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組織のためのデザイン経営
こんにちは。
福岡のデザインファーム gaz, Inc. でSTUDIOgatherというサービスの事業部長をしています、弘松リク(@rikchaso121)です。
先日マネーフォワードさんの「マネーフォワードがデザインを経営に取り入れる理由」という記事を読んで、今一度デザイン経営について考える機会になったので、その内容をまとめていきたいと思います。
デザイン経営について、これまでの私の認識
私がデザイン経営を初めて認識したのはデザイナーになりたてのころ、弊社代表のヤスさんに読んでおくように言われた「デザイン経営宣言」です。
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2018年に発表されたデザイン経営宣言では、デザイン経営の効果として「ブランド⼒向上」と「イノベーション⼒向上」という文脈が大きく取り上げられ、例としてダイソンやアップルといった企業があげられています。
また、デザイン経営宣言では「デザイン経営の定義」として
経営チームにデザイン責任者がいること
事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること
の2つをあげています。
私は当時この宣言を見て、顧客やユーザーのインサイトを見出しプロダクトを届けるためには戦略の最上流からデザインが関与する必要があり、そのために経営チームにデザイン責任者が必要なんだな、という理解をしていました。
顧客のためだけではなく、組織のためにデザイン経営をする重要性
デザイン経営はプロダクトのブランド力やイノベーションの向上のためのもの、という認識でデザイン経営を理解していた私ですが、マネーフォワードさんの「マネーフォワードがデザインを経営に取り入れる理由」の記事を読んで衝撃を受けました。
この記事ではデザイン経営やデザイン思考について話しているのに、
デザインを使って社内にカルチャーをどう浸透させたか
代表が思い描く頭の中をどうデザインで可視化しメンバーに伝わるようにしたか
のような、社内メンバーに経営戦略やカルチャー・マインドセットの本質を伝えるためにデザインを使おうね、という事例があげられていました。
そりゃそうだ、と思う方も多いと思うのですが、私としては「それって普通どこの会社でもやってるんじゃないの!?」という衝撃だったのです。
どういうことかというと、弊社gazはデザインファームなので、経営戦略やカルチャー・マインドセットを社内に浸透させようと思った時にデザインを用いるのは普通なんですね。
何か新しい制度を施行するとなったら概念図をデザインするし、
![](https://assets.st-note.com/img/1670960345877-GUUvgpqpX0.png?width=1200)
バリュー(行動指針)アップデートしたらポスターを作るし、
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毎月ある全社MTGでは、各事業の戦略・戦術の本質が伝わるスライドをデザインします。
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社内に伝えるためにそこまでやるの?
社員数が少ないときからそこまでするの?
と思うところもあると思いますが、メンバー個人個人が組織の課題やビジョン・ミッションを自分ごと化して自走するためにその本質を伝えたいので、デザインで本質を可視化する必要があるのです。
事実、積極的にデザインを経営に取り入れてるマネーフォワードさんは社内に戦略やカルチャー伝えるためにデザインを活用しています。
リーダーの右腕となるデザイナー
マネーフォワードさんのデザイン経営人材について、代表の辻さんとCDOのセルジオさんの対談記事で、それぞれの事業(カンパニー)ごとにCDOのようなポジションを立てて、事業責任者のメッセージもデザイナーが一緒に作るという形をとっているそうです。
セルジオ:そうなるとマネーフォワードは3事業部が存在するカンパニー制で、ボードメンバーの人数も多いから経営目線に触れる機会も、カンパニーごとにCDOのようなポジションの機会も沢山ありますからね。デザイン経営人材になるためのチャンスが豊富な気がします。
辻:全カンパニーにCDOがいてほしいですしね、切実に。それぞれの事業責任者のメッセージもデザイナーが一緒に作るっていう形にしてもいいですよね。
