「きんとうか」感想①
「きんとうか」をプレイしました。
まじでこの手のゲームやったの久々だったうえちゃんと全コンプしたの初めてなので感想がてらメモを…
とにかく本当に良かった なんでこれやらずに数年生きてたんだ?わからん
全ルートのどっかで1回絶対泣いた気がします 泣きの度合いはいろいろだったけど
【書いているひとについて】
・30代の腐れ女オタク、人生の半分くらい腐っている
・なんらかのジャンルで二次創作をずっとしている字書き
・ゲームはしない、読んで選択肢選ぶくらいしかできない
・過去やったこともあるBLゲーは大正メビウスラインとPigeon Blood
・オカルトや怪談は好きだけどグロ・ホラー耐性が低い
【きっかけ】
もともと発売当初くらいから都志見文太先生を篤く信仰するオタクの友人にめっちゃ推されていて、気になるからそのうちやる~みたいなことを言いつつやっていませんでした。なんで…
発売から4年くらい経ってしまった2021年1月、立て続けに都志見先生がシナリオ書いてるソシャゲに再燃し(アイナナとまほやく)、ストーリー読み返しながらもっと都志見シナリオ浴びてえ!と思ったことがたぶんきっかけです。
ちょうどなんかゲームやりたい時期でもあった。わたしは幼少期、据え置きのゲームをやらない環境で育ったのでゲームというとソシャゲかこういうノベルゲーみたいなものしかまともにできません。
そういえば…と思って調べたらダウンロード版があったのですぐに買いました。
1月末にはじめたものの、いろいろあってちょっと進められなくなって、半年くらい放置してしまってお盆休みに続きをやりはじめました。時期的にもちょうどいいと思って。
全クリしたのは8月23日です。やったひとにはわかると思うけどちょっと惜しい日付です。
普段こういうのってあんまり書かないのですが、今回は「書かなければ」と思いました。感じたことをちゃんと残しておきたくなったんです。それほど大事な作品になりました。
作品について、あらすじやら各ルートの所感やらEDメモやらも覚書程度ですが書いていきたいと思います。
超絶長くなりそうなので、分けます。
(若干ネタバレ注意。思い出したりしたことは随時追記してます)
【ざっくりあらすじ~共通ルート感想】
東京で暮らす主人公の鈴村颯太が、祖母が亡くなったしらせを受けて、祖母の暮らしていた「那珂ノ島」に帰るところからはじまります。彼は父親の実家であるこの島に、小さい頃は夏休みに毎年遊びに来ていました。しかし車の事故で両親を亡くし(同乗していた彼自身も大けがをします)、天涯孤独になり親戚をたらいまわしにされることとなり、それきり島に来ることはありませんでした。
葬儀のために、ひさしぶりに島を訪れた颯太は、かつて島で逢ったなつかしい人たちと再会しながら、さまざまな不思議な体験をすることになります。
確かこれ休日の午前中にはじめたと思いますが、間に買い物やら家事やら入浴やらをはさみつつ12時間くらい共通ルートやってた気がします。やっぱりもうストーリーというか文章が好きで飛ばさずめちゃくちゃ読んでしまうせいもあった
それにしてもたぶん結構長いほう。でも本当に楽しかった。リズムがよくてあまり間延びした印象がない。いろいろ起きたけどそのひとつひとつが印象的でした。
個人的なことですが、わたしは20歳のときに大好きだった祖母を亡くしています。そのときわたしは東京で大学生をしていたので看取れず、祖母が亡くなった知らせをうけ、実家に飛んで帰りました。
ゲーム内で颯太が島に帰って実家に着いたとき、近所のひとたちが家にすでにいて色々と葬式の準備をしてくれていたというようなシーンがあったかと思いますが(このへん1月にやったのでやや曖昧)、自分が東京から実家に戻った日のことを思い出しました。親戚のおばさんや近所の人が台所であれこれ手伝ってくださっていて、戻ってきたわたしを見て沈痛な顔で「久しぶりね、急なことで驚いたね」と話しかけてくれたこと。なんか実感がなくてぼんやりしてたけど、奥の間で眠っている祖母を見てああ、本当に、と思って、そこで初めて泣きました。
お通夜でいろいろなひとが訪ねてきてお悔やみを言ってくれるシーンも、祖父母のお通夜や葬儀を思い出してちょっと胸がツンとしました。うちの祖母も明るく優しく地域の人たちにとても慕われていたので、みんな一様にとてもかなしそうだったのが印象的です。わたしも東京に住んでいて以前よりも逢う機会は減っていましたが、その間も祖母が色々な人に愛されていたことを知ってとてもあたたかい気持ちになったのをとてもよく覚えています。
何の話だ いにしえのオタク特有の長い自分語り
閑話休題。
島に戻ってきて、葬儀の準備をして、祖母に向き合いながら。
攻略キャラである颯太の幼馴染たちとさまざまな形で再会していき、昔の姿と重ね合わせていく時間はとてもたのしかったです。
主人公である颯太くんはまじめで優しく、穏やかな好青年、BLの受け!って感じの子。でもこういう子は攻めでもいい(個人の感想)。東京でカメラマンをしています。祖母の葬儀のために休暇をもらいたいと願い出たけれど拒否され、それをきっかけに仕事をやめてしまいます。穏やかな青年ですが、どこか妙に達観していて影がある。それは生い立ちのせいかもしれません。
