私のお母さん②
事故を起こした後の私のお母さん
そりゃもちろん怒られた
どこの家庭でもきっとそう
よく事故をして怒られなかった
むしろ生きててよかったって言われた
それだけの人もいるみたいだけどそんなのは親ではない
本人が悪くなくても少しは怒るべき
だって大事な娘を失っていたかもしれないんだから
その恐怖があれば必然的に涙が出て大声で何かを訴えたくはなるはず
だから怒られることに嫌な気持ちはなかった
ただそのまま関係ないことまで怒られたとき
やっぱりうちの親はおかしいと思った
本当に怒るべきことを怒るならいい
勝手に想像してそうだと決めつけて怒る
どうしてナビが言うからって通ったこともない道を走れるの?
あんたは判断能力が鈍ってる、大学4年間チャラチャラしてたから!
大学4年間で何を学んだ?
あんたは何も頑張らないでただなんとなーく卒業しただけ
まともな友だちも作れなかったんでしょ?
卒業旅行だって何も計画しないで行ける?
海外だよ海外!友だちは何を考えてるの?
いつも行き当たりばったりの友だちなんて作るから…
男子部のマネージャー?一生懸命やった?
どうせ部活の男の子とチャラチャラ遊んでたんでしょ?
毎日遅くまで遊んでたからこんな子になっちゃったんでしょ?
だからこんな子になっちゃったんでしょ?
何を言ってるのか全然わからない
4年間私は悩みがあってもお母さんに何も話せなかった
部活はプレイヤーもマネージャーも同期がみんな辞めた
辛かったけど反対されて入った部活だから弱音は吐けないし楽しい部活ってことにしてた
マネージャーがひとりで辛くて泣いていた日々もあった
部活に行けない時期もあった
それでも4年間続けることで自分にしかできない仕事を見つけ、必要とされることの喜びだったり、続けることの大変さや大切さも学んだ
夜な夜な遊んでいたのは部活なんて関係ない
そもそも遊んでたのではなく夜な夜な働いていた
夜働くことは反対されてたから居酒屋で働いていることを内緒にしていた
家によく遊びに来ていたのはそのバイト先の友だち
そのことももちろん怒られるからって言えなかったよね
私は一人暮らしが向いていなかった
親が何でも決めて何でもやってしまうから
受験のときに受ける学校を決めるのもそう
だからひとりじゃ何もできない人間
一人暮らしを始めたてのとき不安でいっぱいだったあたしを救ってくれたのは友だちだったり彼氏だった
入学してすぐからその人たちがいたから私はひとりにならなかった
だからひとりでいられない状態は悪化
家に来てくれる人、構ってくれる人はみんなウェルカムだった
大学生活最後の半年間、私はルームシェアをした
もちろんそんなこと言ったら怒られるとまた思ったあたしは内緒にして
その子はパスポートとお金だけ持ってどこにでも行っちゃうような子だった
その子のことも否定してた
私のことは何と言ってもいい
でも部活の人たちや友だちのことを勝手に決めつけていろいろ言うのはおかしい
私にとって大切な人たち…
私のことを救ってくれたのはお母さんではない
大学時代の友だち
どうして否定されなければいけないのか
こうして母に対する不満は募るばかり