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商業出版する方法#83〜電子書籍や自費出版でも人によってはそっちが有益なんじゃない?と思った件。

元 KADOKAWAの編集者であり、ビジネス・出版コンサルタントの渡邉です。

タイトルにもあるように、人や組織、ビジネス目的によっては電子書籍や自費出版的な本の方が全然有益なんじゃないか、って思えることありますね。

ぶっちゃけますが、商業出版の世界はどうしてもありとあらゆる「条件」がくっついてくるんですよ。
それも「出版社がある程度想定している”著者・自社の商品にしたいコンテンツ”の条件」に沿っていただく、、というのが前です。著者のステイタスであったり、テーマの選定、ジャンルの設定、出版社の刊行戦略・・・など。加えて、読者する受けしやすい内容やそういうコンテンツをアウトプットしてくれて「大いに売れる!」「売ってくれる」「たくさんの人が買ってもらえやすいテーマで書いてくれる!」著者の方をどうしても贔屓にしたい。
利益もたらしてくれますからね。


その意味では新人を丁寧に育てる・・・的な風潮は確かに減少傾向にあることは事実です。
売れる本を書いてもらえる人の方が、早くお金になりますからね。
(「なんだその言い方、金の亡者か!」と言われそうですが、ええ。出版社も営利企業なんですよ。お金儲けないと、出版に資金回せませんから。ボランティアで本作りなんてできません〜)
でも、それは時代とともに人々の行動が明らかに変化しているからに他なりません。
何せ今や情報をとるのは「新聞」「テレビ」「本」ではなく「スマホ」「ネット」「SNS」が先!なのですから。

この顕著な傾向は、出版界にも大きな影響を与えていることは間違い無いのであります。
明らかに数十年前に比べたら、本を進んで読む人は減ってるし、本の売上も伸びまくって成長市場!では決してありません。
ビジネス書や実用書のジャンルは横ばい、雑誌関連に至っては部数激落ち込みがどうしても事実としてあって、その現実から目を逸らすことはでき無い。

リアルの書店さんも、街の書店さんの存在数も、明らかに減少傾向なので「売り場」が減ってきていることも確か。
だからといってAMAZONよりもリアル書店での実売を重視する出版社も圧倒的だし、リアル書店での実売あっての「増刷検討」に入る会社も全然多いのも事実。(なぜかAmazonで本が売れまくるのにも制限をかけることもあるくらい)
今ひとつ、時代にあっているような、それでいてまだまだ旧態依然とした業界事情が横たわる中で本が右往左往しているような状況は・・・隠しようがなく、販売手法に一貫性もないというのはもう明言しておきましょう。

その中で躍進をみせてきているのが、「電子書籍」という部類でしょう。
誰でも気軽に出せるし、商業本のように6万〜10万字を書かなくたって「出版できます」。紙の本にはならないけれど、紙の本よりも安価だし、専用のアプリや機器を買うだけで、それこそいつでもどこでも本を買えて、気軽に読むことができ、知識を取り入れることができます。

書き手の都合で、何冊も書いて出せるし、出したい!と思ったら、書いて出して売ることだってできる。だから起業家や経営者の中には、自らのアピールツールの一環として電子書籍を出すことで、ビジネス活用していらっしゃる方も多いのですよね。

出版社の名前を冠さず、一般の本屋さんで流通しないけれど世界に名だたる「Amazon」で買えるわけでもあるので、ある意味信頼性も高くなるんじゃ無いでしょうか?って思います。

また、自費出版的な出版でも、商業本よりもより良いPRツールになることもあります。
そもそも自費出版というのは、厳密にいえば「全てのコストを著者が負担し、流通もしない」のを指します。だから同人誌とか社史とか、会社や組織でしか使わない配布用テキスト・教材的な簡易製本などがそうです。

しかし30年くらい前から、小部数にはなるけど本屋さんでも取り扱う、という商業的なスタンスと自費的なそれがかけ合わさった「協力出版」というジャンルが出てきました。
今なおそのビジネスを行なっているのは「文芸社」や「幻冬舎ルネサンス」あたりが有名だと思いますが、著者が制作のコストを担い、出版社が編集〜製本〜流通の舞台を整え、著者の表現活動を支援するというサービスを展開しています。

ただこういった「協力出版」的な本も、全然馬鹿にできない。
商業出版市場として規模も読者の数も小さい・弱すぎる・またはあまりにも専門性が高すぎる・新規の思想や新潮流すぎて取り扱いづらい・・・という「ニッチテーマ」の本でも出すことができたりします。
著者の金銭負担はあるものの、著者の本来「やりたい」「書きたい」「伝えたい」が存分に生かせることもあって、意外と質の高いコンテンツが詰まった本にもなりやすいです。テレビや新聞などのマスコミにしっかり取り上げられて一気に認知が高まる!てなことも、商業本と全く引けをとらない露出をする本もあります。
だから、商業出版の会社に持ち込むものの「どうしても採算が取れない、読者が少なすぎて利益が見込めづらいコンテンツなので、無理」と断られた企画が、協力出版の形式で出すことで「逆に、世の中に認められるようになった(認知が高まった)」「著名人にシェアされて、有名化された」「商業本よりも増刷を重ねることになり、大手の出版社からリニューアル出版してベストセラーに!」てなケースもあったりするわけです。

まあ、「商業本の世界に参入するより、電子本や協力出版的な形式で自分らしさを大事にして出した方が、よいんじゃない?」というタイプの書き手・コンテンツも明らかにあったりするので、何も商業出版しないとビジネスブランディングが確立できないか、認知度が高まらないか!?てなこともない。。と思います。

ということはですね。本という媒体を通しての表現活動、起業家・経営者のビジネスアピールは、ご自身のビジネスやスタンス、ステイタスにあった形で行うことが一番!ということも言えるでしょう。


商業本の支援をしている人間が何をいうんだろうか・・、とお思いになるかもしれませんが、ほんとぶっちゃけ「この人(このビジネスコンテンツ)は商業本よりも、電子書籍などで展開した方が随分ご自身もビジネスも幸せになれるんやない?」て思うことも、対応していて往々にしてあるので、そこはさまざまな「出版の活動」に触れていただくことで、本当に自分にあったアイテムを選んでいくことが、大事だと思いますね。


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