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何も出来ていない感覚との戦い

5年前、これまで走り続けていた活力が一気に停止してしまった。

怖いくらい。
何も出来なくなってしまった。

シングルマザーだったので2人の子供が成人するまでとにかくがむしゃらに走り続けていた。

20日連続勤務とかも当たり前で、昼も夜もとにかく仕事があれば食らいついていた。

それをハングリー精神とも思っていたり、連続勤務をする事もただただ頑張りだと真面目に思っていた。

身体を休めるとかの意識もなく、全然大丈夫だと気合と根性でどうにでもなると思っていたし、どこかで休まず働き続けていることも自分スゴイとも思ってしまっていた。

たまに休むと周りから「珍しいね休みなんて」とか言われると、これまでの頑張りをなんだか否定されているような、これまでの頑張りが継続されていないような気分にもなってしまって、意地みたいなもので連続勤務の記録更新に繋がっていたりもした。

夜中まで働くことも、そうだ私は今頑張っているんだとも真面目に思っていた。

とにかく子供たちが自立するようになるまで私は何があっても死ねないって思いを持ちながら子育てをしていた。

しかしいざ子供たちが次々自立して家から巣立っていき、本来なら「やれやれこれからは第二の人生謳歌やんっ」って思っていたはずが、家に帰っても自分ひとりの生活になんだかすごくポッカリしちゃって、自分ひとりのためだけに食事を作ることも適当になってしまうし、自由に好きな事が出来るって意気込んでたはずなのにも関わらず、自由に好きなことが何か全く持って分からなくなってしまっていた。

結局、日々仕事をすることしか分からなくて、新たにわざわざ職場まで変え、自分を更に追い込んでいった。

またここで勘違いの頑張る法則が芽生えてる。

新たなことにチャレンジをして再び頑張ると言うことで、モチベーションを上げてまた頑張っていけばいいって追い込もうとした。

しかし頑張るモチベーションを上げるためだけの転職計画が恐ろしいくらい全くもってやる気が湧いてこない。

あれれ…いったい私は何のために頑張ればいいのか?
全然分からなくなっていってしまった。

これまでアイドリング全開で頑張って走り続けておかないと、止まってしまうとエンジンが故障して動けなくなってしまうってよく言ってたけど、本当にとうとう故障して動けなくなってしまった。

子供達が巣立ち、パートナーとの同居生活を徐々にスタートさせたタイミングとも重なり一気に気が抜けたのか…

どんどん気力が落ち、疲弊していく姿を観かねたパートナーから「少し休んだら?」の声掛けにも耳を傾けず、いや自分自身の気合いが足りていないだけだとまだ更に自分をどうにか追い込み続ける日々を過ごしていたものの、結果、とうとうドクターストップがかかってしまった。

ショックのような気持ちもあったが、どこかでやっとこれで少し立ち止まれるとかと言う想いも確かにそこにはあった。

ただ「ドクターストップ」で仕事を一旦辞めるという選択が、自分自身のココロを想像異常に痛めつけ苦しませる日々の始まりに過ぎなかった。

情けなさ。格好悪さ。惨めさ。

これまで女手ひとつで頑張り続けてきたことさえもまるでなかった事かのように自分を情けなく感じていった。

家で寝込み、気力も湧かず、どんどん落ち込んでいくなんて本当にあっという間のことだった。

頭の中ではずっと働いてないことに対する言い訳のセリフが呪文のように唱えられていた。

お医者さんがダメって言ったから。
家族が心配するから。
パートナーもこれ以上無理をして欲しくないって言うから。
仕事できなくなったのはしょうがないんだって。

家の近所で前職場の人や、仕事中の友人知人を見かけると働いてない自分が恥ずかしく感じて見つからないように隠れたりもした。

偶然人に会うと
仕事は?
今は働いてないの?
今は何してるの?
家にいてるの?

そんな言葉なんて些細な日常会話のひとつなんだろうけど、それが本当に本当に
苦しく感じた。

何もできていない。何もしていない。
怠けてる。ダラけてるだけ。
何の誰の役にも立っていない。
無力 無能 無価値 

そんな感情と罵しり続けてくる自分自身の思考にやられまくる。

生計から精神的にも真面目に支えてくれているパートナーに対してすら
勝手に罪悪感を感じ、それと同時に何かわからない苛立ちが湧き起こり
攻撃的になったり、こんな状態でさえ、もう別れたいとさえ思うようになった。

彼はだた真面目に仕事をして帰ってきて家事のことに対しても何かを言う訳でもなく例え1日中寝てても何も言わず心配してくれてるだけなのに。

ココロの奥底で、私はパートナーに甘えてこんな状態になってる部分もあるんだろうから、別れてまたひとりになろう。
ひとりになったらまた再び無理矢理にでも立ちあがれるようになるかもしれない。と真剣に考えた。

そもそも専業主婦生活もしたことがないから、何をすれば良いのかもわからないまま、元気と活力がある日は手当たり次第色々やってはみるものの、何をやってもこれと言ってパッとしない。

掃除やちょっと手の込んだ料理やお菓子作り。
梅干しとか漬けれるものはいっぱい漬けてみたりして、味噌作りとかもしてみたり。
刺繍や塗り絵に韓国ドラマ。
家の中で出来ることは色々やってみたけど、やはりこんなもんか程度でパッとしない。

友達とも特に会いたいとも思わないし、もともと誘われたら出向くけれど、自ら誘っていくタイプではないし。

誘われて出掛けても、自分がこんな状態の中で、みんなそれぞれ頑張ってる仕事の話とかを聞いていると、また自分は無価値に思えて勝手に落ち込んでいって、人と会っても心から楽しめずにいた。

この無気力、無価値感がこれほど長く自分自身をいじめていくなんて。

あれから、かれこれ5年ほど経っている今も今日も、まだ戦っている最中だ。

当初よりかは、かなり落ち着いて少しづつではあるけど、自分自身を受け入れる事もできてきた。

それでもまだどこかで、わたしの本当にやりたい事、何か使命はないのかと本当の自分のやりたい事探しは今も続いている。




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