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「わたしの生活」と「環境危機」の関係をつなげる

環境危機への対策は、地球規模で取り組む大きなトピックスとしてますます重要度を上げています。例えば2015年に結ばれたパリ協定は、2020年以降の地球温暖化対策に向けて、世界の200カ国が「世界の平均気上昇を産業革命前と比較して、2℃より充分低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求すること」を目的として合意し成立しました。日本でも(色々と話題になりましたが)、2050年までにに温室効果ガスの排出量を実質0にする、カーボンニュートラル社会の実現を目指しています。しかし、日本の現状はゴミ焼却割合が諸外国と比べてとても高く、ゴミのリサイクル率はとても低いというデータがあります。

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地球温暖化や環境危機は話のスケールの大きくて抽象的・長期的な変化のため、わたしたちが「自分ごと」として捉えたり、目標実現のために何をアクションするのかを想像するのは難しいです。

そこで、わたしたちは自分でできる行動をを一つづつ小さく積み重ねていることで、「わたしの生活」と「環境危機」のつながりが想像できるようになり、少しづつ意識の持ち方や生活の見方が変わっていくことでしょう。

今回はリサイクルやコンポストなど、身近なゴミへの取り組みをきっかけにコミュニティに変化を生んだ事例を紹介します。

まちぐるみ全体で実践するゼロ・ウェイスト | 徳島県上勝町

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上勝町にあるゼロ・ウェイストセンター (画像引用

2003年初めて自治体としてゼロ・ウェイスト宣言を行った徳島県上勝町は、人口1500人程度の小さな町です。(SDGsが採択されたのが2015年でその10年も前です!)現在では、リサイクル率を80%を達成しています。

住民はまちに1つしかないごみステーションに家庭から出たゴミをじぶんで運び、45項目に分別しています。あなたの自治体でのゴミ出し方法を思い浮かばて貰えればと思うのですが、日本の多くの市町村では、もえるごみ・燃えないごみ・ビン、カン、ペットボトル・紙ごみ…くらいの分別することが多いのではないでしょうか。

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ゼロ・ウェイストセンターにある住民むけゴミステーション (画像引用

住民が自分で分別することで、リサイクル意識の醸成が行われていく上に、ごみ処理にかかるコストを削減することができます。

もともと行政主導で始まった取り組みでしたが、高齢者が多い上勝町では、高齢者だけで暮らしていてゴミを収集まで運ぶことのできない世帯のゴミ運搬を引き受けるために、住民有志がボランティアグループを立ち上げました。団体はゴミを運搬できる人が、運搬できない家庭に声をかけ、ついでにゴミを運ぶという仕組みを作り上げました。この活動が元となり2005年にはNPO法人が立ち上がり、現在ではゴミステーションの運用やゼロ・ウェイスト推進のための普及化する運動などを行っています。

NPOが運営するゴミステーションでは、ごみの分別を介して住民とスタッフ・住民同士のコミュニケーションが生まれ、「それならやってみようかな」と一見めんどくさいごみの分別を住民が継続して行うことにつながっています。現在は、町にサーキュラーエコノミーのプラットフォームを作るような取り組みも始めており、活動は国内外からますます注目され多くの視察者が訪れているそうです。

行政が始めた取り組みによって住民が立ち上がり、ごみの分別のアクションを重ねながら、自らの意識も少しづつ変わっていく。さらにその活動が少しづつ大きくなり、街全体のみんなで変化している素敵な事例の1つです。

Revoluçao dos Baldinhos(バケツの革命) | ブラジル・フロリアノポリス

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プロジェクトのボランティアが、学校の庭に堆肥を作り苗を植える共同作業に参加している (画像引用

発展途上の地域や貧民街では、適切な衛生状態に保つことを目的としてコミュニティコンポストが始まることもあります。

ブラジル・フロリアノポリスのコミュニティでは2008年ころ、街で適切に管理されていな生ゴミに集まるネズミが原因となる病気で亡くなる人がでてしまいました。「ネズミを駆除しても意味がない、ネズミの餌となるものを取り除かなければいけない」という専門家の助言のもと、地元のNGOに協力を仰ぎ、生ゴミの処理を注力して行いました。

プロジェクトは、住民にゴミを分別してリサイクルすることのメリットを十分に伝えることからはじまりました。生ゴミを適切に処理することが衛生面での安全を保ったり、集められ生ゴミから堆肥を生産・販売することで金銭を生み出せることなどを説明。当初、参加者は5人から始まり、現在では150家族が参加し、38の収集所でゴミを集めています。

各家庭に生ゴミ用のバケツを配り、生ゴミをバケツに分別してもらいます。そして、定期的に通りごとにいるボランティアの「生ゴミコーディネーター」が各家庭を訪れ生ゴミの回収を行う、という方法を取っています。

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家庭から集めたコンポストを運ぶボランティア (画像引用

プロジェクトは成功、当初は住民がすべてのゴミを屋外に出していて嫌な匂いが漂っていた地域が、衛生的に保たれるようになりました。

「家に行ってバケツを集めるときには、その人たちと話をして、日常生活で何が起こっているのかを知り、問題解決の手助けをしようとします」とコーディネーターの一人が語っています。衛生管理として始まったコンポストの運用は、住民の衛生観念を向上させたほか、コンポストの活動を媒体とした地域コミュニケーションのきっかけとしても機能しているようです。

「コミュニティーはコンポストによってエンパワーメントされた」と語っている、生ゴミコーディネーターKarolさんのインタビュー動画

おわりに

地域の住民と一緒に行うゴミやコンポストのプロジェクトを通じて、人々が顔を合わせるきっかけとなることでコミュニティを活性化せるトリガーとなったり、街全体の衛生状態を保つことにつながる事例を紹介しました。

どちらの事例も「環境危機」と言われるよりも、わたしたちの生活の近くにあるもので、自分の手を動かすことを通じてその先にある大きなものを考える契機となるでしょう。

今回は以下の問で終わろうと思います。

・「あなたの生活」と「環境危機」はどのように関係していますか?

今回のように行政×デザインの話題についてもし興味をもっていただけたら、本マガジンのフォローをお願いします。また、このようなコミュニティ活動の支援、その他なにかご一緒に模索していきたい行政・自治体関係者の方がいらっしゃいましたら、お気軽にTwitterDMまたはWEBサイトのコンタクトページよりご連絡ください。

一般社団法人公共とデザイン
https://publicanddesign.studio/

Reference

・BELIEVE EARTH - Bucket Revolution
・Visual Agroecology - Bucket Revolution
・IDEAS FOR GOOD - 【徳島特集 #3】「もう限界だった」なぜ上勝町はゼロ・ウェイストの町になれたのか
・ゼロ・ウェイストタウン・カミカツ

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