今日のアウトプット(240827)

おはこんばんちは.

今日のアウトプットです.
自己調整学習について.この分野に触れた文献では必ずと言っていいほど見る名前"Zimmerman"の論文(overviewです)を読んでみました.

論文へのリンク
http://mathedseminar.pbworks.com/w/file/fetch/94760840/Zimmerman%20-%202002%20-%20Becoming%20a%20SelfRegulated%20Learner%20An%20Overview.pdf

タイトル:Becoming a self-regulated learner: An overview.
著者名:Zimmerman, B. J.
ジャーナル&巻号:Theory into practice, 41(2), 64-70
出版年:2002

この論文では,
・生徒の学習における個人差を補う方法としての自己調整についての議論
・学問的な自己調整の本質的な資質の定義
・自己調整過程の構造や機能について
・自分で主体的に学べる生徒へと導くような方法の概観
を軸に構成されています.

以下,私が勝手にここ大事だなと思ったところについての記録です.

自己調整とは

・自己調整とは,知的能力(知能)でも学業的なパフォーマンススキルでもない.学習者が自身の知的能力を学業的なスキルに転移させる自己指示的な過程のことをさす.自己指示的な過程とは,「これはこうしよう!」みたいに自ら方向づけを行うような過程のことなのかな.

自己調整の過程

・自己調整の過程は大きく分けて3つ.
①計画段階(forethought phase)
②実行段階(performance phase)
③自己評価段階(self-reflection phase)
上記3過程を繰り返すことが自己調整の基本.PDCAサイクルを回す的な?

もっと詳しくみてみると
①計画段階:課題の分析(目標を設定したり,戦略的な計画を立てたり),自己動機づけ(自己効力感,結果の期待,内発的な興味など)

②実行段階:自己統制(注意を集中する,想像,自己指導など),自己観察(記録,自己実験,モニタリング)
・「注意を集中する」とは,注意力をうまくコントロールできるように,気が散るような雑音から離れた環境に勉強場所をおくとか.
・「想像」とは,例えば,「bread(パン)」と言う単語を学習するときに「頭の中にパンを思い浮かべる(想像する)」,「自己指導」とは「bread pan」みたく自分でフレーズを作るようなこと.
・自己実験とは,例えば,1人で勉強した方が友達と一緒にやるより効率よくできるのではと仮説を立てて,実際にどっちも試して検証して自分にとって効率の良い方法を探すみたいな.

③自己評価段階:自己判断(自己評価,原因帰属),自己反応(自己満足,自分に肯定的な感情,適応反応,防衛反応)
・テストの点数が悪いとき,それを自分の能力の無さによるものと思うか,自分が不適切な「(学習)方略」を使ったことによるものだと思うかでモチベーションに与える影響が違う.
・自分に肯定的な感情が増えるとモチベが上がる.
・防衛反応とは,テストを欠席したり,履修をやめたりして学習や実行の機会を避けることによって自分を守る.
・適応反応とは,効果的でない学習方略をやめたり,修正したりして学習への有効性を高めるための調整をすること.

生徒を自己調整学習者にする指導の重要性

・現状(90年代後半),生徒に自己調整学習を促そうとする教師はほとんどいない.
・自己調整過程は教えることができて,それが生徒の意欲や達成度の向上につながりうる.
・自己調整過程は,親や教師,コーチ,仲間による指導やモデリング(観察学習)から学ぶことができる.
・自己調整学習者とは決して孤立した学習者のことではない.必要に応じて周りに助けを求めて学習を向上させる.
・生涯学習の観点からも.自己調整学習の過程を指導することは重要.

ひとこと

学びは,学生の間だけにあるものではなくて社会に出ても仕事を覚えたり,学び直しをしたりで生涯にわたり共にあるもの.それでも学び方や学習観を教わる機会は,あまりないという現実(提唱されて20年ほど経った今も).実際に教育現場への介入を行う例はゼロではないのですが,まだあまり一般的ではないように思えます.

引用,参照

Zimmerman, B. J. (2002). Becoming a self-regulated learner: An overview. Theory into practice, 41(2), 64-70.


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