統計検定準1級(最優秀成績賞) 合格体験記

初投稿します。
統計検定準1級に合格しましたので受けたときの感想や勉強方法を記録します。

1. 結果

手ごたえは合格点ギリギリだったので思いのほか点数が取れていてびっくりしました。他の合格体験記を読んでいると問題セットの難易度には結構差があるようですが「統計的推測」は特に易しいセットだったかもしれないです。

※最優秀成績賞をいただきました。

2. 勉強期間

昨年末に第二子が産まれたこともあり、仕事(製造業のデータサイエンス職)と育児に忙殺されながら何とか時間を捻出しました。平日は子どもの寝かしつけが終わってから勉強していましたが疲れすぎて全くできない日も普通にありました。
今年の2月下旬ごろに統計検定準1級を取得しようと思い立ち、以下のスケジュールで進めました。

3月上旬 ~ 4月上旬:基本を身に着けるため統計検定2級向けの勉強をしたうえで4月に統計検定2級を受験、合格(82点)しました。

6月上旬~10月上旬:思い立った割にしばらくサボっていましたが準1級向けの勉強をこの期間でやりました。200時間まではいかないにせよ100~150時間は費やしたはずです。

3. 使ったテキスト

他の合格体験記同様、王道のテキストばかりです。(あの広大な範囲をすべてカバーしている本は残念ながらアレしかないのですが)

I.  統計学実践ワークブック

まずはおなじみ統計学実践ワークブック。購入優先度も学習優先度も一番上。数式の途中を端折っていたり説明も端的すぎて初見だとよく分からない上、32章もあるので心が折れそうですが何度も諦めず読みなおし解きなおす気合と根性が必要です。5~6周くらいはしました。

II. 日本統計学会公式認定 統計検定準1級 公式問題集

PBT時代の過去問集です。これも必須だと思います。
私は問題演習を重ねながら抽象的な概念を理解していくタイプですが、ワークブックの例題だけでは問題数としては全然不足しており、問題演習を積みづらい印象を最後まで持っていました。今のCBTはPBTと出題傾向は違うのでこれが解けたら安心、と油断せず注意して使うべきですが、他にちょうどいい難易度の問題集がそこまでないので問題演習を積むにはよかったです。私は9月(と論述は前日)に2周くらいしました。

III. データ解析のための数理統計入門

準1級・1級向けの本、ということで買いました。これを読んで準1級の勉強しよう、と意味の分からないことを最初はしていましたが最終的には問題演習の不足を補うための問題集として使っていました。ワークブックや公式問題集では出会えない目新しい問題もありやってよかったです。(ノンパラメトリック検定等)
ちなみに本そのものにも著者のサイトにある章末問題の解答集にも無視できない量の誤植があるので要注意です。

IV. その他

YouTubeなどは結構参考にしました。また、とけたろうさんのチートシート(https://toketarou.com/quasi_1_cheatsheet/)はとてもコンパクトにまとまっており通勤中の電車や最終チェックでしっかり読みました。
あと、敵を知る意味(とどうしても傾向が見えづらかったの)で合格体験記は結構読みました。

4. 勉強方法

・6月中旬~9月頭
ワークブックを大体3周しました。お盆休みの1Wは実家に帰省したため全く勉強できず。この時点では当然のことですが後ろの章にいけばいくほど理解が進んでおらず、特に31章のMH法、32章は読んでいないに等しい状態でした。正直どの章を捨てるか考えていました。

・9月頭~9月中旬
平日はワークブック(特に勉強が薄かった28~32章を中心に)、土日でPBT過去問集の論述以外を1.5周しました。問題演習を積むことでこの辺から一気に各章の理解が深まってきた気がします。
また、捨てようと思っていた章は逆に解き方が決まっているためそれさえ理解すれば簡単に解けることに気づき、このあたりで章を捨てるのをやめました。(厳密に言うとCCA等はチラっとだけ見て捨てています)

・9月中旬~10月頭
ワークブックを全般的に復習しつつ、「データ解析のための数理統計入門」の問題や解き残していたPBT過去問集をこなしました。
あと、多変量解析や欠損値処理、時系列解析を中心にpythonで実装し、様々なダミーデータを入れて実際に動作を確認してみました。(私が実装、というよりGithub Copilotが実装やダミーデータ作成をやってくれたのですが…)個人的には良い勉強になりました。
最後の週は学生時代を思い出しながら4×4くらいの行列の固有値・固有ベクトル算出等計算練習も込みで総復習しました。あと、電卓のM+の使い方も覚えました。31歳になって初めて使い方を知りましたが本番でも大いに役に立ちました。
最終的にはとけたろうさんのチートシートに書いてあることは暗記・数式での導出も含めてほぼ全て理解した上で、「CBTは傾向が違う」に一抹の不安を感じながら試験に臨みました。

5. 受けた感想や作戦

どんな問題がでたかは守秘義務がありますので言えませんが、当日解きながら思ったことや解きながら立てた作戦を書きます。

45分で1周する

他の合格体験記を読むと「CBTはワークブック/PBTの類題は少なく傾向が違う」とよく書いています。確かにその通りです。ただ、傾向が違う問題は最初に集中していた気がします。
私の場合、緊張もかなりありましたが最初からいきなり「??」となり少しパニックになりました。パニックになりながらも1問に3分以上時間を費やすのはよくないと考え、分からない問題は飛ばしながらも45分で1周する作戦をたててどんどん問題を解き進めました。(ちゃんと勉強していれば)瞬殺できる問題もしっかり出てきます。怪しい問題は「後から見直す」ボタンでチェックを入れておけばよいです。1問あたりに割ける時間に限りがあるのでさっさと最後までやってから見直しをしっかりやる方が精神衛生上よいと思います。

「ワークブックを隅々までやるべき」の「隅々」とは

「ワークブックを隅々までやるべき」という格言もよく目にしましたが確かにその通りです。ただ、私は甘く見ていました。全ての章を捨てず、各章でやりたい解析の流れの把握だけでなく、重回帰分析における正規方程式、ベイズ法におけるガンマ・ポアソンモデル、確率分布の再生性等、各章で理解すべき内容を数式で全部導出できるレベルできちんと押さえておくことが「隅々まで」と解釈し実際それらはできていました。が、正しい「隅々まで」は「太文字ではなくちらっと書いてある文章の一行まで見落とさず読んでおくこと」を指していました。試験後にワークブックを読み返してそのことに気づきました。

計算量は少ない

計算量は少なかったです。PBT過去問や「データ解析のための数理統計入門」の方がよっぽど多いです。

とりあえず1回受けに行くべきだった

受験料は決して安くはないですがワークブックを1~2周したくらいのタイミングで一度受けに行くことをオススメします。私は一発合格したいというしょうもないプライドが邪魔をして受けませんでしたが、難易度や傾向をつかむには受けたほうが早いです。

最後に

時間がかかった分解放感が大きいです。そして、周りの人もほめてくれたので受かってよかったです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。少しでもこの記事が役に立てばうれしいです。
何か気になる点があれば回答できる範囲で回答しますのでお気軽にどうぞ!


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