![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/154769666/rectangle_large_type_2_979317818c4d6b00c518d1b654422780.png?width=1200)
ラーメン屋で聞こえてきたヤバい話
『いらっしゃいませ〜!』
今日も元気のいい声が出迎えてくれる。
お店はさほど混んでいない。
私は食事に集中したいタイプなので、お昼前の空いてる時間を狙って正解だった。
奥の方の席に案内されて、座るや否やいつものを注文する。
「ラーメン大盛り」
『あい、ラーメン大盛りィ!』
水をセルフで注ぎ、2〜3口で飲み干す。
もう九月というのにやけに暑い日だ。
『あい、ラーメン大盛りでぇす!』
ここはラーメン大盛りがエクスプレスで出てくるので良い。
「いただきます。」
ズズッ ゾゾッ はぁ・・・ うま。
これよ、これ。
『いらっしゃいませ〜!2名さま!』
客が次々とやってくる。これから昼時だ、当然である。
案内された二人客は私の後ろのテーブル席に座り、二人とも豚骨ラーメンを注文した。
残念だったな。ここは豚骨ラーメンはイマイチな挙句、エクスプレスどころか鈍行で来る店だぜ坊ちゃんたち。
タイム イズ マネイ。
そう思いながら私はひたすら大盛りのラーメンを飲み込んでいった。
『いやぁ・・・マジでヤバい事んなっちまって。』
私の耳が反応する。
『あんだよ、またかよ。言った通りちゃんと使ったのか?アレ。』
ついに私は箸を止めてしまった。
『やりましたよ。でもアイツらマジでしつけぇんスよ。』
不穏なワード大盛りが私のラーメン大盛りを超えてくる。
アレってなんだよ早く言え。
『んだよ。サッサとヤッちまえよ。このままだと間に合わねぇぞ?』
私は水を注ぐついでにチラッと後ろを確認しようとしたが、すぐ後ろの大柄な男のぶっとい腕にアートな絵画が施されていたのでそれ以上首を後ろに向けるのをやめた。
『客待たせたらヤベェからな。そこだけは忘れんなよ。』
『へい・・・』
おいおいあんたらが注文した豚骨ラーメンは客待たせることで有名だぜ・・・
この店大丈夫か・・・
私は後ろの客が豚骨ラーメンの遅さにキレて暴れることを想定して再びラーメンを飲み込み始めた。このままだとヤバい気がする。そんな予感がしたのだ。
『大体オメェよ、アレの使い方わかってんのか?まともに使えばキレイサッパリ跡形もなく消せるぞ?』
いよいよアレの性能がヤバい。
『今回タマいくつぐれぇあんだ?』
タタタ タマ!?
『80くらいっス』
それってまさかあの保持しちゃいけない鉛の・・・
『足んねぇな・・・』
足りないの!?
『仕方ねぇなオメェは。俺がクスリ使って消してやるから。いいか、アニキにゃ言うなよ。オレがヤッたって。』
『へぇ!あざス!!』
警察さーーーーん!!はい犯罪!!
「クスリ」出ました!!超大盛り犯罪のニオイがしまーーーす!!
『んだよ、豚骨おっせえな?』
嗚呼・・・ヤバい。
私の大盛りラーメンのスープがまだ少し残っているが命には代えられん。
私はスープを諦め命を守る選択をし席を立とうとした刹那____
『キャベツは繊細なんだぞ?』
キャ?
『わかってますよ。でもどうしても虫食いが止まらねぇんス・・・』
ベツゥ??
『ちゃんと薬使って綺麗な(キャベツ)玉にしてやるからよ。それで120玉くらいはちゃんと納期間に合わせろ。』
『あざっス!!あ、豚骨きた!!いただきます!』
『ここは豚骨がうめぇんだよ。いただきます。』
私は無言でスープを最後まで飲み干して席を立った。
『ありがとうございましたぁ〜!!』
何言ってやがる・・・
ここは大盛りラーメンの一択なんだよ・・・
私はそう心の中で呟くと、思い出せないラーメンの味を深く後悔しながら店を後にした。