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商業出版する方法#60〜「与える系」編集者と「引き出し系」編集者

元KADOKAWAでビジネス・実用書出版コンサルタントの渡邉です。

ビジネス・実用書の編集者って2パターンあるような気がします。

それが「与える系」編集者か「引き出し系」編集者。

1)与える系編集者は、編集者がリーダーになっている
”与える系編集者”というのは「編集者が「売れる企画テーマ」を持っていて、そのテーマを著者に与える」というタイプ。
だから、完全に著者に執筆を依頼する企画しか相手にしません。企画は編集者が考える。それはリサーチを行なって「売れる」確率が非常に高いものを考えているので、「誰に書いてもらうか」も「売れるために」が先に来ます。よって、新人著者はよほどのエッジが立ってないと、この与える系編集者との相性は悪いです。

与える系編集者は、ベストセラーやヒット作を連発していることが多いので、求める著者ステイタスも高いです。
その意味も含めて新人著者は9割相手にしません。新人著者よりも実績がある著者を優先し、実績がある著者へ依頼し、「企画のテーマにそって執筆いただける方」を優遇・あるいは教育・説得します。

すでに企画が一貫性を持って、イメージできているので、そのイメージに外れるようなことは一切やりません。
とにかく売れるセオリーを優先し、売れるステイタスをもった著者を探し出し(ほとんどが実績ある著名人や、新人でもよほど群を抜いている結果を出している人が多いけど)、その著者に自身が考えているテーマからはみ出さない原稿を求めることが多いです。

ゆえに「与える系編集者」はリーダー気質であり、自分が著者をぐいぐい引っ張っていきます。そして著者を「指導」もします。
なので、与える系編集者はベストセラーもヒットも出しやすいですが、著者がなかなか自立しない・・ってのもあるかな〜、、なんて暴露的話ですが、そういうこともあります。
著者を支配する場合もあるし、著者への「指導」も強力です(でもこの指導は何ら間違っていないのですが)。その意味でも「カリスマ性」を持っていることが多いです。

2)「引き出し系編集者」はコーチングやコンサル的である
一方で「引き出し系編集者」は有名無名関係なく、著者の持っているポテンシャルを話をしながら「注視」し、出版企画を引き出していきます。
その意味では、非常にコーチ・コンサル的な役割を果たしていることも多いです。
引き出し系編集者は、実績ある著者だけでなく新人著者への眼差しも忘れておらず、新人著者との付き合いも大事にすることが多いですね。

そして、それなりに「著者に寄り添う」人も一定数います。無論著者に依存させるような距離間は考えた上で付き合いますが、「与える系」よりもアットホームな併走を心がけるタイプの人が多いような気がします。
その中で、著者と一緒に企画を考える。市場と著者の意思をどうマッチングしたら良いかな〜という点に考えをめぐらせる感じですね。

ぶっちゃけ「与える系編集者」よりも、売れる売れないの本に波がありやすいタイプです。しかし著者から愛され、支持されるタイプは「引き出し系」の編集者です。引き出し系の編集者は、転職しても、出版社をやめても、著者から頼みにされることも多いよなあ〜とも思います。


渡邉はどちらかと言えば、「引き出し系」編集者です。著者及び著者候補の長所や強みや売りと、市場をどうマッチングさせた企画を立てるか、本作りをしたら良いのか、と考えるのが好きなタイプです。
カリスマ性はないですし、自分でも求めていません。私は、売れる本を作りまくることよりも、読んだ人が幸せになる本をプロデュースしたり編集したり、そういう本を作りたい!と思えるビジネスパーソンをサポートする方が向いているし、好きだからです。



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