誰かを想うと不安になる
「今日電話しない?」
毎週のようにその友達からLINEがくる。
「大丈夫」
私が弱音を吐けば、そう言ってくれる。
私が好きなことを話せば、嬉しそうに笑う。
私が口を滑らせると、からかってくる。
その時間が、なんとなく楽しかった。
いつの間にか、友達からのLINEを楽しみにするようになっていた。必ず来るとも限らないのに、期待して待っている自分がいる。
電話越しに聞く友達の声は、どこまでも優しくて、どこか私を安心させる。ずっと聞いていたい、ずっと話していたい、そう思ってしまう。
それなのに、
「どっちでもいいよ」
「あなたがしたければ」
私が返す言葉はいつもこればかり。
いつも声をかけてくれる優しさに、私は申し訳なくなるほど甘えてばかりだ。
「電話しよう」
トーク画面を開き、こう文字を打つ。
いざ送ろうと決心し、送信ボタンを押すそのギリギリで止めて、打った文章を消す。何度も、何度も、それを繰り返す。
絶対に相手を否定しない、どこまでも優しい人。
私が電話したいと言えば、きっと快くOKしてくれるのだろう。だからこそ、怖い。
負担にならないだろうか。迷惑をかけてしまわないだろうか。無理をさせてしまわないだろうか。私の自己満足を押し付けてしまわないだろうか。そんな考えが、頭の中でぐるぐる回る。
本当はしたいのに、話したいのに。素直になれない私は、どうしても自分から言い出せない。
私なんかがわがままを言っていいの?素直になっていいの?それであなたは、嫌に思ったりしないの?
臆病な私には、誰かにわがままを言う勇気がない。
電話だけでなく全てにおいて私は臆病だ。そんな自分にいつも悩まされる。
トーク画面を開きながら、私は今日も、迷い、自分の臆病さに悩み続けている。
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