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にこにこ

今日はフリースクールの始業式。昨日まで、ずっと気が重かった。不登校の子たちが春休み、どんな気持ちで過ごしていたのか。生活のパターンが昼夜逆転してはいないか。朝から登校するのが難しくなっていないだろうか。

中3男子が「おはようございます!」と元気に現れたとたん、わたしの気持ちは晴れてきた。体調が悪くても、忙しくても、とにかく笑顔で迎え入れなければ。「おはよう!久しぶりやね!元気だった?あ、髪の毛切ったんだね。お兄さんぽくなったじゃない!」そこまで一気に言うと、彼は照れながら、「ああ、はい。ええ、まあ、へへへ」と頭をかいた。「ちょっと勉強したくて、早めに来ました」と、彼は言って、タブレットを開いて、何かを書き始めた。

そうこうしていると、今度は中3女子がやってきた。「おはよーございまーす」花柄のロングワンピースを着て、ちょっとお姉さんぽくなっている。「おはよう!わあ、お姉さんぽくなってる。似合ってるね」とわちゃわちゃ話し始めたら、中3女子がもう一人やってきた。「おはよー!久しぶりだねえ!」と声をかけたら、普段から無口な彼女はにこにこ笑って、ペコリと頭を下げた。かわいいなあ。

春先とはいえ、陽射しは結構強い。眩しい光が部屋の中まで差し込んでくる。風が冷たい。ああ気分がいい。ステキだ。本当に幸せな気分になって、体調不良もどこかへすっ飛んで行った気がする。

3月末で前任の先生が辞めたので、4月からは新しい先生だ。前の先生よりも少し年上なので、みんながすぐに馴染むだろうかと冷や冷やしていたのだが、そこはベテラン先生。上手に会話を運び、あっという間に場が和んだ。みんなニコニコしている。

子どもたちの笑顔にこんなに力をもらうとは。こちらまで嬉しくなって、ニコニコしてしまう。いい気分だ。

とはいえ、夕方になれば、体は疲弊し切っていて、かなりしんどい。家に帰ってからも、掃除、洗濯、炊事が待っているのかと思うと気が重い。

とりあえず、帰り着いてから、わたしは全力で頑張った。するとオットが「昨日行けなかったから、今日行くか」と、くら寿司を予約してくれた。オットも機嫌が直りつつある。よかった。

登校二日目のムスメに「今日はどうだったの?友だちは出来そう?」と聞いたら「後ろの席のニコちゃんと結構仲良くなった。その隣の席の子もニコちゃんっていうんだよ。ニコニコちゃんだね、ってみんなで笑った」。

健康には笑顔がどれだけ大事なことかとしみじみ。笑えばなんとかなる気がしてきた。ちなみに、おそるおそるオットに「PTAの…」と話しかけたら、「あー、お前!また沈黙にたえられなかったな!?そうやって自ら関わっていくからダメなんだ!」と先回りして言われてしまった。なんでダメなんだよ。それじゃあまるで、PTAが悪の組織みたいじゃないか。でも、わたしは顔が笑っていた。人の役に立つことのどこが悪い。と腹の中で思いつつ「だってさー、先生がこれが決まらないと子どもたちの部屋に行けないって何度も言うからさー」と言い訳をした。「本当にプレッシャーに弱いな」とオットは呆れて笑っていた。つられてムスメも笑っていた。

もういいじゃないか。とにかく笑っていよう。わははははははは!



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