私がカイロプラクターになるまで(2) 〜出産後の、娘と私の問題〜
○ 出産直後に感じた娘の状態への違和感
超安産で無事出産を終え、ホッとしたのも束の間。
「ずっとこのお腹の中にいた我が子は、一体どんな姿をした子なのだろう?」
出産までの間白人の夫とのハーフなので、尚更、髪の色は?肌の色は?瞳の色は?と想像を巡らせていました。
もちろん、どんな姿形をしていても無条件に愛せるだろうという自信は抱きながら。
出産という大仕事を終え、力の抜けた私の体の上に我が子が運ばれてきました。
「そうかそうか、お腹の中で話してた子は、この子だったかぁ〜。」
あまりに日本人らしく、どこか拍子抜けしたような思いもありながら、やっとこの目で見られた喜び、触れられる喜びを感じます。
けれどもそんな出産直後から、娘の様子を見て、ある少しの違和感と不安を抱きました。
五体満足で皮膚の色も泣きも良く、きっと、普通の人なら気づかない。
でも、10年程、新生児や出産の現場で看護師として働いて、多くの赤ちゃんと関わってきた私には、当然のように気づく違和感。
それは、普通よりも「緊張が強い」ということでした。
「緊張が強い」というのは、精神状態だけのことを意味するのではなく。
ここでは、神経の興奮が過剰になることで、行動と精神、両方の落ち着きがなくなってしまう状態のことを言います。
私の娘は、病的という程ではないながら、普通よりも手足に力が入りやすく、泣き方も激しい。
そして、どことなく尖った顔つき。
そんな様子を見て私が真っ先に感じたのは、可愛いというよりも、「あれ、お腹の中で話していたのはこの子だったかな?」という戸惑いでした。
妊娠中、お腹の中にずっと感じてきた、あの穏やかな癒しエネルギーとは似ても似つかない気がしました。
少し休んだ後、体を起こして抱いてみても、まるで人の子を抱いているような、そんな気さえしてしまうのです。
出産直後から授乳時の吸いつきもいいし、手足の筋力もしっかりということで、助産師さんには沢山褒められた娘でしたが。
でも、このしっくりこない感じはなんなのか…。
緊張が少し強い様子から、「あぁこれは、これから始まる育児が、少し大変になるかもしれない。」と心の準備を始めたり。
「難産だったわけでもないのに、何が原因だろう。」と原因について考えを巡らせたりしながら、娘との生活が始まりました。
○ 入院中の娘の問題
出産当日は殆どの赤ちゃんが、お腹の外の世界に体が慣れるため、出産の疲れを癒すため、長く深く眠ります。
大体翌日頃から目覚めてくるので、そこからが勝負です。
私が最初からなんとなく予想していたことは、やはり的中しました。
先程も言いましたが、「緊張が強い」ということをごく簡単に言えば、「落ち着きがない」のです。
● すぐに泣き、一度泣き始めるとなかなか泣き止まない。泣き方もこれ以上強くは泣けないというくらい激しい。
● ごく短時間しか眠らない。
● 手足に力が入りやすい。
● 音や触れた刺激などに過剰に反応し、驚いたように体ビクッとすることが多い。
● なんとなくつり目で尖った顔つき。
● 授乳時、歯茎で噛んでくる。(母親には電気が走るような、かなりの痛みが走ります。)
そして、しばらくして気づいた1つの異常は、
● 仰向けの姿勢が保てない。
ということです。
いくら仰向けに寝かせてみても、支えをしない限り必ず右か左に、すぐにコロンと横向きになってしまうのです。
「ん!?何かがおかしい…。」
知識がある分、「この子はこのまま成長していって、学習や行動などで問題が出てきたりしないだろうか…。」なんて、早くも将来の心配までよぎります。
産後の体には休養が絶対に必要ですが、娘が落ち着かないため、殆ど休めません。
産後から数日殆ど眠る間もない中、絞りだされるような声と、怒るか叫ぶかのように泣き続ける娘とずっと一緒にいると、体も心も、疲労が蓄積していきます。
少し救いだったのは、隣に入院していた赤ちゃんが、娘以上に泣いていたので「うちだけではない」と思えたことと、ちょくちょく気にかけてくれる、助産師さん達の優しさでした。
でも、実は。
出産後の問題は、娘のことだけではなかったのです。
○ 1人目出産後と変わらない「不快性射乳反射」
