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頚椎捻挫のあれこれ その①

捻挫と聞くと、真っ先に足首を思い浮かべますが、首も捻挫するんです。
真面目な話、頚椎の損傷は死亡事故や麻痺を起こすことがあるので
頚椎損傷の方のリハビリは本当にドキドキします。。。

頚椎捻挫って??

首に比較的軽度な外力がかかって頚椎周辺の靭帯・筋・椎間板などの
軟部組織の損傷を総称して頚椎捻挫と言います。ただし、明らかな骨損傷、
脱臼、脊髄損傷などの重症な合併症がないことが前提です。

ちなみに椎間板というワードが出たので余談ですが、椎間板は線維軟骨
形成されていて、良く間違えやすい硝子軟骨は関節軟骨を作ってます。
解剖学の先生のうち、8割はテストでこの問題出します。(しま調べ)

すごく脱線しました。
頚椎捻挫の症状は痛みと頚部の運動制限なので普通に生活できますが、
数日〜数週間ほど症状が続いたり、自律神経の異常によってめまい・嘔吐を
数ヶ月続くこともあります。これが俗にいう「むちうち」ってやつです。

受傷機転ははっきりと明らかなことが多いですが、サッカーのヘディング
などのプレーで小さいダメージが蓄積して発症することもあります。

具体的にはどんな動きで頚椎捻挫が起こる?

頚椎はさまざまな方向に複合的に動くのでそれだけ多様な
受傷機転があります。再発防止には受傷機転の分析が非常に大切です。

  • 屈曲損傷(首が前に曲がる)

  • 屈曲・回旋損傷(首が捻りながら前に曲がる)

  • 伸展損傷(首が後ろに曲がる)

  • 伸展・回旋損傷(首が捻りながら後ろに曲がる)

  • 側屈・回旋損傷(首が捻りながら横に曲がる)

この5つが典型的な損傷の仕方です。
それではまずは屈曲損傷から。

・ 屈曲損傷

頭を下げた状態で衝突することで頚椎後方組織の項靭帯、棘上靭帯、
棘間靭帯が伸張されて損傷します。特に最も危険なのは
頚椎軽度屈曲位(約30°)で軸圧を受けることで環椎破裂骨折を起こすことが
あるのです。

具体例は水泳の飛び込みやラグビーで頭を下げた状態での突っ込み、
柔道やレスリングでの投げ技で頭から落ちた時などの報告が多いみたいです。
アメフトではスピアリングタックルと呼ばれる頭から突っ込むタックルで
あまりにも多くの重大事故があったため、現在は禁止されており、
相撲のぶちかましもできるだけ手を添えるように指導がされます。

・ 屈曲・回旋損傷

先程の屈曲に回旋が加わると椎間関節付近に損傷が及び、
回旋制限が強くなります。
・・・これは解説これだけです。笑

・ 伸展損傷

頚部が過伸展し、胸鎖乳突筋などの頚部屈筋群が主に損傷されます。
重度の場合は前縦靭帯にまで損傷が及び、ハングマン骨折と呼ばれる
軸椎骨折が生じることもあります。

スポーツではラグビーにおけるハイタックルがリスクとなるため、
厳しく禁止されています。前述のスピアリングタックルはタックルした
本人に問題が生じますが、ハイタックルは相手の損傷となるため
責任問題としても非常に大きいです。

また、脊柱管狭窄を伴っている場合は骨折を伴わない脊髄損傷
(一過性四肢麻痺、中心性頸損)をきたすこともあり、危険が伴います。

・ 伸展・回旋損傷

先程の伸展に回旋が加わることで椎間孔が狭小し、
同側の神経根の圧迫と反対側の椎間関節への軸圧がかかります。
・・・以上です。笑

・ 側屈・回旋損傷

そもそも頚椎が屈曲or伸展位にある場合は側屈すると
勝手に同側の回旋も起こるため、純粋な側屈損傷はほぼないです。
そういいながらもこの受傷機転が頚椎捻挫の中で最も多いです。

ラグビーやレスリングのタックルで生じますが、筋力での保護が困難
なため、予防のためには基礎技術の習得が必須です。

重度の場合は腕神経叢損傷バーナー症候群が起こることもあります。
一般的にはこの神経損傷は一過性とされていますが、
腕神経叢損傷の中でも神経根引き抜き損傷の場合は不可逆的な麻痺を
引き起こします。

今日は病態を中心にまとめましたが、次回は評価項目やスポーツ復帰を
目指す上でのリハ内容についてまとめていきます。

一番上の画像ですが、こういう電車に乗ってないなあと思いました。
電車旅とか寝台列車とかかっこいいですよね。やってみたい。。。

それでは、また次回!

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