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【ショーン・マイケルズvsカート・アングル】プライドとジェラシー。珠玉の最高vs最強。

プロレスの熱じゃどうにもならないほど寒い日もある!
煽りVTR研究家のリジェーです!

今回紹介するのは珠玉の一戦
WWE
2005年のレッスルマニア21
ショーン・マイケルズvsカート・アングルです。

このカードはもし当時SNSがあったら間違いなく世界トレンド1位になってたであろう名勝負でした。
私は過去の試合をよく見返しますがこの試合はもう何度見たか覚えていません。
なんなら最近も見返しています。次どんな動きをするのか分かっていてもこれを見ながら楽しんでいる。プロレスが時代を超えて愛される理由はこの反復性にもあるのだと思っています。

もちろんです。それぞれのテーマについて、さらに詳しく説明いたします。


対戦実現までの過程

ショーン・マイケルズ(以降HBKとします)とカートの対戦が実現するまでの過程は、WWEファンにとって非常に興味深いものでした。
というのも元々は両者の間に直接の対立がなかったのです。

確執の始まりは、ここでも何度か話題にしているロイヤルランブル。レッスルマニアでの王座挑戦権を目指し30人の選手が戦います。

HBKとカートも試合に出場していました。
先に出場したカートが破竹の勢いで選手を脱落させ、優勝へ駒を進めようとした時、遅れて登場したHBKが隙をつきカートを脱落させてしまいました。

これに憤慨したカートは対戦権がすでに無いにも関わらずHBKを痛めつけ脱落させてしまいました(この試合形式、反則はありません)
理由にしてはただの逆恨みかもしれませんが、ファンはいつかこの2人が交わることを心から楽しみにしていました。

長い間すれ違っていた両者

1999年にカートがデビューした時、HBKは一度引退していました。
その後2002年にHBKは復帰を果たしますが当時はドラフト制があり番組ごとに所属選手が決められていました。
RAWとスマックダウンの2番組がありHBKはRAW、カートはスマックダウン。
つまり2人の初遭遇は2005年のロイヤルランブルだったのです。

名勝負製造マシーンとレスリング金メダリスト

HBKは常に試合を印象的なものへと変化させる「名勝負製造マシーン」として知られています。
彼の試合は、ただの勝敗だけでなく、感情やストーリーが込められており、観客を引き込む力があります。HBKは、試合中の表情やボディランゲージを駆使して観客をエモーショナルにさせることを得意としています。

それとは対照的に、カート・アングルは、1996年アトランタ五輪のレスリング金メダリスト。
卓越したレスリング技術に基づく試合展開が特徴です。
戦術を駆使し、技術的な優位性を生かして試合を構築します。
二人のスタイルは全く異なりますが、それぞれが持つ特性が試合をより魅力的にし、ファンにとっての楽しみを生んでいました。

ジェラシーは突然に

カートはロイヤルランブル後、自身の所属番組であるスマックダウンにてカメラの向こうにいるであろうHBKに対してこう語りました。
『君への恨みは1996年僕が五輪で優勝した時からだ。
僕が金メダリストになったのに世間はWWEの話、HBKの話ばかり。
君が常に話題の中心だった。
君が世代の象徴だと、君が最高のプロレスラーだと。
全てが僕にとっては侮辱だった。
僕こそがプロフェッショナルなんだ!』

これに対しHBKは
『俺は誰にも負けない。
そしてお前はまだ戦っていないんだ!
夢の舞台で、Mr.レッスルマニアとな!』

こうして2人の対戦は決定し、番組対抗戦となりました。
レッスルマニアまでの間、カートは非道な手に出ました。
HBKが過去関わってきたタッグパートナーやマネージャーをリングに招き入れアンクルロックで足首を破壊し続けたのです。
当日、お前はこうなるのだと言わんばかりに。

試合の行方


迎えたレッスルマニア当日

試合は、両者のスタイルが見事にぶつかり合う展開となりました。
最初はHBKがスピードと空中技を駆使して攻め込みますが、カートはレスリング技術で対応し、反撃を狙います。

危険すぎる場外ジャーマン(不発)


二人の技術のぶつかり合いに観客は引き込まれ、試合が進むにつれ緊張感が高まっていきます。
カートのしつこい足首攻めに悶絶しながらもHBKは立ち上がり続けます。
どれだけ打ちのめしても3カウントを許さず立ち上がるHBKの頭を掴み

『お前は過去の男だ!』

と叫ぶカート。

その手をどけろと言わんばかりに振り払って放つHBKのスイートチンミュージックが印象的でした。

電光石火のスイートチンミュージック

終盤、立つのもやっとなHBKの足を捕らえアンクルロックを決めたカート。HBKは何度もロープに手を伸ばすも、最後は悲鳴をあげながらタップアウト。カートがHBKからギブアップを奪った瞬間、会場は大歓声に包まれました。
不思議な空間でした。ヒールであるはずのカートに大歓声。
それは2人がプライドを賭け最後まで正々堂々戦ったからだということです。
観客はそれを理解していました。
そしてこの試合は、WWEの歴史に残る名勝負として語り継がれることとなったのです。

HBK無念のギブアップ


アメリカでは煽りVTRをMatch Promoと呼ぶ


この煽りVTRでは、ショーン・マイケルズとカート・アングルの過去やマイクアピールを交え、両者のキャラクターがより際立っていました。
ストーリー自体はそこまで深くなく、確執から決着までの時間も短く、あくまでスポーツマンシップのぶつかり合いのようなピュアな試合だったようにも思います。
ですがその中でもしっかり

HBKのメインイベンターとしての自負心

カートの自信とジェラシー

これらが上手く対比され、この試合におけるスペシャル感が高められています。
加えて、試合の歴史的意義や勝者が得る栄光についても触れられ、観客の興味を引く工夫が見られました。このような演出がファンにとっては試合の魅力を引き立てられ、観戦意欲をかき立てる要因となっているのではないかと思います。
WWEでは(AEWもかもしれませんが)こうした煽りVTRは試合前だけでなく広告のように何週間も前から流されます。

出し惜しみをしないところもさすがアメリカ・・・

あと煽りVTRを検索する際に気づきましたが向こうではMatchPromoというんですね。大会のOPなどはPPV Promoで検索すると出てきます。
映画のような編集技術のおかげで初見さんも「やだ・・・かっこいい!」となること間違いなしです。

↓試合はこちらでフルで見ることができます。ぜひご覧ください!↓


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