俺には才能がなかったって言いたいんだろ。そんなことはずっとわかってたし、だったらできるようになるまで頑張るしかないじゃないか。」
「お前はサッカーが好きすぎるんだ。今みたいに他人事でいるべきだったんだ。いいか、ただサッカーをサッカーとして見るんだ。」
「どんなに頭を使ったって、俺には今あの7番が出したみたいなパスは出せないね。」
「うまくやろうとしたってだめなんだ。世界は変わらないさ。頭で考えるんじゃなく、ただ目に見えたものをその通りにする。受け入れるんだよ。」
「プレーするなら自分が世界を変えるって信じなきゃ。生きるってそういうことだろ。」
「答えを求めるなって。俺らには想像もできないレベルで物事は進んでるんだ。俺らは自分たちがとても頭が良くて、自分の人生を生きてるって思ってる。でも実際はこの頭には数字しか詰まってない、宇宙が始まったときから決まってる。残るのは感覚だけだ。」
「じゃあ俺たちはどうする。」
「この試合を見てから決めよう。」
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スペイン1部でプロサッカー選手になることを目指してます。
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