実は私、妊娠中からずぅっと少し心配していたことがありました。
それは、1人目の産後から悩まされていた「不快性射乳反射」という、授乳に関わる問題です。
1人目の出産後、この問題にかなり悩まされ、精神的に追い込まれました。
初めての出産育児だとしても、身近に協力してくれる人が誰もいなかったとしても、この「不快性射乳反射」がなければ、あそこなで苦しくなることはなかったはずですが。
「不快性射乳反射」とは、赤ちゃんの授乳中に様々な不快な症状が起こることを言います。
看護師の時に自主的に学んでいた、母乳専門の講義では、発症率は確か1%にも全然満たないような、かなり稀な病気であったと思います。
もちろん、原因も明らかされていません。
実際、私が10年看護師として新生児や出産に関わってくる中でも、さらには20年以上の歴史をもつ助産所の助産師さん達さえも、「『不快性射乳反射』の患者さんは見たことがない」と言います。
時々、自分で調べたり聞いたりするうちに、その症状の内容や程度も人それぞれということがわかってきましたが、その中で他の人達と比較しても私の症状は誰よりも一番重度でした。
どんなことが起こるかを簡単に説明すると、こんなことです。
(本当の細かい詳細は、医療従事者や同じことで悩むお母さん向けに、後で別の記事にまとめる予定ですので、ここでは簡単に説明します。)
● 赤ちゃんが吸い付いた瞬間から、今にも吐きそうなくらいの吐き気がする。
● 赤ちゃんが吸い付くのと同じリズムで、頭の中心が、中からゴーンゴーンと殴られているような感覚がある。
●(これが一番辛かったのですが)吸いつかれた直後から気持ちが100%→突然0〜10%くらいに落ちる。(授乳中は時には死んでもいいかもというくらい、気持ちが極端に落ちてしまいます。でも、赤ちゃんが口を離した途端、今迄の気持ちが嘘か夢だったかのように、元に戻ります。)
1人目の出産の後の私は、こんな状態でした。
きっと育児をしてきた方でも、想像つかないですよね。
医療従事者でも、相当勉強家でなければ、殆どの人は知らない病気(?)だと思います。
2人目を産んだ後も、同じことになるのだろうか。
でも1人目の時と違って、乳腺などが一度発達しているから、大丈夫なんじゃないか…などと、淡い期待と少しの心配を抱えながらの妊娠生活でしたが。
結果、どうだったかと言うと。
1人目の時より症状は60−70%くらいに軽減はしていました。
軽減はしているものの、なくなったわけではなく、やはり殆ど苦痛としか感じられない授乳時間が、昼夜問わず1−2時間ごとにやってきます。
落ち着かない娘の状態と、授乳や寝られていないことによる心身の負担で、出産後4日目くらいには、次第に娘の存在が恐怖にさえ思えてくる瞬間が、時々起こるようになり、そんな自分にまた危機感を感じます。
そんな様子を察した助産師さん達が本当に親身になって寄り添ってくれたお陰で、私はなんとか体力と気力が限界に達する直前の、ギリギリの所を保つことができていましたが、やはりなかなか苦しかったです。
「このまま退院して、上の子の育児や家事も加わって、私も娘も大丈夫だろうか…。」
退院日が近づくと、そんな不安も。
そんな時、ふと思い出したカイロプラクティック。
そう言えば、妊娠中に施術を受けた場合、出産直後に助産所でも受けることになると聞いていました。
当時は、どのくらい意味や効果のあるものなのか、自分では分からないながらも、気分転換になるなら…そんな気持ちで施術を依頼したのです。
そこからが、ウルシ式カイロの本領発揮でした。
私と娘の人生を変えたと言っても過言ではない、まさに「奇跡」を、ウルシ式カイロがもたらしてくれることになったのです。
そしてそれが、私がカイロプラクティックの世界に足を踏み入れる、大きなきっかけとなったのです。
(つづく)
退院後間もなく、上の子(息子)と。育児は確かに簡単ではないですが、子ども達が幸せでいる姿を見ることが、いつも私の何よりの幸せとなっています。母でよかった。この子達が来てくれて、よかった。
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