ビーチ・カントリー・マン・ダイアリー(37)「ウェットスーツと晩秋」
月日が経つのは早いもので、あれだけ猛暑日だ!温暖化だ!と叫んでいたのに、朝晩はめっきり涼しくなりました。
このシリーズの第19話 「ウェットスーツと夏」(5月2日投稿)では、海水温がまだ低そうだとかぶつぶつ言っていましたが、海水温が上がったこの6月から始めた私の30年ぶりのサーフィン復活大会は、毎週二度ほどのサーフィン修行のおかげで、今では2時間海にいて10本はロングライドができるようになりました。昔のサーフィンに使っていた運動神経は眠っていただけのようです。
とはいえ、季節は変わるもの。蝉の鳴き声などすでになく、長い猛暑日のおかげで出番を失ってふらふら飛んでいた蚊もどうやら赤蜻蛉の群の餌になったようで、その姿は消えました。6月はフルのウェットスーツだったのが、夏にはスプリングとなり、9月にはロングジョン。そして10月はロングジョンの上にタッパーと変化しました。
今朝、片瀬東浜の新江ノ島水族館前でサーフィンをしていたのですが、外気温は18度ほどで爽やかな気候だったにも関わらず、思いのほか海水温は低くて足のくるぶしあたりはヒヤリと冷たく感じました。海水温は季節の変化を教えてくれるものですね。
このままだとそろそろサーフィンはできないかと思ったので寒さ対策用のサーフィン用ブーツを購入したものの、11月はなんとかなりそうですが、12月から来年の3月まではどうしたものかと頭を悩ましています。
先日の居酒屋でのこと。ある知人によれば、冬用のフルのウェットスーツを着込んで寒空の下でサーフィンするのは良いが、寒さ対策のために厚い生地のフルのウェットスーツを着込んでいると身体中の血管に圧力がかかった状態になり、サーフィンを終えてウェットスーツを脱ぎ、温かなシャワーを浴びたりすると、血管が切れるという話を聴いてしまいました。真偽のほどは分かりませんが、素人の医学感覚で「なるほどなぁ」と頷いてしまいました。真冬のサーフィンは命懸けなのかもしれませんね。
そんなことを逡巡しているにも関わらず、今日はサーフィンを終えたあとに、お世話になっているインストラクターと相談して、新しいサーフボードを買ってしまい、やる気満々の気持ちスイッチをオンに入れてしまいました。
数ヶ月かけ30年間のブランクを超えようやく元のようにサーフィンができそうになり喜んでいるのも手伝い、やる気満々のスイッチをオフにできない勢いです。
書棚の一角は色々なタイプのウェットスーツ置き場と化してしまい、書棚を見るたびにそれらが目に入るわけですから、「この冬はサーフィンはナシにしよう」とはなかなか思えないまま、スイッチに手をかけるのをズルズルと後回しにする私です。
気候の良い季節だと平日でも数多くのサーファーの姿がありますが、晩秋から翌年春にかけてはその数も激減するので、混雑から開放されるという良い面もありますから、スイッチをオンのままで良いのかもしれませんが、休めば元の木阿弥になりそうでもあり、なかなか踏ん切りがつかない晩秋となりました。人間とは欲望の塊に違いありませんね。中嶋雷太