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北欧の幸福度が高い理由を疲れ切った現地在住者が解説してみる【北欧会社員】

4年ほど北欧スウェーデンで会社員をしているものです。今回はあの謎調査 世界幸福度ランキングについて、スウェーデンで疲弊し切った会社員が超個人的な主観で解説してみました。(人の幸福は主観的な要素が強いので、幸福度をランキングにするのは無理があるかもしれませんね)

結論: 幸福度が高いが、万人にとって理想の環境とは限らない


なぜ幸福度が高いのか(あくまで個人的に感じるところ)

スウェーデンで働いていて最も印象的なのは、「仕事よりも自分の人生を大切にする」という価値観が根付いていることです。前回の記事でも書きましたが、上司から「仕事は仕事だから、自分のウェルビーイングを一番大切にしなさい」とよく言われます。

例えば、私の勤務先では:

  • 年間5週間の休暇(日本と比べて祝日は圧倒的に少ないですが、一度に取れる休みは長い)

  • 週に2日程度のリモートワーク

  • 上下関係がフラットで、上司や役員とも対等に話す

仕事に全力を注ぐのではなく、休みに全力を注ぐ。このような働き方が主流であり、それを支える制度もしっかり整っています。

ストレスが少ない=幸福度が高い?

人生におけるストレスの大きな要因に、「仕事」と「人間関係」の二つがあるのではないでしょうか。スウェーデンでは、これらのストレスが日本と比べて圧倒的に少ないと感じます。

仕事のストレスが少ない → 残業文化がなく、有給も遠慮なく取得できる(もちろん会社による)
人間関係のストレスが少ない → 上司と部下の上下関係が緩く、自由なコミュニケーションが取れる(もちろん会社による) 

これらの要素が組み合わさることで、幸福度が高くなるのは納得だと思います。

それでは、スウェーデンは理想郷なのだろうか?

北欧が理想の国かというと、一概にはそうとは言えません。正直なところ、4年間住んで働いて感じるのは、この国の環境で仕事や人間関係のストレスを抱えたら、それはもうかなり詰むだろうなということです。その理由としては、

  • 娯楽が圧倒的に少ない → 気軽に楽しめる娯楽が限られている。日本ではそこらじゅうにある小さな幸せが無い

  • 冬が長く、極寒 → 一年のほぼ半分が寒くて暗く、Cozyな雰囲気だけでは乗り越えられず、冬は気分が落ち込む

  • 治安の悪化 →ギャング問題の悪化が原因でヨーロッパ第二位の銃撃事件数。爆発事故も月に何度も起こっており単純に怖い

  • 人との距離が遠い → 他人と積極的に関わる文化ではなく、アメリカやイギリスのように英語圏の人には親しみを持つものの、アジア人にはあまり関心を示さない人が多い傾向(もちろん人による)

もちろん、家族が近くにいる人には良い環境かもしれませんが、単身者にとっては、相当厳しい環境になる可能性があります。(北欧好きの人にとっては、とても楽しいかもしれませんが。)

「働き方」への考え方の違い

仕事を最優先しない文化には大共感できますが、スウェーデンで働いていて感じる違和感もあります。

  • 仕事の質にこだわる人が比較的少ない→純粋に学びや成長が少なくなる

  • 向上心の低さ→ 福祉国家の影響で、「努力しなくても生活できる」と考える人が多く、成長意欲のある人が少ない

また、他のヨーロッパ諸国からの移住者(特にスペイン人、イタリア人、フランス人など)は、比較的積極的にコミュニケーションを取るのに対し、スウェーデン人は他の文化にあまり興味を示さない印象があります。基本的にはみんな小学校や中学からの幼馴染とつるむ文化がありますね。 ・・といっても、これもまた私の経験上です。

結論:理想の国は人それぞれ

北欧は、仕事のストレスが少なく、ワークライフバランスを重視する点では素晴らしい国です。しかし、向上心のある人や、活発なコミュニケーションを好む人にとっては、物足りなさを感じるかもしれません。また、第二言語や第三言語で生きていくというのも結構な覚悟が必要です。苦しいと感じることも少なくはないです。

幸福度ランキングで上位に入る国だからといって、万人にとって最高の環境とは限りません。実際に住んでみて、そのギャップを強く感じました。

どんな国でも「良い面」と「合わない面」があります。これから海外移住を考えている人には、自分に合った環境をしっかり見極めてほしいと思います。

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