若い劇伴作家のための映画案内#19
カルト系ではくくれない? デイヴィッド・リンチ
デイビッド・リンチさん 亡くなってしまいました。78歳。
独創的であり、難解とも言われ、けして多作でもないけれど、
振り返ってみれば、米アカデミー賞監督賞の候補に何回もなっているし、
1990年には映画「ワイルド・アット・ハート」で、カンヌ国際映画祭の最優秀賞パルム・ドールを受賞しています。
そして、ドラマ「ツイン・ピークス」の世界的なヒットもあり、インデペントな印象の割には、めちゃメジャーだったりします。
自分で絵を描いて展覧会やったり、音楽作ってリリースしたり、MVもたくさん監督してます。
僕は高校生の時に「エレファント・マン」を映画館でみて以来、リアルタイムな観客でありますが、「エレファント・マン」はインパクトがありすぎてその後見返してないかもだし(苦笑) 、難解系のやつは2回見てもなかなか意味が分からなかったかも。。
劇伴的にリンチ作品の話が打ち合わせに出る時は「ツインピークス」くらいなイメージですが、多分、映画そのものや、映像の打ち合わせの時にはおそらく「リンチ的な」というキーワードはよく出てくるのかなあと思います。
さて、まずは、『エレファント・マン』(The Elephant Man)1980年。
名作。いまwiki見たら、1981年の日本での興行収入一位だって!
難解ではないけれど、モノクロだしかなり重い映画(でも映画館で号泣する人いたな)なのにそうか。良い時代だ。。
音楽はジョン・モリス。この時点でもベテランってことかな。エレファント・マンでアカデミー作曲賞にノミネート。映画自体も作品賞含め多数ノミネート。
この時点で新人監督ではあるものの、1976年の自主映画「イレイザーヘッド」の高い評価と合わせ、長編2作品で世界的に実力派監督として認識されていたかと。
それで、いきなり84年に『デューン/砂の惑星』です。ハリウッドって小規模な映画を何本か撮った優秀な若い監督をいきなり大作に抜擢ってあります。
ノーランもそんな感じか。
そして、興行的にも批評的にも失敗します。結構な批判だったんじゃないかなあ。やっぱり新人がオトナの事情に振り回されるといいことはないという事例かも。なんと音楽は ブライアン・イーノとTOTO。スティングが俳優として出ています。「デューン砂の惑星」は1965年に発表されたSF小説で、熱烈なファンが世界中にいるはず。(原作 最初しか読んでないか)
現在ではドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による二度目の映画化が進んでいます。音楽は ハンス・ジマー先生。
過去にはアレハンドロ・ホドロフスキーが映画化を試みるけれど、失敗。その過程が『ホドロフスキーのDUNE』というドキュメントになっていますが、これは必見の面白さです。
正直、多分当時はこれでリンチさんもダメかなというムードだったと思いますが、その反省を生かして。1986年に『ブルー・ベルベット』で復活。再びアカデミー監督賞にノミネートされる。音楽はアンジェロ・バダラメンティさん。
さらに90年には、テレビドラマ『ツイン・ピークス』が世界中で大ヒット。ブームになります。そして、『ワイルド・アット・ハート』で、カンヌパルムドール賞。音楽は2作とも引き続きアンジェロ・バダラメンティさん。
この後のリンチさんの作品はほとんど担当。
その後の作品は 97年の「ロスト・ハイウェイ」2001年の「マルホランド・ドライブ」2006年の「インランド・エンパイア」と評価の高い作品が続き、
全部見たけれどどれがどれだったかよく覚えていない笑 的な、なかなか一筋縄ではいかない映画ばかりです。
CDも何枚も出していますが、サントラというよりはアート作品という感じかな。
リンチ映画ファンという人は本当に多いと思うので(というか否定する人はあまりいない系のやつかも)基礎知識として入れておく監督・作品かと思います。
おまけ。
別のノートでビートルズ楽器として紹介した Fender のBass VI。
使い道がなかなかない楽器なのですが笑、
Twin Peaks のテーマ曲で使われたようです。(諸説あり)
https://www.youtube.com/watch?v=FWv014kGVKU
映画をメインに劇伴の音楽プロデューサーをやっています。
音楽打ち合わせの時には、具体的な映画のタイトルが飛び交うことが多いですが、若い作曲家にとっては生まれる前の映画なんていう場合も多く、
どこから手をつけていったらいいかわからないなんて話も聞くので
打ち合わせで実際に出た映画とかを(不定期に、、、)紹介していきます。
何か、間違っていたことを言ってたりしたら、ぜひ、ご指摘いただければと
思います!
僕は映画評論家でもなんでもないので、こうやって文章を書くためには、ぼんやりとした記憶をネット検索や持っている本とかでちょっとだけピントが合ったものにしているわけです。なので新発見は何もないので、どなたでも得られる情報を、飲んだ時にちょっと偉そうに話したがるおぢさんの長話程度に読んでもらえると幸いです。