晩秋の一宵、川崎市立日本民家園にて。佐渡島相川地方の伝統工芸「裂織り(さきおり)」が実演されていました。着古した着物などの生地を裂き、横糸として織り込む技法で、思いもかけぬ新たな柄布として蘇るそう。佐渡相川といえば連れ合いの先祖のルーツ、いつか訪れたいと思っている彼の地との偶然の巡り合わせに嬉しくなりました。
実際に糸車を回して糸紡ぎをしているのを間近で見るのは初めて。大きな車輪は綿花から糸を繰るための動力源であって、糸を巻き付ける装置ではない(そんなことも知らず)。「普通の糸、お店で⚪︎m300円で売ってるのを見ちゃうとねえ、糸車だったら何時間かかるか」手を止めることなく女性が笑う。それでもふと思う、伝統工芸が博物館の資料としてでなく、これからの時代に新たな意味を持って見直される時代がまたきて欲しい、いやきっと来るはずと。経済効率だけ見ていては、到底気づけない価値がそこに宿っている気がしてならないから。