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歌があれば幸せ(1) ダーク・ダックス「銀色の道」

 唐突ですが、私が好きな歌たちについて、これからシリーズで綴って行こうと思います。
 第1話は、ダーク・ダックスの「銀色の道」です。
 毎夜酔っ払って帰宅する父親でしたが、この曲がテレビから流れると、とても深い世界に残してきた希望や辛さなどが、その瞳に現れました。
 昭和30年代について語る方が多いと思いますが、戦争が終わってまだ10年もならない、先の見えぬその時代を生きていた人たちは、すべて戦争体験者でした。私の父も復員者としてようやく脱皮しかけたころだったと思います。戦場に送られ、鉄砲をもたされ、人を殺して復員した数多くの名もなき男の一人でした。
 今から思えば、壮絶な体験を強いられたのに、グッと我慢をし続けながら生きていたのだと思います。
 あれから数十年。
 お酒を飲んでいると、記憶の遠くから、この歌が聴こえてきます。
 父と幼い私の歌でした。
 中嶋雷太
 
 

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