「本気だったら、自分だけの夢じゃなくなる」俳優・モデル、安藤慶一さんへインタビュー。
俳優・モデルの二足の草鞋を履き、「アンドレ」の愛称で親しまれている安藤慶一さん。
主演作品では映画賞を受賞する実績を持ち、各国の中高学校で陸上教室・講義をする先生としての顔も持つ多彩さには、尊敬の念が尽きません。
モデル業をしていた当時、パリ・ミラノで共に奮闘した兄貴のような存在。
昨年、念願のパリで活動を開始。常に有言実行でストイックなアンドレに、過去の体験談から今後について、幅広くお話を聴く機会をいただきました。
▼慶一さんプロフィール
ー教員への夢が原点って本当?
そう。家族の影響もあって、教員になることが子どもの頃からの夢だったからね。
大学生の頃、1ヶ月間の教育実習で朝のホームルームを続けていたら、自分の引き出しの少なさを痛感した。
・目標はどうやって持てばいいですか?
・先生の夢はなんですか?
・どうやって夢を叶えればいいですか?
って生徒たちに聞かれて、自分自身が教育とスポーツ中心の家庭環境だったから、人生の何を学んできたんだろうと考えさせられて。
だから、他にも多くいる先生ではなくて、夢を与えられる先生になろうと決めたんだよね。
ー教員から芸能へ進んだ展開は?
生徒たちと話していると、自分自身の夢も聞かれることが多くてさ。
教員としての勉強と並行して、昔から憧れていたディズニーやガンダム、仮面ライダーに関する企業の採用試験も受けた。
結果として、ディズニーのホテルへ就職したんだけど、そのことで夢が叶ってしまったから、次の夢を設定しないといけなかった。
だから、大好きな仮面ライダーになりたい!と、今の(芸能へ進む)夢を掲げるようになったんだ。
全ての現場で「安藤慶一です。仮面ライダーになりたいです。」って自己紹介し続けているよ。
ーモデル活動について
ー日本人としてフランスで活動していて、苦しいことは?
ないけど、強いて言えば日本人に対する固定概念かな。
アイデンティティや外見、日本人ってこうだろ?という固定概念が強い。
キャスティングも偏った役が多いし、「今はいろいろな見た目や考えの日本人がいるのに」と思うときもある。
ー東京とパリの違いは??
そもそも概念が違う。
東京で求められていること、パリで求められていること。
例えばBIGメゾンの広告モデルでも、東京だったら知名度・人気度も踏まえてキャスティングしているよね。
パリでは、商品の広告に合うモデルは誰なのかを見て決める。
有名か人気かではなく、ブランドの顔としてイメージが合うかが判断基準なんじゃなかな。
ファッションに携わるなら、パリの概念のもと携わりたい。
モデルや俳優をするうえで、方向性をしっかり持つことは重要だよ。
見てもらいたいんじゃなくて、魅せたい。だから俺は、海外の方が方向性にあっている。
ー日本と海外の違いは?
日本は、モゾモゾしている人に気を遣って話しかけるじゃん。
外国は違う。モゾモゾしてると誰も気にかけない。
イギリス留学では、「嫌われたら嫌われたらでいいや。Yeah!」ってテンションで積極的に輪を広げていた。
そのメンタリティが今、芸能活動に活かせているかな
ーMr.Worldも目標の1つだった?
どちらかというと話題性、実績作りが目的。
当時は実績もなく、芸能という業種も知らないことだらけだったから「世界大会=オリンピックみたい!」って昔からの憧れにフィットして受けたんだ。
当時は24歳だったけど、挨拶回りに顔を出した会社で「今すぐ投票してください。」って携帯を開いてもらったりもした。
こんなところでビビってちゃダメだと思っていたからね。
コンテストを通じて、子ども達に向けて陸上教室の運営をしたり、学校に講演する機会を作ることができたし、陸上選手としての経験も活かせているよ。
ー芸能を目指すのに大切なことは?
金持ちになりたい。有名になりたい。・・・その後は?って問い詰めてこの仕事を選んでほしい。
「有名になりたいって、どの程度有名になりたいの?」って問い詰めたら意外と明確な答えが出ないから。
何を目指して俳優やモデルをしたいのか、明確じゃないとね。
ここまで自分を応援してくれる人がいるのは、ただ有名や金持ちになるのが目標ではなくて「仮面ライダーになりたい」って明確な目標があるからだと思う。
ー仮面ライダーの夢が叶ったら?
仮面ライダーになりたくて逆算して動いているから、叶ったら芸能の夢はゴールかな。
公言し続けていたら、仮面ライダーになることは俺だけの夢じゃなくなったんだよ。
万が一この夢を諦めるのなら、相当の理由が必要だね。
本気だから周りにマイナスなことを言われても、プラスになることの方が大事。
公言してマイナスなことを言われて砕けるくらいなら、本当の夢じゃないと思う。
ー最終目標は?
拠点を決めずに表現者として生きること。
ヨーロッパではファッションに携わり、世界中でハリウッド映画に携わりたい。
教員になると同じ学校で同じ地域の子どもにしか教えられないけれど、表現者として講演をまわれば全国の子どもたちに夢を与えられるしさ。
世界で通用する表現者になるのが大きな目標。
仮面ライダーになることも、通過点なのかもしれないな。
▲代表作の「Last Lover」はジャパン・フィルムフェスティバル・ロサンゼルス 最優秀アンサンブル賞を受賞。
ー将来、子どもたちに話したいことって?
俺は最初から、成功する人生じゃないからさ。
でも、少しずつ進むタイプの人生だからこそ、子どもたちに話せることがある。
最初から飛躍する人には憧れるけれど、試行錯誤して進んだ人間が教えられることもあるし、失敗談もたくさん話してあげられるからね。
ラッキーだった人生を話したいわけじゃないし、すごい人になりたいわけじゃない。
結果までの過程、中身を話したい。
ーありがとうございました!
どのような経緯で芸能を開始したのか、どのような気持ちで続けているのか。心の底から出てくる言葉の数々に圧倒されました。
今後も夢を叶え、夢を与える存在として、応援しています!!