The Name Chapter: FREEFALL 全体の解釈等
こんばんは!ついに、TXTがThe Name Chapter: FREEFALLでカムバックしましたね。
私は、FREEFALLという題が発表されてからと言うもの、すご~くTXTの物語の展開を楽しみにしていたんですが、期待通りの内容で心がホクホクしています。
ということで、細かい歌詞の内容等はまだきちんと見れていませんが、アルバム全体のザックリ解釈を残しておきたいと思います。
<The Name Chapter: Temptationの振り返り>
まず初めに、前作、The Name Chapter: Temptationがどのようなアルバムだったかを簡単に振り返ります。
TXTの物語は、The Dream Chapterで始まりますが、夢の世界にいた少年たちは、コロナ禍をきっかけに一度現実に振り落とされます。これがThe Chaos Chapterです。
The Chaos Chapterでは、「君≒少女」に出会い、厳しい現実世界での光こそこの少女だ!と感じますが、この初恋は失恋に終わります。この別れを描いたのがminosode2: Thursday's child (Good Boy Gone Bad)ですね。
そして、失恋により自暴自棄になった少年は、悪魔の誘惑に遭い、再度幻想の世界(≒Neverland)に逃げ込んでしまいます。これが前作・The Name Chapter: Temptationに当たります。Neverlandでしばらく遊ぶも、MOAの声で夢を思い出した少年たちは、成長を求め、意を決して地上へと飛び降りていくところで物語は終わっていました
これらを踏まえて、今作FREEFALLでは、タイトルからも明確なように、「少年たちが現実世界へ帰ってくる過程」が描かれています。
<The Name Chapter: FREEFALLの楽曲とストーリー>
さて、FREEFALLではどのようなストーリーが描かれているのかをザクっと説明します。
まだ私自身韓国語の歌詞は読めていませんので、Translation様の英訳からの理解です(なので間違いあるかも…)。
1.Growing Pain
自ら決意して、地上へ飛び降りていく様が歌われています。
うまくいかないことがあれば魔法で解決したり、リセットボタン一つでやりなおすことができたりしていた夢の世界やNeverlandとは異なり、現実では何かにぶつかれば傷ついてしまう。そんな様子を成長痛の比喩として表現した歌です。
2.Chasing That Feeling
タイトル曲でMVにも和訳が付いているので、解説不要かな、と思います。「天国のようなNeverland」に意を決して背を向け、後悔を断ち切って、自らに課せられた運命を受け入れていく少年たちの歌ですね。
なぜ少年たちが天国に背を向けたのか?ですが、Temptationで描かれていたように、天国やNeverlandでは挫折がないので、その分感じられる感情も少ないということに気が付いたからだと思います。
MVでは映画・魔法にかけられてのオマージュのようなシーンもでてきますが、まさに魔法にかけられての主人公・ジゼルは全てが上手くいってしまうおとぎの国の生活では得られない感情が現実世界にはあることに気が付いていきますね。
また、コンセプトフォトの解説記事の中でも、今回のコンセプトは「これまでのようなフィルターのかかっていない少年たちのリアルな姿」といった文言があったかと思いますが、少しほの暗い今回のコンセプトフォトならではの良さ、と言ったものは私たちファンも感じるところかと思います。こういったきれいなだけではないけど、確かに私たちを揺さぶるもの、こそがChasingされているFeelingなのだろうな、と思います。
3.Back For More
こちらも、AnittaさんVerであればMVで歌詞の和訳が読めますね。
「どうせ物足りなくなって戻ってくるんだろう?」というのは、少年たちが出ていったNeverland側の最後の誘惑のように聞こえます。
振り付けにマイケル・ジャクソンのオマージュを入れているのも、Neverlandを想起させるしかけかな…とかおもってます(それってどうなんだよ?とも思うけど…w)
4.Dreamer
現実に降りてきた後の少年たちが、現実世界では魔法のような夢はもう見れないと嘆いています。ですが、そのうちに現実世界(地上)だからこそ星は輝いている、と言うことに気づき、これからはもっと実現に近い夢を追いかける立場になったのだ、現実世界だからこそ見れる夢もあるのだ、という方針転換をしていく歌かと思います。
