ビッグイシュー”前日仕入れ”の一コマと、9月1日号「秋こそ、ソロキャンプ」
月末と14日は、ビッグイシューの最新号が印刷所から事務所に届く日だ。ビル前に到着したトラックからは、代車+バケツリレー方式で、50冊毎の束になった雑誌の包みがビッグイシュー大阪事務所内へと搬入されるのだが、いつも販売者さんたちがこの搬入を手伝ってくれている。
新しい号の発売日前日(月末と14日)は、その前号の売り上げが一段落しているということもあり、販売を休む販売者さんも多い(その判断はもちろん販売者さんそれぞれ)。そして事務所にやって来て、新しい号の“仕入れ”をしていくのだ。また、この日は販売者さん同士が顔を合わせやすい、コミュニケーションの機会でもあり、仕入れが終わっても事務所内でおしゃべりを楽しんでいく人が少なくない。が、今はコロナ禍で密を避ける必要があるため、あまりゆっくりくつろいでいただけないのが本当に申し訳ない……。
この時、編集部スタッフを見つけると、「今回の表紙はええなあ」とか「これ、誰や?」とか「なんでこのテーマなん?」とか、さまざまな意見や感想が飛んでくる。販売者さんからのそんな質問や意見を浴びるのもルーチンの一つ。編集部スタッフにとっては非常に緊張感が走る日でもある。
9月1日号の表紙は、特集「秋こそ、ソロキャンプ」に合わせた、chiseさんによるイラストだ。深い緑の背景、焚き火をするクマ。なぜクマなのかは、それぞれのイマジネーションにお任せしたい。この表紙を見た販売者さんたちからは「楽しそうで気持ちが明るくなる」「ページをめくりたくなる表紙やな」と言っていただいた。
※ 9月1日号の詳しい内容はこちら
女性たちによるソロキャンプーー。水越洋子編集長による企画だ。みんな、どこでどんなふうにテントを張っているんだろう? 何を作って食べているんだろう? どんな時間を過ごしているんだろう? 上級者の方々とビギナーの方々、それぞれのソロキャンプを教えてもらった。私はソロキャンプを始めて間もない女性3人にお話を聞かせてもらったのだけれど、みなさんとても楽しそうにいろいろなエピソードを話してくださった。そんな胸はずむ世界があるのなら、これはもうぜひ試してみたい…と、私もあっという間に引き込まれた。
この前日仕入れの日になると、思い出さずにはいられない販売者さんがいる。数年前にビッグイシューを卒業されたPさんだ。Pさんは最新号が届くこの日に、誌面を丹念に読みこむ方だった。そして、「ここ、誤字ちゃいますか?」と、編集部+校正者+印刷屋さんの誰もが何度も目を通しても気づかなかった誤字を見つけるという、卓越した校正スキルをもっていらっしゃった。それだけではない。特に社会的なテーマを扱った記事に対しては、「僕はこれについてはこう思う」と鋭いご意見もくださった。なのでPさんが最新号を黙々と読んでいる姿を見ると、今回はどんなご意見をくださるのだろうかとドキドキした。ビッグイシューをやめて数年後、Pさんがお菓子の差し入れとともに、ひょっこり遊びに来てくださった時があった。柔らかい表情をされていた。それ以来お目にかかっていないが、今も、少し離れたところから、厳しい目で読んでくださっているだろうか。
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