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たしかに縄文人の足は普通だった〜岡本太郎展を見て
縄文人を見たAマッソ加納愛子さんのつっこみ。
「足は普通なんや」の足は、たしかに普通だった。
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トップスボトムスをパリコレ並みに着飾っていても、足元は内海の海岸通りを砂まみれで闊歩するビーチサンダルのような人はいる。
やはり直立という役目を果たすためには、足は実用、大地に根付かせる、でなければならないのか。
さすがの岡本太郎も本能には逆らえなかった、ということを加納愛子さんに教えてもらいました。
岡本太郎展。
6章に分かれた部屋に踏み入れるたび、原色がばんばん飛び込んできます。
立体物も絵画も、その多くにとんがりが描かれたり、突き出ていたりしてます。
先端恐怖症の身としては「アンダルシアの犬」のカミソリと、「時計じかけのオレンジ」の目薬を思い出してしまい、疑似ちくちくが体中を駆け巡りました。
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タイトルと照らし合わせて見る作品に首をかしげることもあります。よくわからん。どういう意味?なにを表しているの?まあでも、すぐにそんなことはどうだってよくなります。
目から飛び込んできたナニカは、頭のてっぺんを通過して下半身に向かってぞわぞわちくちく刺激しながら蠢き、足の先っぽの細かな毛穴から這い出して床にガチッと爪を立てる。
そうなったらもうしばらくは動けません。
そんな圧倒的なパワーがあることだけはしっかり感じます。
岡本太郎の言葉としては「芸術は爆発だ!」があまりにも有名ですが、芸術活動をしていない身としては、火を点ける導火線さえ持っていないため、爆発活動とは縁遠いです。
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どちらかというともうひとつのこれ、開き直りつつも妙に説得力のあるこれ。
「グラスの底に顔があってもいいじゃないか」
自分でグラスの底に顔を作っておいて「なんだこれは!」と叫び、
続いて「グラスの底に顔があってもいいじゃないか」と開き直る。
みごとなボケツッコミです。
これまでの当たり前や常識や誰が決めたかわからないルールのようなものがあって、それらに対して「◯◯でもいいじゃないか」と立ち止まらせ、考えさせ、見つめ直す、そんな効果ある言葉で、大切なときに思い出したいツッコミですね。
岡本太郎展はそんな「いいじゃないか」にあふれていました。
縄文人の足が普通であっても。
梵鐘にとげがあっても。
真っ赤なリボンがでかくても。
背中にぜんまいネジがあっても。
「明日も太陽は昇る。あなたの十代の娘は何でも分かっているように口答えするだろう。皮膚病やら湿疹、布団からカエルが飛び出すこともない。あなたの住宅ローンは増えない。明日からもただ毎日が続く」
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いいじゃないか。