riho moroto

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感覚の孤独

マスクの着用が強制ではなくなって最初の春。 久々に外気の香りが濃く感じられる。 早く咲いてしまったのか、アベリアと桜の甘くて少し苦い香りと土からわき立つあたたかな陽の香り。 この土臭くてほのかに甘い香りがするのが春の匂いなのだったと思い出す。 ずいぶん前に小学校の先生だったかに 「空気って季節によって匂いが変わりますよね?」 と聞いたら 「独特な感性をしてますね。私には全て同じ香りに思えます。」 と返されて、自分の持っている感覚がみんなに共通のものではないことを知り、驚いた

    • たまには静かに怒りたくなる時もある。

      人から言われた善し悪しの判断基準が、単にその制作者のことを知っているかと、その人との親密度で裏付けられた愛着でしかないと解ってしまった時、それでもその人のことを信じ続けられるのかは少し難しい問題である、と思う。 人に評価されるのも、人を評価するのも嫌いだと言っておきながら 自分はどうしようもなく人の評価に敏感である。それも嫌。 綺麗事だと言われるかもしれないが、綺麗事がほんとうになれば綺麗事ではなくなるではないか、とも思う。 手が届かないものやできないことの言い訳として綺

      • ショートケーキのいちご

        暑い。暑すぎる。 電車から降りて家に帰る時間はもう23時だというのに、外の空気は 昼のうちに温められたビルや道路にしっかりと保温されていて、鬱陶しい湿度とともに帰路をいっぱいに満たしている。最悪だ。 あまりの湿度に溺れるんじゃないかと思うほど。息をするのがつらい。 こんな道を歩いていると疲れが2倍、3倍にも膨れ上がって行くような気がして一歩一歩が重たく感じられてくる。脊髄反射でクーリッシュを買う。 最近、以前より小さな我慢をしなくなった。 クーリッシュを片手でぶんぶん振っ

        • 深淵をのぞく時深淵もまたこちらをのぞいている

          花はただそこに咲いているだけで美しい。 そう思って生きてきた二十数年だったが、ある商業施設の花壇に物凄い密度でぎゅうぎゅうに植えられた花たちを見て、美しいという気持ちより く…苦しい…という気持ちが勝った。 しかも、密度だけではなく、取り合わせもよろしくなかった。 個性が強く、彩度が高く、その上、主役張れますけど?みたいな顔してるお花ばかりが選りすぐられていて、花壇全体に澱んだ空気が漂っていた。 とっても一生懸命なのだけど、その一生懸命さが裏目に出ている救いようの無さに

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        感覚の孤独

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          Report_NYC#5

          自分のためとはいえ、ちょっともう疲れてきちゃったのでミュージアムで括って最後にしたいと思います。 おまけでパフォーマンス系も。 MoMA 美術を専門に勉強していた身として行っておかなければ…と行ってきた場所。現代アート概説で聞いた作品がずらり。当たり前だけど全部本物だ! ピカソのエリアに人がめちゃくちゃ多くいて、どこでも人気なんだなピカソってと思いながら通り過ぎる。 途中で写真を撮ることを諦め、頭を空っぽにしてただ作品を浴びてくることだけに注力。 Solomon R

          Report_NYC#4

          前回と期間がだいぶ空いてもう記憶も曖昧になってきてますが完全に忘れる前に書き切ります。書き切れるのか…? 3日目:12/5 ■9/11 Memorial Museum ・9/11 Memorial 9.11同時多発テロで崩壊したWTCの跡地に造られた巨大なモニュメント。 ツインタワーが存在していたほぼ正確な位置にNorth PoolとSouth Poolが造られている。 深く掘られた穴に向かって淡々と落ちていく水と、その周りを取り囲むようにして犠牲者の名前が彫られた石

          Report_NYC#3

          2日目:12/4 2日目後半戦。もうすでに飽和してる頭でさらに詰め込んでいく。 ■ Littele Island High Lineを下っていった先、右側の港方向に見えてくるLittle Island。 これもヘザウィックの建築。というかランドスケープ。 今年の初夏ごろに森美で開催されていたヘザウィックスタジオ展で模型を見てから行きたいと思っていた場所。こんなにも早く行ける機会が訪れるとは… チューリップ型のポットの形状、すごく好き。 想像していたよりこじんまりした印

          Report_NYC#2

          2日目:12/4 ちゃんとまとめていきます。 長いです。長いので2日目は2本に分けます。 ■ High Line High Lineはマンハッタンにある廃線になったウエストサイド線の高架部分に建設された空中線形公園で、2.3kmの長さがある。公園というより緑道といった感じ。当時の線路をそのまま残しながら、それに沿うように作られている。 ハイラインにはさまざまな形状のベンチが設置されていて、それぞれ明確な目的を持って設置されているように感じた。 取りこぼしているものも

