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Report_NYC#2


2日目:12/4

ちゃんとまとめていきます。
長いです。長いので2日目は2本に分けます。

■ High Line

High Lineはマンハッタンにある廃線になったウエストサイド線の高架部分に建設された空中線形公園で、2.3kmの長さがある。公園というより緑道といった感じ。当時の線路をそのまま残しながら、それに沿うように作られている。

ハイラインにはさまざまな形状のベンチが設置されていて、それぞれ明確な目的を持って設置されているように感じた。

取りこぼしているものもいくつかあるかもですが、以下が観察して記録してきたベンチたちです。

【Research_ベンチ】

・01

ハイラインで一番みられるスタンダードなベンチ。
線路の枕木として使用されるイペ材が選定されており、コンクリートと木材の境界部分には鉄道のレールを彷彿とさせるスチールが使用されていた。
排水のためのグレーチングが座面と同じ幅で真下におさめられていて、オブジェクトの影のようにさりげなく、意匠的でもあって良い…と思った。

・02

入り口付近に設置されている大きめのベンチ。
こちらは点在しておらず、似た形状のものは場所によって段数を変えていたり、ワイドが変わっていたりする。
コーヒーを飲んでくつろぐ人、写真を撮る人、上に登って遊ぶ子ども…とさまざまな行為が共存するベンチだった。
向かいにはVesselがあるためか、撮影のために登っている人も見かけた。
こちらも01と同様に素材はイペ材。

・03

ベンチが見せたかった景色


傾斜が他よりなだらかで、座ると自然と空が目に入ってくるように設計されたベンチ。足が伸ばしやすいように座面は長く作られている。リラックスする姿勢を取ることでリラックスする。
姿勢や行動が先立ち、そこに感情や感覚がついてくることを感じたベンチだった。

・04


階段状の劇場型ベンチ。
目線の先には窓があり、高架下の道路を眺めることができる。
普段とは違った視点から街を眺められる。

・05


頭まで支える形状
見える景色


街中へ向かって設置された展望ベンチ。
ストリートの芯を抜いてくるような位置に設置されていた。
背もたれが長く、頭まで安定して支える形状。ベンチ自体がみて欲しい場所を私たちに示しているような置き方と形状。

・06


ちょうど塗り替えのタイミング。
消されてゆくwall art


劇場型ベンチ②
こちらも階段状に組まれており、視線の先には大きな壁面が。
定期的にアーティストが入れ替わり、wall artを描いているみたい。
計画の段階から、ここをキャンバスとして使用するアイディアがあったことが素敵だと思った。

・07

車輪ついてる!

車輪付きのベンチ。
ちょうどレールの上にまたがるようにして設置されたベンチ。
空を見せるベンチと仕様は同じで、異なる点は車輪がついていること。
実際に動かすこともできた。

以上がベンチ。
多様な視点とさまざまな滞在の仕方が見られるデザインだった。一つ一つ、細かな部分まで明確な意図を持って設計されているような印象を受けた。

【Research_おさまり】
・線路と舗装部分の境界

植栽と歩道の間

レールで縁が切られていて、見切り材としても機能させていたり、舗装する部分に関しても線路は潰さずに残されていた。
線路の間にはさまざまな植物が見られ、こだわりを持って計画されている。
下記のような植物だけのガイドも存在している。

Plant List :
http://files.thehighline.org.s3.amazonaws.com/pdf/High_Line_Full_Plant_List.pdf

Web :
https://www.thehighline.org/gardens/garden-zones/

残念ながらこの季節…冬以外の表情が見たかった…切実に…

・パーティション

パーティション
留め具

一見すると何でもないようなパーティションだが、植物を見せること、目線の下にくる線路が見えやすい、ノイズの少ないデザインになっていた。安全性を考慮してなのか、ゴム製だった。留め部分もシンプルだけど気の利いた感じがして良い。

【Research_sign】

クラシカルなフォントで統一されており、世界観に合わせたものになっていた。フォントの特定には至っていないけれど、どんな理由で選定されたのか
その背景が気になる。

【Research_other】

・境界

ハイラインに沿うようにして建っている神学校。
この緑道ができたことがポジティブに捉えられているような印象を受ける。
敷地と敷地の境界はあるのに、同じ空間を共有しているような、柔らかなつながりを感じた。


■ Vessel

ハイラインのほぼスタート地点に位置している、ヘザウィックがデザインした、蜂の巣状の展望台みたいな建築。
こんなの考えて実際に建ててしまえるのがすごいな…と思う。
銅板が美しいアールで曲げられていて周囲の環境を映し出している。

Vessel
下層エントランスから


寄り

本当は登りたかったのだけれど、自殺者が出たため、閉鎖されていた。誰も登れない、大きな彫刻として街に存在している姿は何だかとても皮肉だなと思いながら見てしまった。

この建築が完成した時、無駄遣いだとか、けばけばしいとか、バリアフリーが考えられていない、とかとかの否定的な意見も飛び交ったらしい。
そもそもこの議論が起こること自体、この建築がみんなの注目を集める力を持っているということで、確かに、ものとしてのアイデンティティ、強さがあるなと思いながら見ていた。

あまりにも個性的な建築が建つことによって景色がガラリと変わってしまうことを否定的に捉える人が少なくないこともわかる。
建築は見たくないなら見なければいい、気に入らないならそばにおかなければいい、みたいな考え方ができないから。
どうしても景色として目に入ってしまうものだから、一人の作品として自我を通し切ることが難しいだろうなと思う。
その中でいろんなものと戦いながらこの形状を実現させていること、そしてこれを後押しした人がいること、そういう熱意やサポートがあってこそ建築やデザインの畑は耕されていくのだろうと思いながら見ていた。

■ THE SHED

vesselの横に建っている。
ただのおしゃれなアートセンターではなく、外殻がスライドして建築が拡張するとんでも建築。
行った時は一番殻が開いている状態だった。動いているところ見てみたかったな。
外殻を動かす大きな車輪とレールを観察。

どでかい車輪
レール


疲れた。。。でもまだ2日目の半分。
全部まとめ切る前に年越しそうです。