「地上だから星が見える」は、デビュー当初からTXTの物語に散りばめられてきた「星の昼寝、星の目を覚ます」といった概念の回収でもあるのかな、と思います。さらに、「逃げ出そうか」といった文言もあるので、943も意識されているのかなあ、とか思ってます (今度ちゃんと考えます←)
5.Deep Down
韓国語の副題が「頭に生えたツノは王冠だった」ということから分かるように、デビュー曲「ある日頭からツノが生えた(CROWN)」のアンサーソングです。
歌詞の内容は、「君と出会ったことで、人との違いこそが自分の良さだと気づいた」という内容ですね。
The Name Chapterはその「名前」というテーマからして、個性の確立が主題だと思ってたんですけど、個性って自分だけで作っていくものじゃなくて、他人とのかかわりを通して磨かれていくんだよな~と改めて気づかされました。だからこれは、The Chaos Chapter→Thursday’s Childでの失恋の肯定でもあると思うんだよな。
で、CROWNとの大きな違いですが、CROWNは「君と一緒なら僕は完璧(君が言うなら僕のツノは王冠かも)」って文脈だったのに対して、Deep Downは「君のおかげで気づいたけど、僕の違いは僕の良さ(僕にも分かった、僕のツノは王冠だ)」ってもう君に依存していないんですよね。ようやく少年は自分の足で立ったのだ…と思いました。
6.Happily Ever After
個人的には一番大事な曲なんじゃないか!と思っています。
現実に降りてきた少年が気づくこと。それは「現実には台本がない」「必ずハッピーエンドが待っているわけじゃない」ということです。
歌詞の中でも、「お話だったら困難の後には勝利が待っているはずなのに」みたいな歌詞もあります。また、自分が主人公ではないという気づきも得ています。つまり、現実は頑張ったからといって必ず報われるのではない不合理さがあり、自分で道を切り開かないといけないという厳しさに直面するわけですね。
この「主人公じゃないかも」という気づきですが、DRAMAでの「僕は脇役だ」という悩みともつながります。でも、現実世界では誰しも、「主人公でも、脇役でもない、名前を持った個人」なわけですね。
7.물수제비
筋書きのない現実に降り立った少年たちの心には、想像していなかった感情が浮かんだり、ときには傷ついたりします。
それを水切り遊びによる水面のイレギュラーな動きにたとえた曲です。
それでも、「いつかは水面も穏やかになる」「傷を飲み込んだ分だけ強くなる」と少年たちは現実で生きていく力を得ていきます。
8.Blue Spring
ファンソングですね。これもコンサート映像に公式の和訳有。
アルバムの文脈で読むと、厳しい現実世界での魔法は「無償の愛をくれる君」という気づきの歌と言えるかとおもいます。
最早魔法は使えなくても、いつもそばにいてくれる「君」の存在によって、毎日を生き抜いていくって感じかな?
9.Do it like that
これもMVに和訳ついてますね。
これは物語に含めなくても良いかなあ、と思ったりもしたんですけど、あえて言うなら、日常にあふれる魔法のようなものを示してくれているように感じました。
例えばおしゃれをすること、大好きなあの子に心を揺さぶられることって、もう充分魔法だよね、みたいな位置づけかなあ、と。
<アルバムパッケージの話>
さてさて、今回の問題児パッケージの話をします笑。
FREEFALLのメイン3形態のパッケージの開け方ですが、右辺のミシン目をビリビリと破って開ける仕様になっていますね。一度開けてしまうともとには戻せないので、グッズの現状維持にこだわる傾向にあるアイドルオタクにとっては、それこそ地上に向かってダイブするくらい勇気の要ることだったりするわけです(言いすぎ)
で、破ったミシン目の裏の文言がコレです
Tear yourself away from what’s holding you back
Tearはミシン目を破るという行為ともかけているんだと思うんだけど、雑意訳すると「自分を思いとどまらせるものを断ち切れ」みたいな感じですね。what's holding you back(思いとどまらせるもの)は少年たちへの誘惑(Neverland)と言って良いでしょう。だからやっぱり、この開封作業は、少年たちの決意の疑似体験なんだな…と思いました。
で、誘惑を断ち切った私たちを3形態それぞれ、励ましのメッセージで迎えてくれます。
Reality:Despite how cold and damp this place might feel, face reality head-on (どんなに冷たくて暗い場所だと感じても、頭を挙げて現実を直視しろ)
