うつ病歴10年以上の私が自死について思うこと
最近芸能人の自死についてのニュースを見た。大変ショックであった。
その際に自身の経験を思い出した。それは10年以上前にうつ病を発症し、重症化した時のことだ。
当時は常に不安で心が揺れ、生きるのが辛いと毎日泣いていた。そのため学校にも登校することができず、食べ物も美味しく感じられず、身体は五体満足であるのに寝たきりの生活を送っていた。
そんな状態のなか、私は常に希死念慮があった。今思えば、それは病気がそうさせていたのであって、"本当"に自分がそれを望んでいるのかはわからない。もはや行動を起こす余力があったかも不明である。
しかし当時の私は常に死を望んでいた。
そんな私が自死を踏みとどまらせた出来事が2つある。
1つ目は母に「もう毎日辛くて死にたい」と相談していた時のことだ。
母は私がそう訴える度に「うん。うん。辛いね」と話を聞いてくれていた。そして決まって「でも私はあなたがいなくなるとすごく寂しい」と涙をにじませながら伝えてくれた。
その時私は、希死念慮に駆られながらも「母親を悲しませちゃダメだ」と心の奥底に感じることができた。
2つ目はテレビを見ていた時のこと。ある芸能人の方が、自死を考えた際に、友人に相談して自死を踏み止まったエピソードが語られていた。
「電車に飛び込もうと思う」とその芸能人が話したところ、友人から「それすごく痛いらしいよ」と言われたそうだ。その一言で「痛いのか…それは嫌だな」と思えたらしい。
私もそのエピソードを聞いて、なんか死にたいなと思った時、「でも痛いんだよな」となぜか冷静になれた。
以上のことにより、私は自死を留まることができた。
そして10年以上が経った。現在私は治療のおかげもあって、波はあるものの安定していて社会生活も送れている。そして10年前には考えられなかったが、ケーキを食べて美味しいと感じたり、友達と話していて心から笑えるなど、日常のふとしたことに幸せを感じられている。(もちろん辛くて会社に行きたくないことも多々ある)
私がこうして生活できているのは、辛い時にテレビで自死を留まる人のエピソードを聞けたり、支えてくれる人がいたからである。大変恵まれていると感じるし、そうではない人もたくさんいるだろう。
しかし、私の経験が今苦しんでいる誰かの行動を考え直す一助になれば幸いである。
自死で亡くなられた方に対して、ご冥福をお祈りします。
# あくまでもこれは私の個人的な経験を記載したものであり、自死を望む方々の考えに必ずしも一致しません。価値観の押しつけのように感じたら申し訳ありません。