詳細はのちほど分かるのですが、さまよう魂を引き寄せやすい体質。死者の魂と深く結びついてしまい、つよく感化されてしまうことがあります。
泣き虫で小さかった恭くん、ちいさかったので一緒に遊んだときのことはおぼえていません。長身で逞しい、ちょっと直情的なところもあるけれどまっすぐで優しい男の子に育ちました。
現在20歳。島の葬儀関係を担う「渡利家」本家の次男で、普段は島の外の大学に通い、寮で暮らしています。現在は夏休みなので帰省中。
家族との関係がぎくしゃくしがちで、颯太のおばあちゃんである花さんをとても慕っていました。だからこそ死ぬまで花さんに会いにこなかった颯太に怒りをぶつけますが、島での葬儀のしきたりを知らない颯太の面倒をたくさん見てくれるようになります。泣き虫だったちいさいころの名残か、けっこう涙もろいところもあります。かわいくてやさしい年下の男の子です。
恭くんのお兄さんの愁さん、颯太より年上のお兄さんです。一緒に遊んでくれてはいましたが、みんなから離れて静かに本を読んでいるような、物静かで少しふしぎな人でした。現在もやっぱりクールで理知的で、ややもすると冷たい印象を受けるひとです。
26歳。「渡利家」の当主で、島の葬儀を取り仕切る神主さん。常に死の気配ととなりあわせの人。颯太との再会も、花さんの葬儀がきっかけです。
愁さんはわたしの最推しです。プレイ前にビジュアルだけ見たときはクール鬼畜眼鏡キャラ枠なのか?ヘキじゃないな…と思ったけど、そんな軽率にラベリングしてはいけないひとだった。ちょっとSっ気はあると思いますが、心は本当にあたたかい人だと思います。身内やこころを許したひとへの深い情愛を感じます。
学者肌で頭のいいひとで、あまり人に心を許さない所があるので最初の印象はクールですが、しゃべるとひょうきんで明るいひとです。都志見先生の書くウィットに富んだせりふ回しがいちばん映える人という感想。このへんは個別ルート感想でなんやかんや言おうと思いますが、わたしはクールな見た目と涼やかな声から発される彼のおしゃれで軽妙な言葉に落ちてしまったクチです。ギャップ萌え………
そして「島の王様」宗定さん。昔から賢く、頼りがいのあるお兄さんだった宗定さんは「逢己」という家の当主です。この逢己家は島神さまを司り、本家の当主は神様の化身、島のひとたちの心のよりどころです。
昔はよく一緒に遊んでいましたが、「逢己の嫡男」としての立場を尊重されており、同世代のともだちと遊ぶことはありませんでしたが、夏にやってくる颯太や愁さん、恭くんとは一緒に遊ぶこともありました。小さい頃の颯太との出会いは個別ルートで描かれています。
26歳。とてもまじめで厳格な、筋の通った男らしい人です。しきたりで島から出られないので、少し世間ずれしているところがまたちょっとした愛嬌があってかわいい。「穢れ」であるところの「死」にはかかわることのできない立場で、渡利本家とは表裏のような関係です。
もちろん葬儀をひかえた颯太とも表立って関わることができませんが、いろいろと陰ながら手助けをしてくれる頼れる人。
ちなみに宗定さんのお母さんと愁さん・恭さんのお母さんは姉妹であり、彼らはいとこということになります。
小さいころ颯太と遊んでくれたひとは、幼馴染のこどもたち3人、そして、もうひとりいました。
松永司さん、当時20代の青年だった彼。夏だけ農作業員として、毎年島にやってくるお兄さんです。
とても明るくやさしく、誰に対しても公平。こどもをこどもらしく、楽しく遊ばせてくれる彼を、颯太たちはみんな慕っていました。働き者で心優しく、かっこいい素敵なお兄さんです。島の大人たちも、そしてほかの子供たちも、みんな彼のことが大好きでした。
島に戻った颯太は、司さんが亡くなったことを知らされます。
でも、祖母の通夜祭が終わった夜。家で仮眠していたはずなのに、なぜかきんとうか(彼岸花)の咲く野原で目覚めた颯太は、司さんにそっくりな「記憶喪失の青年」に出会います。自分がどこからきたのか、なんという名前なのか、自分に関する記憶のない彼を颯太は家に招き、恭くんや島のひとたちの力を借りながら、手がかりを探していくことにします。
自分にまつわる記憶はないのに、司にそっくりの彼は島の地理や民話にはとてもくわしいのですが、記憶の手がかりになるであろう流行歌や映画などはまったく覚えていません。ただひとつ知っているのは「浜辺の歌」。
共通ルートは、幼馴染との再会と、仮に「司」と呼ぶことにした記憶喪失の彼の正体を探っていくストーリーが軸になっています。
共通ルート、先述の通りめっちゃ長いね!?と思いながらやってましたが、島のしきたりや人々のくらしのようす、そして幼馴染たちの変わらない絆を見られてただただとても楽しかったです。
颯太のおうちでみんなで飲むシーンが大好きです。特に逢己の当主である宗定さんと渡利の当主である愁さんはこれまで表立って交流をすることはなかったのですが、もともとは一緒に遊んだ友人同士であるところのふたり、本当は親しくつきあいたい気持ちもあったんだろうな~と思うとせつないですし、颯太を縁にまたつながれたのであればとても嬉しいなと思いました。宗愁もすきなんだよな……………(正直者)
さて、ルート分岐します。長くなりそうなので、分けます。