世界一綺麗だと思った給与交渉
マニアックなのですが、私は根暗のくせに採用業務が大好きです。特に最終段階の給与交渉は、候補者の方それぞれのアプローチが全く異なるので、毎回とても興味深く、思わずワクワクしてしまいます。どうしても人の汚い部分が見えやすくもあるので、ここまでとても良かったのにとても残念だなと感じる候補者の方がいるのも正直なところです。
数か月前、当社でもかなりシニアなポジションの候補者の方(採用時にCレベルのリーダーシップ経験を持った方)と給与交渉した際に、とても印象的なやり取りがありました。具体的な内容は共有できませんが、彼の交渉のポイントだけ、以下にまとめてみました。
今回は国をまたぐ転職になるため、自分だけでなく家族にも大きな変化をもたらすということ
現職でも大きな責任を担っており日々やりがいを感じているけれど、自分は心が動く(ワクワクする)方向に進んでいきたいと考えているということ
そんな中で、御社からのポジションとオファー内容は、まさに心が動く素晴らしい機会であること
基本的にオファーには満足しているが、AとBについては部門長や社長と少し相談して交渉の余地があるか確認してほしいこと
家族の大きな移住となるため、もし可能であればCについての追加オファーを検討してほしいこと。他社では一般的にCのような条件が提供されるため、御社でも同様の条件があるか確認したいが、無理をお願いする気はないので御社に負担がかかる場合はプッシュはしません、とのことでした。
まさに「戦略的でありながら誠実」な交渉スタイルです。家族やキャリアの流れを大切にしつつ、自分の心が動く方向に進みたいという意思が伝わってきます。また、「もしも負担になるなら無理にはお願いしない」という姿勢からも、相手を思いやる優しさが感じられます。このように言われてしまったらリクルーターとしても、この人の要望を少しでも満たすために何とか社内で調整してみよう、という気になるものです。
基本的にビデオ通話での給与交渉が一般的になっていると思いますが、私はビデオ通話時には、リクルーターや面接官への感謝の気持ちを伝えること、自分の思っていたオファー内容よりは少しだけ低いと感じたということ、一度考えて数日以内にメールで返事をするということを伝えるのがスムーズな流れかと思います。
少しでも参考になれば幸いです。