商業出版する方法#76〜商業本は「あなたの本を出版します」ではない。
元KADOKAWAの編集者であり、ビジネス・実用書出版コンサルタントの渡邉です。
いまだに勘違いされやすいのですが、商業出版は「あなたの本を出版社が無償で出版します!」ではないことを改めて念頭においてほしいと思います。
そもそも商業出版は、著者の書きたいものが本になる、というより「出版社」というメーカーが商品を企画し作って売る。ということが基本のビジネスです。
だから、どんな本を出すかを決めるのは「出版社」でありその出版社に勤める編集者や営業マンたちです。
ゆえに著者が書きたいものを書ける世界・・ではないんですよ。厳密にいうとね。
編集者が「商品として売れる本の企画を立てる」→「その企画にそって本を執筆いただける”先生”を探す」→「本の執筆を依頼する」→「原稿をいただく」→「本にして売る」・・・です。
だから、どんな本を出すのかを決めるのは「著者」よりも「出版社」であり「編集者」です。
ゆえに「あなたの本を出版します」ではないのです。
この言葉の主役を探るとなると、著者が主役となってします。でも商業本の主役はやっぱり読者でありお客様です。
フツーのビジネスと一緒です。需要がない(少ない)・お客様がいないところに、商品は出せない。
売れないから・・・。
このシンプルな発想でしかないです。
ゆえに「〜という本を書きたい!」と思っても、それがなかなか通用しなかったりする経緯やケースも多く見られるわけです(自分で企画書作って出版社に送ってみても、本を出せないという傾向が多いのはこのため)
商業出版の会社で「あなたの本を出版します」って、理念にも目標にもスローガンにもうたってないでしょう?
「あなたの本を出版します」って言葉を使っている会社は、やはり自費出版系の会社です(文芸社とか)。
こうなると主役は読者以上に「著者」に完璧になるので、いいんです。その言葉通り「あなたの考えたこと、あなたの思い、あなたが伝えたないことを、しっかり私どもが本にして出版しますよー」だから。
読者がいるかどうかはわからないけど、表現方法の一つとして本というツールや媒体を上手に活用するといいですよ〜、ってことが売りなんですから。
でも商業本はちと異なる。
やっぱり「読者が読みたい」「世の中の人が知りたい・読みたい本って何かな」「買ってまで知りたい情報って何かなー」ということを考えて作られるメーカーの商品なので、「あなたの本を出版します」ではないわけです。
このことをFacebookで呟いたところ、ブックライターとして活動するある女性の方からこんな書き込みがありました。
「「本が出せる」という事実に舞い上がって勘違いされるんですよね。
何度か(私も)進言したことがありますよ。「そもそも本は著者のものだと考えないほうがいいですよ。出版社の商品の一つなんですよ。出版社の数あるラインナップの1つに、先生のコンテンツがあってもいいかな、と判断されただけ。せっかく編集者さんが企画を通してくださったのだから、まずは先方さんのいうことを聞いたほうが得策です」って。
ライターごときに言われたくないよと思われたかどうかは不明です(;^ω^)
本当に賢くて、ご自分の市場価値を冷静に判断できる方は勘違いはされませんけどね。」
いえいえ。むしろ、その通りすぎて「正論」すぎるので、今後もどんどん進言してもらいたいのですが(笑。
ただ、こういうある種の勘違い、って次のような傾向・言葉が世に出ちゃっているからだと思います。
実際売れている本の著者・作家が「私として〜したい、伝えたいと思って書いた本です」とインタビューに答えることが多く、その言葉が出てるからです。
だから「著者が書きたいものが、かけて本になって売れるのが商業本だ!」と思われるのでしょうが。
でもここで重要なのは、そういうことができる人はすでに「プロ」として実績がある著者・作家だからです。
本が書けて売れる。ではなく、売れる本が書ける、のが真の著者であり作家です。
「市場」にプロの著者・作家、発信者、インフルエンサー、経営者として認知されているからこそできることなのです。
作家業もある意味「起業家」ですからね。
ここを間違えないでほしいですね。
ホンモノの著者は「何を書いて伝えれば売れるのか・読者が本気で喜んでくれて買って読んでくれるか」を追求します。
でも三流の書き手は「自分が書きたいこと」が何よりも優先なのです。
自分が書きたいことがあるなら、今はSNSがあります。だから先にそっちに出してほしいです。SNSの方が商業本よりも、ずっと自由でずっと自分の書きたいことも書けます。
マーケ調査も「無料」でできることが多いのですから。
何度も繰り返しますが、自分の本を出版したいなら、先に自分の思いを伝えたいならSNSで発信したり、ビジネスをしてください。
商業本は自分の思いを伝えるを超えて、真の意味で”どんな役得をどれほどたくさんの人に与え、併せて収益化もできるか”というビジネス目線が一番大事なのですから。
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