          Report_NYC #1

          会社で運良く機会をいただき、ニューヨークへ研修に行ってきました。 初の英語圏。5年ぶりの海外! 遅らばせながら、記憶のあるうちに書き記しておきたいと思います。 完全に個人的な記録で特に1日目に関しては読んでも何も得られるものはないです。 年末暇で暇で仕方がない人向けです。 1日目:12/3 フライト ■ 成田-ロサンゼルス 久しぶりの飛行機でとてもわくわくする。 ゴーっと加速して機体がふわっと浮く瞬間がいちばん好きだ。 いよいよ、という高揚感と忙しない日常からも身体が

          ギリギリのときに作る餃子

          あーーー無理!もう脳みそが限界で仕事なんて手につかない! でもやんないとヤバイ! でも創作意欲は有り余ってて手は動かしていたい! でも脳に負荷がかかることはしたくない! そんなときにぴったりなのは餃子作りである。 とりあえずキャベツを無心で微塵切りにし、無心でひき肉と捏ね、無心で包む。 無心で単純作業やルーティンワークをしていると、焦った精神状態とか不安な気持ちとかがふーっと消えていって冷静になれる。餃子作り ≒ 写経と言っても過言ではない効果。 脳に負荷はかけたくな

          ギリギリのときに作る餃子

          12 / ...

          坂本龍一さんの「12」を聴いていて、ブレス音が消されることなく入っていることに驚いた。その驚きは人にしか作れないものについて考えるきっかけになった。 AIが日に日に進化を遂げ、今日のクリエイターやデザイナーの役割や今後の芸術表現について、嫌でも考えさせられる。 決して技術を否定しているわけではない。 正しく使えばより豊かに文化を耕していくことができるだろうと思う。 しかし、彼ら(AI)に作れなくて、私たち人だからこそ生み出せる価値や、人じゃなきゃ生み出せないクリエイティブ

          通学路

          駅前は商店街だったらしい形を残していて、ずいぶん前に閉店した精肉店のシャッターは開いていて、埃をかぶって時が止まったままその姿を残している。そこで買い物をする、経験していないはずの記憶を想像する。きっとソーセージやコロッケやハムカツが並んでいたに違いない。空っぽのショーケースのラインアップを考える。 踏切を渡るのが怖かった。大きな音が昔も今もずっと怖くて苦手だ。 同じ通学団の一学年下の男の子たちがアマガエルを線路に投げ込み、電車に轢かせて遊んでいた。カエルは水風船みたいにパ

          やりたいことリスト:引っ越す

          今年のやりたいことリストの一番上の行に「引っ越す」という項目がある。 有言実行を体現していきたい自分としては絶対に今年中に引っ越すのだ!と強い気持ちで過ごしてきた半年。この間良さげな場所を見つけ、契約のところまで来れました!やったー! 今住んでいるアパートは木造で隣の部屋の物音が結構普通に聞こえてきてしまう。ほぼ毎日お隣さんはオンラインゲームを楽しんでいるようで、悲鳴にも似た楽しげな叫び声が聞こえてきてなんとも賑やかである。楽しいことがあるって幸せなことよね、と仏の心を持っ

          やりたいことリスト:引っ越す

          覚えておかなくて良いことに脳のメモリを喰われている。

          ・新品でもないアイロン台を小脇に抱えながら電車に乗っている男性を発見。アイロン台以外に荷物も何も携帯していなくて謎すぎる。急にアイロン台だけ必要になることってあるんだろうか。 ・神宮前から表参道にかけての大通りはいつも多くの人でごった返している。シッターさんっぽい男性がずーっと英語で5,6歳の男の子と4歳くらいの女の子に何やら話しかけているけれど、二人とも言語は違うのに要領を得ている風で会話が成立していておもしろいな〜と思いながら見ていた。どういう関係なんだろうか? ・女

          覚えておかなくて良いことに脳のメモリを喰われている。

          日記の役割

          下北沢で日記だけを取り扱っている、素敵なコンセプトの本屋さんを発見した。日記は自分以外の人たちがどんなことを考え、何をみて、何を感じているのかを知ることができる貴重で興味深い書物だと思っている。 日記以外でも、詩やエッセイや論文ももちろんそうなのだけど、日記は本来誰かに向けて書くものではないからなのか、より個人的な文章で飾らない感じなのが好きだ。 その分、その人の世界観や感情、考えに引きずられるし、その人の核に触れるような部分があると、読むのにとてつもないエネルギーを要するの

          日記の役割

          新年と健康とコンビニ

          あけましておめでとうございます。 やっと平熱に戻ってきつつある今日。 大晦日の昼から体調を崩し、今日に至るまで体調が悪い。 つまり、今年に入ってから体調の良い日が1日もないことになるのですが、ずっとわけのわからない風邪に悩まされている年初め。 検査してもコロナもインフルエンザも陰性。 日常生活で自炊ができていないわたしの身体は7割がファミマ、2割がデイリーヤマザキ、1割が外食/Uberで構成されている為か、風邪への耐性がなくなっている。もっと生野菜を食べ、青魚を焼き、肉を喰

          新年と健康とコンビニ