Melancholy:Sometimes magical moments can be found in the most unmagical places (時に、魔法に瞬間は最も現実的なところで起こる)
Clarity: Even in a world where nothing is obvious or certain, there is still a dream to hold onto (たとえ何も信じられない世界でも、信じるべき夢はある)
cold and damp placeも、the most unmagical placesも、world where nothing is obvious or certain も現実の言い換えと言って良いでしょう。特に、現実がwhere nothing is obvious or certainというのは、コロナ禍を経た少年たちにはすごく実感があるのではないでしょうか。
なので、この3つをまとめると、現実にも魔法のような瞬間はあるし、夢を信じてもいい。だから現実に向き合って前に進め、という感じでしょうか。
Do It Like Thatを「日常にあふれる魔法」の歌としたのも、このメッセージたちが理由だったりします。
<現実におけるナラティブからの解放、成長とは自由になること>
さて、これらを通して、FREEFALLから私が感じたメッセージについて書きたいと思います。
一番は、「大人になるため現実に帰ってきた少年たちは、ナラティブから解放されてついに自由になったのだ」ということです。
これまでの少年たちは、ときに自分は脇役に過ぎないと悩み、ときにゲームクリアに向けリセットボタンを押し、懸命に「ハッピーエンド」をめざしてきたように思います。
しかし、今回現実世界に帰ってきたことで、もはやハッピーエンドにこだわらなくてもいい、決められたゲームのクリアではなく、自分の感じた夢を追って良いということに気が付けたように感じました。
なぜそれができるようになったのか。それは欠点や変えられない事実を受け入れることで、自分自身の個性を認め、「名前を取り戻した」からです。
Realityのコンセプトフォトには「in dream begin responsibilities」という戯曲のタイトルが隠れています。この戯曲では、「夢の中で過去は変えられないということに気が付いた少年が大人になる」過程が描かれているように思います
人との違いを受け入れ、名前を持つことで人は責任を取れるようになるので、責任とセットである自由(人生の選択肢)も手に入れる。そんな流れに感じました。今回のタイトルがただのFALLではなく「FREE」FALLなのも、こんなところに理由があるんじゃないのか!と!。
全体的に、つらい、しがらみが増えると感じがちな「大人になること」「現実に立ち向かうこと」をむしろ自由になるんだよ、と示してくれているTXTは素敵だなあ、と思います。
また、この「ナラティブからの解放」はもっとメタ的な話もできると思っていて。
例えば、TXTをはじめとしたKPOPにおける考察案件は、まさにナラティブを前提にファンがMVや歌詞を読み解いていく作業です(このnoteもまさにそうです)。
でもこれってかなり危険な側面もあって、「何かあるはず!」という思い込みで見えない物がでてきたり、思想を強めて行ったり、かなり陰謀論に近しいところもあったりするような気がしています。
また、KPOP(に限らず)アイドルの活動自体も、ファンや世間は無意識にナラティブに押し込めがちです。TXTで言えば、「BTSの弟分として鳴り物入りでデビュー。その名前が重たかったけどうんぬんかんぬん…大成功!」みたいな流れです。別に構わないっちゃ構わないですが、この流れの通りに行かなかったときに、勝手に失望されたり、期待外れだったねって言われちゃったりする危険性がある。
今回のFREEFALLは、こういった危険やしがらみからも私たちとTXTを解放してくれるアルバムだなあ、と思いました。
結構「考察わかんないから肩身が狭いんだよね~」的な発言とか、「考察のせいで音楽が純粋に楽しめないんですけど」的な発言とか(雑すぎてごめんなさい)聞くときもあったりします。でも、今回のFREEFALLは、そんな人たちにも救いになるつくりになっていて、すっごく素敵だなあ、と思ったのでした。
ラストの曲がDo it like thatであることのもう一つの解釈は、「物語に沿おうとしても、君みたいな人がひっくり返しちゃうんだよね。素敵な君には敵わない!」みたいな、物語軸のぶっ壊しかなあ、とかも思ってたりします。
ザクっと書くとか言っときながらめっちゃ長い!ありがとうございました!!!
以下、参考
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