ビーチ・カントリー・マン・ダイアリー(35)「秋の夜の花火大会」
今日、10月19日(土)は地元で「ふじさわ江の島花火大会」が開催され、秋の夜空に描かれる花火を堪能しました。
海水浴シーズンには毎週一回ほどの5分間の花火が打ち上げられていましたが、今宵は30分。長すぎず短すぎずのほど良い尺だったので、首も痛くなりませんでした。そして気温。花火大会といえば真夏の夜空を彩るものですが、10月も中旬を超えたので、夏日が続くとはいえ、午後6時には涼やかな風が吹いており、汗もかくことなくのんびりと楽しめました。
この鑑賞用の花火は、江戸時代に起源があるらしく八大将軍の徳川吉宗が慰霊と悪疫退散を祈る水神祭を行って花火を打ち上げたのが始まりということらしいのですが、光と音と振動と、そして煙の香りの総合芸術へと昇華していった花火師とそれを観客として楽しみ支えた民衆の美眼とは素晴らしいものだなぁと感嘆しています。
花火大会の花火を一度でも楽しまれたことのある方ならお分かり頂けると思いますが、最後に大輪を探す一発が打ち上げられ、夜の空に消えてゆき、白い煙が風に流されていくまで、観客は夜空に描かれた何千発もの響宴に圧倒され、言葉を失ったまま、家路につくことになります。どんな修飾語を使っても現せない感動という名の鼓動が、じーんと心のなかに籠ったままです。
今夜は片瀬東浜の新江ノ島水族館前で楽しんでいたのですが、浜辺を埋め尽くした観客が帰途につく姿の向こうに夜の海があり、浜辺に打ちつける波の音がBGMとして流れていました。
夏の夜であれば、この興奮を抱え花火の勢いも手伝って飲みにゆこうかなと思いますが、秋の夜はとても落ち着いた私がいました。
火薬を使った花火という総合芸術が、これからも広がり長く続けばと祈るばかりです。中嶋雷太
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