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別に誰が悪いわけでもないけれど

昔から思ってることが山ほどある。


信号を渡るとき白線から落ちたら食べられちゃいそうだし

朝焼けと夕暮れは夏のじっくり日が落ちてく時のほうがきれいだし

夏とか冬よりは秋が好きだし

ドキドキする体験がなによりも好き

中性的な体にあこがれるし

電車の中で足を広げて座る人は品がないと思うし

女の子は門限があって夜中に出かけると危なくて、よく「女の子なんだから」っていわれてそんな言葉で済まされる注意がなんでいっぱいあるんだろうとずっとずっと疑問に思っている。


痴漢にあったことがある。
あんまりにビックリしたせいで怖いとか悲しいとかよりも腹が立って殴ってしまった。
母には「あんた女の子なんだから危ないでしょう」
と言われた。納得がいかなかった。

夜道を歩いて帰ったことがある。
先輩に「一人で帰るなんてあぶないじゃん。タクシー使って帰んなきゃダメでしょ」と言われた。
納得がいかなかった。

門限を守れなかったことがある。
親に「危ないから設定している門限をなぜまもれないんだ。男の子ならつけないけれど、女の子なんだから」と言われた。全然納得できなかった。

空き巣に遭遇したことがある。
私を見るとすぐ逃げたけど、怒鳴り散らしてある程度の距離まで追いかけた。誰にもなにも言わなかった。
だってまた「女の子なのに」と言われるから。



私は女の子の格好をすることが大好きだ。
女の子らしいミニスカートも、大人っぽさを演出してくれるロングスカートも、頬のシミを隠してくれるファンデーションから血色の悪さを隠してくれる口紅まで大好きだ。最高に愛してる。
そして世間では往々にして、「女の子のお化粧にはお金がかかる」なんていうテレビや雑誌の特集なんかでメイク用品の値段やら、毎月のコスメ、美容代なんかが取り沙汰されては「だから男はご飯を奢るべき」みたいな論争がTwitterなんかで起こってるのは記憶に新しい。
でも女の子のお金がかかるのって本当にお化粧品だけなの?と、そういった特集を見る度思う。

どうして綺麗になる為のお金は取り沙汰されて
どうして私たちの身を守るためのお金はなかなか可視化されないんだろう。
お化粧をする為のコスメ代や美容院代、エステの為のお金を面白おかしく揶揄するTwitterは沢山見るのに。身を守るためのお金の話はなかなか上がってきやしない。
女の子専門雑誌に上がっている特集はいつだって「プチプラメイク特集」だとか、「気になる男の子の落とし方」だ。(偏見を大いに含む)

一人暮らしにはお金がかかる。
大体家賃食費交通費諸々ざっと合わせて15万くらいだとしよう。駅から近い2階以上の建物で手軽な値段のものは少ない。値段を抑えようとすると徒歩10分以上の道を歩かなきゃならない。
仕事や遊びで遅くなって、夜もふけた道をじゃあ月に4回帰るとして、タクシーを使ったとする。
安く見積もってタクシー代を1000円としよう。
1000円×4回=4000円  1年なら
1000円×4回(月)×12ヶ月=48000円
この出費は出さないと何かあった時ほれみたことかと言われてしまう「女の子なのに危ないでしょ料」だ。誰も出してくれない。自腹を切るしかない。
こう言うと必ず「でも月4000円で命買えるなら安いじゃん!」という意見があると思う。
ちがうちがうちがうそうじゃない。
男の子は払わなくていいお金なんだ。
私たちは遊んだ後に、接待交通費のあとにかならず「女の子なのに危ないでしょ料」を払わなきゃいけない。払わないと待っているのはいつだってお説教だ。


私はまあ相当幸せだったんだろう。強姦にあうことも、山奥に捨てられることも、殺されそうになったことも無いんだから。
そういう事があって、それでも「女の子なのに危ないでしょ料」を払わないで、可愛いものに投資したいと思えた時、主張できた時、初めて女の子でいて良くなる気がする。


本当に?


女の子であることは諦めたくない一方で、じゃあ何を諦めたら良いのかをずっと考えたりしている。
「女の子なのに危ないでしょ料」なのか、接待交際費なのか、そもそも遊びに行かないとか。
ただでさえ、こんなにも情報が多い世の中で、気をつけなければいけないことと、それをしなければ叱責されるようなことで雁字搦めになってしまう、私が愛しているこの「女の子」という性別は、いつ許されるんだろうか。

つとつと考える。
48000円の行方。
もしもわたしが男の子だったら。
ブランドのTシャツが1枚買えるだろう。
友達と旅行に行くのもいいかもしれない。
美味しいご飯を食べたいな。
お高いステーキなんか食べちゃって、最後にはお酒を飲んで楽しくフラフラ1人で夜道を堂々と歩くんだ。


来世は生まれ変わるなら男の子、もしくは猫がいい。

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