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私の好きな映画のシーン(39)『月の輝く夜に』

 大人のロマンチック・コメディ映画が好きです。このジャンルで初めて好きになった映画は『ローマの休日』で、忘れもしない小学二年生のころ、両親と一緒にテレビで観て感激したのを覚えています。
 以来、無数のロマンチック・コメディ映画を観ましたが、1988年日本劇場公開の本作も、なかなか楽しく素敵な映画でした。ニューヨークのリトル・イタリーに長年住むイタリア系アメリカ人の大家族の、すれ違いや出逢いのストーリー・テリングの面白さは秀逸でした。
 未亡人のロレッタ・カストリーニ(シェール)は婚約者の弟ロニー(ニコラス・ケイジ)にオペラへ誘われ、白髪混じりの髪を染め、オペラ観劇用のドレスを着込みメトロポリタン・オペラに出かけます。これでお別れの最後のデートで、ロニーはさらに見惚れてしまいます。
 十代前半ですか?と思いたくなるような子供じみた淡いセンチメンタリズムを売り物とする映画やテレビ・ドラマが多い昨今、深くて太くて熱いこの作品こそ、大人のロマンチック・コメディではないかと思っています。
 マンハッタンの夜空に、あちらこちらでカメラに収められる満月のシーンは、原題"MOONSTRUCK"の意味を深めます。中嶋雷太

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