私の好きな映画のシーン(4)
やはり、だ。あまりにも好きなシーンが多すぎて困っています。シリーズ・タイトルはなるべく狭い方が身のためだと、思う日々です。が、言い出した以上は、セレクションを頑張らねばと思っています。さて、今回は、ジューン・アリスン。『グレン・ミラー物語』の最後のあたりのシーンです。夫グレン・ミラーの戦死の訃報が届いた直後に、ラジオから「茶色の小瓶」が流れ出し、嗚咽を抑えながらその曲を聴くシーンに、小学3年生だった私は、大人の涙を理解したと思います。もちろんテレビで観たのですが、日本での劇場公開は、1954年1月でした。その三ヶ月後に『ローマの休日』が日本で劇場公開されたので、戦争体験者だった父母は、『グレン・ミラー物語』を観て、三ヶ月後に『ローマの休日』を観たはずです。まだ、大人の恋愛を知らぬ私が、父母とテレビで観た『グレン・ミラー物語』のこのシーンで、おそらく、親子を超え、感動を共有したのだと思います。ジューン・アリスンという女優さんは、その後、そんなに有名ではありませんでしたが、気骨ある女性のイメージが今でもあります。ジューン・アリスンという女優さんに出逢えたことは、宝物なのだと、思っています。中嶋雷太