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FLAME

インクトーバー2022 5日目 お題は「火炎」

これまたずっと昔の話なんだけど。友だちの友だちの知り合い、っていうくらいの遠い希薄な関係性の男の子がいた。彼はいつも咳止めの薬を欲しがっていた。いま思えば、あれは薬物中毒的なアレだったのではないか。それなのに、わたしは「そんなに咳が出るのか」と同情していた。

その彼は生まれた時から生きとし生けるものの周りには光が見えると言っていた。「人によって色が違う」なるほど。わたしの同僚の女性は「キラキラしている金色。眩しい。こんな綺麗な金色の光の人は珍しい」と言われていた。わたしは?「うーん。どす青いっていうか…なんか紫っぽいっていうか」と言い方を選んでいるようだった。

その彼が言っていた。人だけでなく生きているもの、例えば魚や動物にも、植物にも、その光の球のようなものが常にあるんだ。そして、怒っている人は一目でわかる。なぜなら、「本当に怒髪天をつくという表現がぴったりなんだけど、怒っている人は炎のようにメラメラと光が立ち上がっているんだ」と言っていた。だから向こうから炎を上げてこっちに向かっている人を見つけたら、速攻で逃げるそうだ。

彼は今頃どうしているのか。メラメラと怒りの炎を頭上にいただいた人たちを避けながら、穏やかに暮らせているのだろうか。

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