セルジオ:それは実際にいま一部進めています。ビジネスカンパニー(toB事業)の総会でお話する経営メッセージはカンパニートップの竹田さんとデザインマネージャーの横坂さんが伴走し、一緒に進めていますよ。
一般的に左脳派が多い経営者や事業責任者の右腕として、そのリーダーからのメッセージの本質を捉えてデザインで可視化し、メンバーに伝えられる右脳派のデザイナーがいる、というのは素晴らしい体制だなと思います。
左脳派のリーダーが言っていることは合理的だけれど、それでは人の心を揺さぶることができない。リーダーにはビジョンと戦略とパッションがあるのに、伝わらないからメンバーが共感できない。
そこの橋渡しにデザインが介入する必要があります。
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これが組織に向けてデザイン経営をすることの重要性だと再認識しました。
デザインファームの事業責任者だから見えなかったこと
以上のことはデザインファームの人間として当然理解しているべきことのようにも思えるのですが、私はこれまで本質的には理解できていませんでした。
というのも、私たちgazは全員がデザイナーなので当然事業責任者もデザイナーです。
なので、(内容の質は別として)左脳を使って事業戦略を練り、右脳を使って本質をデザインで可視化することまで一人で完結しているので、他社の体制のことを想像できていませんでした。
私はgazが1社目で、他企業の戦略や施策の社内共有を見たことがないのでメンバーにヒアリングしたところ、
戦略や施策の説明にしっかりデザインされた概念図などが使われるのは稀
基本テキストか表で表現されていた
というのを聞き、絶妙なニュアンスなどが伝わってない状態でビジネスが進んでいくのは当たり前のことなんだと認識しました。
そこに対してデザインファームとしてアプローチしていかなければ、という思いももちろんあります。
人間中心デザインの「人間」は、顧客やユーザーだけではない
「デザイン思考」「人間中心デザイン」というアプローチの先駆者であるIDEOさんが「私たちのアプローチと指針」というタイトルで打ち出しているページに、
「IDEOが『人間中心』と言うとき、それは必ずしも、顧客やユーザーだけを意味するわけではない。」
というのがあります。
「デザイン思考」は、プロセスや方法論として語られることもありますが、重要なのは「型」そのものではなく、これを実践する人、文化、マインドセットであると私たちは考えています。
IDEOが「人間中心」と言うとき、それは必ずしも、顧客やユーザーだけを意味するわけではありません。組織も個人も「正解のない課題」に向き合い、「今まだ存在しない価値をつくる」ことを求められる今の市場においては、作り手の主観も重要です。人の潜在的欲求について探り、そこで得たインサイトを自らの意志として、新たなモノ、コト、ビジネスをデザインしていくのです。
デザイン思考で重要なのは型ではなく、これを実践する人、文化、マインドセットであり、
人間中心デザインとしてアプローチする対象には組織や個人といった「作り手」も含まれているという考えだと思います。
つまり、顧客に提供するプロダクトにデザイン投資をすることはもちろん重要ですが、
それを提供する組織を形作る人、文化、マインドセットにデザインを浸透させることが土壌要件としてあるよね、ということです。
デザインの力で全員経営を実現する
gazは事業戦略やカルチャーの社内浸透のためにデザインを用いているので、事業責任者とメンバーの目線をフラットにすることができています。
そのおかげか、
ビジョン・ミッションを自分ごととして捉え、自走できる
組織の課題について自ら問いを立て、解決することができる
パッションが伝播し、高いコミットメントを発揮できる
といったメンバーが多く、それがgazのカルチャーになっています。
デザイン経営を実践しているからこそ醸成されたカルチャーを強みにしていくとともに、これを伝播していけるデザインファームにgazはなっていきたいですね!
参考
2021年に出た「デザイン経営ハンドブック」には、社内にデザインを浸透させていくことの重要性についても書いてあるのでぜひ目を通してみてください!
さいごに
gazに共感しコミットしてくれる方を各ポジションで積極採用中です!!!
デザイナー
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ぜひ採用サイトやTwitterなどご覧ください😊
この記事は、福岡のデザインファーム『gaz』によるgaz designers Advent Calendar 2022の14日目の記事です!
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