NOTE
私は精神科病院で働いている。受付に座って患者さんの会計をしたり、電話を取ったりするのが私の仕事だ。患者さんは小学生から高齢者までと年齢の幅が広く、症状もうつ病や不眠症、認知症、発達障害と多岐にわたる。毎日色々なことが起こる。患者さんと楽しくお話する日もあれば、怒鳴られる日もある。4年ちょっとの間に、様々な患者さんと出会った。当たり前だが人生いろいろなのであって、悩みは尽きない。「事実は小説よりも奇なり」とはこのことかと思う日々だ。
かく言う私も、最初の職場で適応できず、誰にも相談できず、盛大に自身の殻に閉じこもった経験がある。「幸せになんかなる資格はない」という思いが頭を離れなくなってしまって、にっちもさっちもいかなくなった。
環境を変えることで最悪の状況からは脱することが出来たが、折れた心はなかなか元通りにはならない。そんな時、思いついたのが「好きなものをノートに書く」ことだ。面白かった本の感想、好きな詩、好きな歌、好きなケーキのお店。お気に入りのペンで、きれいな字で、ゆっくり書く。情報が足りなければ、調べて記入した。イラストもいれた。元気になるまでは辛い日々だったけど、文字を書いている時は楽しい気持ちになれた気がする。
嫌なことばっかりに気をとられて、楽しかったことや好きなもののことを思わず忘れてしまうことがある。そんな時のために、このノートがある。
また辛いことがあった時、このノートを開いて「ここのケーキ、おいしかったなぁ」と思い出せたら、明日のおやつに買ってみる。見失いそうな自分を取り戻すためのノート。
TwitterもInstagramもやってるけど、これだけは誰にも見せないつもりだ。