噂とは
「検証されていない発展途中の情報の共有と他者の見解の収集を通じて不確実性を管理する手段」。
ハイジ・J・ラーソン著『ワクチンの噂』を評した内田麻理香がこの部分を引用していた。(毎日新聞)
噂を肯定的に捉えるとこうなるらしい。今まで噂をこれほど積極的に考えたことはなかったので新鮮に思えた。
週刊誌記者や編集者も喜ぶかもしれない。週刊誌が大手メディアでは書けないことを大胆に書くこともあるのは知っていた。また、噂やフィクションという形をとって真実を伝えることがあるのは知っていたが。
評者の内田はさらにこう書いている。
「ワクチンに対する不安を表明しただけで、医療者に『無知』と片付けられたものは、自尊心が傷つけられ、ワクチンに対する抵抗感や反発が生じる。本書では神学者・倫理学者のスティーブン・パティソンの『科学者は、恐怖心や懸念を無知と決めつけ、中途半端に<合理的>な理由で論破することがないように』という言葉が引用されている。恐怖や不安に対し必要なのは、意見ではなく共感である。」
短い書評ながら、なるほどなと、教えられることがあった。そのうち、本書を覗いてみよう。
この記事の隣にあった三浦清宏著『運命の謎 小島信夫と私』の堀江敏幸評も面白かった。(今日の毎日新聞書評欄)