本に愛される人になりたい(46) フロレンス・ナイチンゲール著「看護覚え書」
前回の「本に愛される人になりたい」はカラシニコフの話で、今回は真逆の看護の話になりました。
子供の頃、世界偉人伝シリーズのような本を読んでいて、ナイチンゲールはとても身近な偉人の名前の一つになりましたが、さりとて、ナイチンゲールについて深く知りたいということもなく、ダラリと生きてきました。
2000年ごろ、L.A.在住時に、ナット・キング・コールのCDを買い、久しぶりに彼の歌を楽しんでいると、「Stardust」の歌詞の一部に、「あ!」と惹かれました。"The nightingale tells his fairytale
A paradise where roses grew"
このナイチンゲールは、ツグミの一種で、サヨナキドリと呼ばれる鳥で、看護の世界を形作ったフロレンス・ナイチンゲールよりも、もちろん古くからこの世に生息している鳥なのですが、この歌詞で歌われるナイチンゲールから、私はフロレンス・ナイチンゲールを想起したわけで、とても個人的な感覚として、フロレンス・ナイチンゲールという人名を思い浮かべると、どうしても「Stardust」のイメージが伴うようになりました。
さて、「看護覚え書」です。
恐らく、世の中の、すべての看護士の方々は、本書を読まれているものと思われ、常識の一部なのだとは思いますが、看護士ではない私にとっては、知らない世界であり、本書を読み進めるに従い、看護という仕事の視線を学ばせて頂きました。
本書で「何かに対して<使命>を感じるとはどういうことであろうか?」と彼女は問います。
父母の介護や看護を託した経験からも、介護士さんや看護士さんたちの献身的な姿を見るにつけ、この使命感というものは、私には立ち入ることのできぬものだと感じていました。
本書を読み下していくと、私には無理で立ち入れぬと思いますが、看護士という職業人の理念が、ひしひしと伝わってきます。詳細はぜひお読みください。
しかし…本書は、1860年に発行されました。その6年前、1854年に勃発したクリミア戦争に、彼女は看護士として従軍します。日本では明治維新の頃です。
幼少期に学際的な教育を施されていた彼女ですが、ある<使命感>に目覚めたのだと思います。
病院に顔を出すと、現代でも数多くの看護士さんたちが走り回っています。人の病に寄り添い、時には人の死を見つめる看護士さんたちの、<使命感>に感謝です。そして、看護士さんたちの<使命感>に胡座をかかぬよう気をつけたいものです。中嶋雷太
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