理系猫凛

理系の猫です。植物バイオが主戦場ですChloroQuest(http://chloroquest.com) の中の人をやらせていただいてます。 博士(農学)。BRZ Sti sportsとレブル250乗り。VTuber界隈を楽しく放浪。雑食ゲーマー。飛行機と車のシムが特に好き。

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最近の記事

新品種の一歩手前。強みを活かした混植は農業開発スピードを加速する。

複数の品種を同じフィールドで栽培する「混植」の可能性を示してくれる興味深い研究が報告されました。今回は混植の可能性について、お話したいと思います。 https://www.nature.com/articles/s41467-024-52374-7 混植の可能性複数の植物種や品種を同じフィールドに植える「混植」は、さまざまな恩恵をもたらします。これは有史以前から使われてきた技術ですが、近年再び注目を集めています。 混植の異種間の例としては、トウモロコシ、マメ、カボチャを同時

    • 2024年の小麦育種最前線:次世代品種と規制の新たな展望

      2020年、トランスジェニック(遺伝子組換え)小麦である「HB4」がアルゼンチンで初めて商業栽培が許可されました。これは小麦遺伝子改良における歴史的な出来事でした。「HB4」は干ばつに耐えられる品種で、農業における気候変動への対策としてとても重要です。これまで、トウモロコシや大豆など他の作物に比べ、小麦は遺伝子改良の進展が遅れていました。しかし、2020年の承認によって、小麦改良の技術がより現実的なものとなり、今後の展開に期待が高まっています。これまでの遺伝子改良の取り組みと

      • 莢が開かないダイズを求めて。ダイズの開裂遺伝子の探索は続く。

        ダイズは世界で重要な作物です。ダイズ食品が食卓に並ばない日は無いと言っても過言ではないでしょう。このダイズの収量を左右する課題の1つに「莢の開裂」があります。簡単に言うと、乾燥時の種の飛び散りやすさです。ダイズが飛び散りが減ると、収量が減らず、収穫が楽になるため安定した生産性を担保できます。この性質を左右する遺伝子の最新研究が報告されていました。 ダイズの莢の開裂問題とその重要性ダイズは、世界中で重要な作物の一つであり、その生産量と品質は、食料供給や農業経済に大きな影響を与

        • ナノテクノロジーが変える農業(2024)

          「ナノテクノロジー」を耳にする頻度が増えたように感じます。わたしたちの生活に多くのブレイクスルーをもたらす技術として、日夜研究が進んでいます。では、農業分野のでナノテクの活用はどうなっているのか、レビューを読んでみました。 ナノテクノロジーの農業への導入ナノテクノロジーを農業に適用することで、新しい可能性が見えてきます。ナノ粒子(NPs)は、高い表面積と、特異な物理化学的特性により、従来の農業技術を大幅に向上させる可能性があります。これまでの農業では、肥料や農薬の大量使用が

          植物の「抵抗性」とは何か

          植物が病気や害虫に強いことを「抵抗性が強い」と表現します。この「抵抗性」は単一の機能ではなく、化学物質を合成したり、組織や表面の形を変えたりと、さまざまな機能が組み合わされています。どんな病気や害虫にも効果のある万能な抵抗性は存在しません。例えば、菌やウイルスによる病気に強いからといって、虫がつきにくいわけではありません。植物は、動けないからこそ多様な対策を講じて病気や害虫に対応しています。 植物の「抵抗性」は、植物を害そうとする敵それぞれに特化した武器であるため、時には的を

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          トゲを作る重要な遺伝子を発見!トゲ無しのバラも作れるかもしれない

          「美しいバラにも棘がある」「茨の道」など、トゲと植物の縁は深いものです。そんなトゲを制御する遺伝子が特定され始めています。しかも、1つの植物種属内だけでなく、多数の種属で同様の遺伝子が特定されました。 植物の「トゲ」は、自然界では必要。でも園芸では不要。トゲのある植物をいくつ知っていますか?バラやアザミなどの花が一般的でしょうか。サボテンやアロエなどの多肉植物にもトゲがありますね。野菜では、トマトは茎にトゲがあり、きゅうりは実にトゲがあります。気を抜くと刺さります。 自然界

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          “Alternative Protein”代替タンパク質の2024時点でのレビュー

          代替タンパク質の未来:持続可能な食糧供給への挑戦2050年までに世界の人口が97億人に達することが予想され、全ての人に十分な栄養を提供するための食料生産が課題となっています。特に、タンパク質の需要が増加して、従来の家畜からの供給だけでは対応が難しいと懸念されています。また、家畜生産は温室効果ガスの重要な発生源であり(牛のゲップとか、糞尿の腐敗ガスとか)、気候変動への影響も指摘されています。これに対応するため、Alternative Protein(AP、代替タンパク質)が注目

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          人工繊維の開発。木材から綿に代わるセルロース繊維を合成できるとしたら。

          綿と同等の機能を持つ「人工繊維」はまだない綿は古くから使用されている優れた繊維です。化学繊維の発展が進んでいますが、綿の特性に近い繊維はまだ作られていません。綿の生産は1次産業で行われていますが、人手不足や環境負荷の観点から、今後の需要に対して生産量が確保できるかは未知数です。 そこで、綿と同じ「セルロース」をベースとした人工繊維の研究が進んでいます。綿の構造を模倣した多層構造の人工繊維が開発されていますが、工程が複雑で量産化が難しいこと、また機能が綿に劣ることが課題でした。

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          ゴミじゃない!ヘーゼルナッツの種皮は利用価値がありそう。

          ヘーゼルナッツの種皮は廃棄物だったヘーゼルナッツ、美味しいですよね。お菓子として親しまれているヘーゼルナッツは、カバノキ科ハシバミ属の植物です。硬い種皮に覆われている様子はどんぐりに似ていますが、ブナ科ではありません。食用にする際には、この硬い種皮を取り除きます。毎年100万トンに達するこの種皮は、現在、具体的な二次利用がほとんど行われていないのが現状です。 一部の種皮は食用に転用されています。例えば、ヨーグルトやお菓子、パスタなどに混ぜ込まれ、機能性を高めるために利用されて

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