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『ゴッホと静物画ー伝統から革新へー』〜改めて気づいた、ゴッホの魅力〜

皆さんこんにちは。りーこです。
先月の終わりに、SOMPO美術館へ行ってきました。本日は実際に見て感じた、私なりの感想と展覧会の魅力をご紹介します。
(小さな美術館の学芸員さんの「マイベスト展覧会 2023」企画に参加させていただきました!ありがとうございます。)


互いにまざりあう、二つの軸

 はじめに、展覧会全体を通して私が感じたことを少しお話しさせてください。
『ゴッホと静物画ー伝統から革新へー』は、その名の通り、ゴッホの軌跡を辿る展覧会です。この企画展では、もちろん、静物画という観点からゴッホの人生を辿ることができます。それと同時に、ゴッホが生きた時代の静物画がどのように変化していったのか、その変遷を追うこともできます。
私には、『ゴッホの軌跡』というテーマだけでなく、『静物画の歴史』というテーマも、同じくらい大切なこの展覧会の“軸”に感じられました。
 『ゴッホの軌跡』と『静物画の歴史』、この二つの軸が互いに影響し合い、調和し合い、奥深い『ゴッホと静物画』の世界を作り上げているように思います。
企画展の章構成や、文章など、いたるところにこのテーマを感じることができ、関わってきた皆様のこだわりを感じます✨

ゴッホの魂に触れて

 名前の通り、数々のゴッホの作品が展示されているこの企画展。数々の作品から、ゴッホの人生に想いを馳せることができます。

 実際に見て感じた、実物の迫力。厚く塗られ2センチくらい盛り上がっているのではないかと思うほどキャンバスに重ねられた絵の具、大胆ながらも丁寧な筆のタッチ、そのすべてに言葉を失いました。ゴッホの厚塗りについては、知っている方も多いかと思いますが、本物は桁違いです。
 この展覧会に来る前と後でゴッホの印象が変わりました。
彼は本当に絵を描くことに惚れ込み、絵を愛していたのだなと。絵の具を厚く塗り重ねているのは、すぐに移ろいゆく景色をとどめておこうとしたのではなく、何度も何度も塗り重ね、丁寧に作品を作り上げていたからなのだなと。
所々で紹介されるゴッホの手紙の内容からも、彼がどれだけ絵に情熱をかけてきたか、人生をかけてきたのかが痛いほど伝わりました。
『ひまわり』や『星月夜』などでは決して語り尽くせない、ゴッホの魅力が、人の心を動かす魂が、この展覧会にはあります。
 ゴッホってこんな絵も描いているんだ!と、そんな新たな発見もでき、とても楽しかったです。

静物画という観点ー画家が込めたメッセージー

 二つの軸のお話でも書いた通り、この展覧会に展示されている作品は、決してゴッホだけではありません。モネ、ルノワールなどの印象派の画家から、セザンヌやゴーギャンなどのポスト印象派、それ以前の古典的な絵画まで、多くの静物画に触れることができます。描くものや配置を画家の意思で決めることのできる静物画には、より画家の思いやメッセージが反映されやすく、より分かりやすく受け取ることができます。手紙のようだな、と私はこの企画展を見て感じました。
 企画展には必ず、いくつかの章構成がありますが、『ゴッホと静物画』展では、展示作品はほぼすべての展示作品が静物画であるにも関わらず、章ごとにそれにあった絵をセレクトしているので、その魅力を最大限に感じることができます。
 展示作品の中に、私の好きなルノワールの『アネモネ』がありました。以前見たことがあるのに、今回見る方がより素晴らしく、魅力的に感じたのは、きっとこの章構成と絵画の並べ方の素晴らしさがあったからなのだと思います。

 本来、ゴッホの軌跡を辿るだけであれば、静物画という観点のみにフォーカスする必要はなかったはずです。『ゴッホ』という人物だけに焦点を当てていれば、まったく印象の違う展覧会になっていたでしょう。
『静物画』という、静かでありながら画家の秘めた情熱を感じさせる絵画に焦点を置いたからこそ、ゴッホの魅力も、絵画の魅力も最大限に引き出すことができたのだと思います。静かなテーマだからこそ、世界に引き込まれるような雰囲気が作られていました。
 これが、私が思う『二つの軸』と名付けた、この展覧会の魅力の一つです。

おまけ 個人的推しポイント

 最後に、余談ではありますが、私がいいなと思ったポイントを箇条書きでご紹介します。

ロッカーが無料で利用できる
→SOMPO美術館では、無料のロッカーが利用できます。数に限りはありますが、そこまで少なくはない印象です。100円玉も必要ないのでとても便利です!!

順路が分かりやすい
→受付は一階ですが、そこからエレベータに乗り、展示は五階からスタート。章ごとに階が異なっていて、5階、4階、3階と下っていくので非常に分かりやすいです。

休憩スペースが比較的多い
→各階に座れるスペースが用意されています。一つ一つの作品を丁寧に見ていると目が疲れることもよくあるので、ありがたいですね☺️

各章の始めや絵画の横にある文章がわかりやすい!
→これ、個人的に私のいちばんの推しポイントです。ゴッホの手紙の内容などが書かれていて、ただの説明と一味違う!!おかげですんなりと理解できてより楽しむことができました。ここにも、「二つの軸」を見ることができます。

おわりに

 いかがでしたでしょうか?あくまでも個人的な意見ですので、人によっては違うと感じられる方もいらっしゃるかと思います。確認はしているつもりですが、すべての情報が正しいとも限りません。その点はどうかご理解いただければ幸いです。
 今までたくさんの企画展を見てきましたが、その中でも『ゴッホと静物画』展はいちばん感動を得られるものでした。まさに「マイベスト展覧会」です!
 拙い文章ではありますが、その魅力が、皆さんに少しでも伝わっていたら嬉しいです。

そして、この度、「マイベスト展覧会 2023」という素敵な企画に勝手ながら参加させていただきました。
このような企画に参加するのは初めてで、いいnoteが書けるか不安でしたが、自分の満足いくものをお届けすることができ、とても嬉しく思っています。
貴重な体験をさせていただきました。
素敵な企画をしてくださった小さな美術館の学芸員さまにこの場を借りてお礼申し上げます。

最近なかなか投稿できない日が続いておりますが、これからも私の好きなものを私の言葉で皆様にお届けできたらいいなと思っておりますので、どうかこれからもよろしくお願いいたします。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

『ゴッホと静物画ー伝統から革新へー』は、来年1月28日までSOMPO美術館で開催中です。
気になった方はぜひ、SOMPO美術館へ足を運んでみてくださいね!

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