中村彝の「洲崎義郎の肖像」、左手の描写
標記の作について、私はかつてレンブラントの「ヤン・シックスの肖像」との関連を指摘したことがある。
何れも画家の友人を描いた作品であり(モデルが二人とも市長になったのは、偶然の一致だろうが)、モデルの白い襟元、外套を肩に掛けて、片手だけ手袋をしている表現が、これらの作品に共通しているというのが、注目されたからだ。(※西洋の肖像画において片手だけ手袋をしている表現は、探そうと思えば、いくつかの例を探し出せるが、当時、彝が持っていた画集やカタログ・レゾネなどからは、レンブラント