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#BlackLivesMatter 抗議運動を受けて考えたこと

アメリカ、ミネアポリスでジョージ・フロイド氏が白人警官により窒息死するという事件を受け、全米で抗議デモが広がった。この運動を受けて、いろいろな情報を見ながらしばらく考えていた。答えが完全に出ているわけではなく、モヤモヤする部分も残るが、今考えたことを留めておいた方が良いと思った。

ブラックカルチャーと人種問題

わたしは物心ついた頃からヒップホップをはじめブラックカルチャーに魅了されてきた一人だ。彼らの造った文化や音楽にのめり込んでいく中で、黒人が黒人であることを理由に不当な扱いを受けてきたこと、それが現代でも残る問題であること、彼らの作品に強く警察や社会に対するメッセージが込められていることを知った。

ただ、アメリカやブラックカルチャーに色濃く残る問題を分かってはいても、やはり日本の田舎で平和に育った自分には完全に理解できない部分があった。今はあまり聞かなくなったが、10年前くらいは日本でヒップホップをしても結局フェイクでしかないと批判する人も一定数いた(人種問題だけでなくギャングの現状にも絡むが)。ヒップホップが好きと言ってもやはりそのメッセージやバックグラウンドに対して完全に共感できているわけではなく、これってフェイクなのでは?と感じ、そこが悔しくもあった。

スパイク・リー作品を通して知ったこと

音楽だけでなく、映画もよく観ていた。高校〜大学の頃にスパイク・リー監督を知った。アメリカの映画監督で、人種差別問題を主とした作品を多く生み出している巨匠である。

特に「ドゥ・ザ・ライト・シング」は監督自身が主演も務めており、ヒップホップカルチャーの中でも金字塔的作品だ。わたしは、大学くらいに観た気がするが、正直、この映画を通してもまだ理解できなかった。一見平和に見える暮らしの中で、ふとしたことがきっかけでこの根深い問題に対する怒りが爆発してしまう感覚。積み上げてきた、我慢してきたものが無いと完全な理解は難しいと思った。

ただ、監督が長年人種問題を提起した作品を作り続けていること、それは現代においてもこの問題が解決していないということで、そのメッセージは明確に理解できた。

「デトロイト」を観て変わったこと

2018年、「デトロイト」という映画を観た。1967年に実際にデトロイトのモーテルで起きた事件を題材としている。黒人への不当な暴行、殺人の様子を非常にリアルに描いており、まるで自分がその場に居合わせたような感覚に陥った。

映画館で観たのだが、自分でも信じられないくらい泣いた。彼らの、怒り、恐怖、悲しみを体感し、その事件だけでなく長い歴史の中でずっとこの苦しみに耐えてきたのかと思うと吐き気がした。同時に、今まで何か引っかかっていた人種問題への理解が、完全にクリアになったわけでは無いものの深まった感じがして嬉しくもあった。今思うとこれは単に映画を通して仮想的に体験したに過ぎず、ただの自己満足であっただろうが、いずれにしても彼らの気持ちを理解する一助となったことは確かだ。

なお、この「デトロイト」にはスターウォーズのフィン役でも有名なジョン・ボイエガが出演している。彼は黒人の立場でありながら地元の警官という非常に難しい役柄を演じていた。今回の一連の事件を受けてロンドンで抗議活動にも参加しており、役者生命をかけて問題に取り組んでいる。

自身の身に置き換えて考えてみた

さて、今回の問題は日本にいるわたしたちには関係ないことだろうか。幸い、わたしは国内でも海外でもあまり危険な場面に居合わせたことは無いが、こんなことがあった。

インドに旅行に行った際、空港を出て待ち構えていた大量のタクシーの客引きを避けて歩いていると、ある運転手からアジア人を馬鹿にする言葉を吐かれた。咄嗟のことで、直後は反応できず、数秒して、ああ、今のは差別用語で、自分に対して発せられたのだと理解した。何も言えなかった。何も言えなかったが、明確に覚えているし、おそらく忘れないと思う。
最近、渋谷警察のクルド人への職務質問の件が話題になった。奇しくも、海の向こうで大勢の人が抗議している中起こったことだ。もしかしたらこういうことは頻繁に起きていて、たまたま今回の件がSNSで拡散されただけかもしれない。勿論こういった問題に直面している人とそうでない人がいると思うが、少なくとも東京は様々な国籍の人が暮らす都市であるし、やはり日本でも他人事では済まないだろう。

上記は決して黒人差別の例ではないため、今回の事件、運動の引き合いになるかは分からないが、わたしたちはときに加害者にも被害者にもなり得ることを感じた。

何をすべきなのか

色々な投稿やニュースをみて、いま果たして何ができるのか、考えた。

(1)金銭面での支援

団体への寄付。"行動”に直結しており日本にいてもオンラインを通じて一番簡単にできることだろう。ただSNSに投稿するだけは支援ではないと思う。i-Dの以下の記事がわかりやすかったため貼っておく。

(2)人種差別の歴史と何が問題を知ること

そもそも、今回の件は2020年にあってはならない事件だとは思うが、簡単に片付けられることではなく、歴史的にもずっと続いてきた問題なのだ。明確な意見を持つために、事実を知ること。知らないことは多い。Netflixをはじめ、人種差別問題をテーマにした映像作品や記事が多数出ている。無料でアクセスできるものも多い。学ぶこと。

(3)身近な人と話すこと

結局、社会が変わる=人が変わるということだろう。一人では影響力は弱いかもしれないが、この問題について意識する人が増えること、それが変化につながっていくのでは無いか。またディスカッションすることで、自分の意見の推敲にもなり、より強固な考えに近づけることもできる。

まとめ

何だか最後綺麗ごとのようになってしまったかもしれないが、以上がいまの考えである。色んな意見を持っている人がいて、結局正解なんてわからないしやはりモヤモヤする。

ただ少なくとも、この騒動が収まったとしても、わたしはブラックミュージックや彼らのカルチャーを好きでいる限り人種問題に触れていくのであろう。今回の事件が教訓となり、更なる悲惨な事件や被害者が生まれないことを願う。

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