【読書おすすめ】絵を見る技術(秋田麻早子)
先月、静岡市の美術館で大きな展覧会があって足を運びました。機会を得て足を運ぶ、本物に触れられるのは好きだけれど、絵画やクラシックは「詳しくない」という引け目みたいなものが、どうしてもあります。じゃあ勉強すればいいじゃないか。その階段が刻めずに、はや何十年。。。
美術展に行くのが好きだという友人が、「でも私もぜんぜん分からないんです!」と謙遜しながら勧めてくれた本です。
もちろん時代背景とか、なんとか派とか、知れば知るほど深遠な世界はありましょう。
でもこの本の特徴は、「造形」の点から、「今目の前の絵画」を鑑賞する手法を教えてくれることです。
・なぜ、この絵に惹きつけられるのだろう?作者の意図を探るヒント
・この絵の主役はどこ?そのためのしかけは?
・前情報なしに、どう見たらいいのかポイント
・バランスや構図が良いとか悪いとか、みんな何を見て言っているの?
なんとなくのフィーリングで見てきた絵画の見方の枠を、ひろげてくれる一冊でした。作者がどんなチャレンジをしているか、構図的にどんな工夫が凝らされているか。誰もが見たことがあるような名画を題材にして、講義してくれるような内容です。色彩、構図、一枚の絵画上でどんなふうに視点を運ぶか等々。
しかもそれは、絵画じゃなくても街角のポスター一枚への興味も、掻き立ててくれる内容でした。
何よりも読んでいて気持ちよかったのは、著者の秋田氏のふかーい情熱を感じられたことです。根っからの美術好きキュレーターなんだろうな~~。情熱が過ぎて?無学な私には理解が追い付かないところも後半ありました(;^_^Aそれでも、読んでおいてよかったと思える一冊!
絵画好きの方も、私のようなにわかも、それぞれの段階で理解がふかめられる内容です。太鼓判。
卑近になりますが、スポーツ観戦ひとつだって、ちょろっとでもルール知ってればそのぶん視座がかわるものです。そして視座は多いほど人生が楽し!美術鑑賞のとっかかりをもらえた読書でした。Oちゃんありがとう!