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最後の最後で、勝負強い人にある特徴

今までテニスコーチとして、プロの選手からジュニアまでを指導してきました。この間感じたこと。勝負強い選手にはある特徴があったように思います。


一言で言うと「一歩踏み出す勇気」、これがあった気がします。この勇気は、潜在的な意識と大きく関係して、つまり、咄嗟の時に出る、踏み止どまるか、踏み出すか、その1歩です。


私が考える「一歩踏み出す勇気」を持った選手に関わる特徴は、2つです。1つは、兄弟姉妹の1番上ではない、つまり第1子でないという傾向です。


生育過程で、第1子は、どうしても行動の前にレールを敷かれていたり、行動を制限されたりなどの場面が多く、また、日常的に自分のより下の子に手加減をしなければいけない場面も多く、行動範囲が思考の制限の域から出にくい。


これらは勝負のための決断力を養うという点では、かなりマイナス要素になります。世界で活躍するトップアスリートには、第1子が少ないという実態もあります。例えば、羽生選手、錦織選手、大谷選手、イチロー選手、大坂選手、第2子以降で、つまり、皆、お兄さん、お姉さんがいます。


指導者としては、当然、この家族構成はどうしようもありません。そこで、もう1つの特徴ですが、それは、指導者を含めた周りの家族、友人たちからの影響に関わる特徴です。


要は、接し方のバランスということになるのですが、どういうことかというと。


たぶん、指導者の方々は、生徒に対してどこが良くてどこが悪いのかを常に具体的にアドバイスをしたいと考えると思います。


なぜなら、それは現状を正確に知らせることは、今ある状態の改善することに繋がる指導になるからです。


何が良くて何が悪いかを正確に知らせること、これを続けることで、生徒は間違いなく成長するでしょう。しかし、勝負強い選手に育てるためには、これだけでは不十分なのです。


例えば、ある選手が大きな決断をしたとします。決断とは判断と違って、確率の問題を抜きに行われる決定です。ですから、失敗した時に、批判される可能性が高いのです。


それでも決断に踏み切るためには、心の安全地帯が必要なのです。失敗しても、必ず褒めてくれる人が周りにいるということです。しかし、理屈抜きに全肯定してくれても、効率的な弱点の修正になるとは言えないでしょう。


確かに、良いものは良い、悪いものは悪い、白黒を正確にはっきりさせる指導は必要です。しかし、一方では、どんな結果をも受け入れてくれる心の安全地帯が、無謀かも知れないチャレンジの背中を押してくれる要素になるのです。


今まで接してきた勝負強い選手には、正確なアドバイスをしてくれる人だけではなく、ただただ全てを肯定してくれる天然ぼけのような(失礼ですが)存在が必ずいました。


要するに、絶対的な安心感、信頼感だと思います。失敗した後に、非難されたり馬鹿にされたりすることが、脳裏に浮かぶというより、失敗しても誰か助けてくれる、評価してくれるというといことが、頭に浮かぶ習慣が身に付いている、絶対的な愛を身近に感じている選手は、大勝負でも思い切った判断が出来て、チャンスをものに出来るのだと思います。


周りにイエスマンばかりを揃えても、機械的に評価する人ばかり揃えても、大事な勝負を勝ち切ることは出来ないでしょう。ポイントは、判断と決断のバランスですね。


正確に評価してくれる人は必要ですが、敢えて評価せずに理屈抜きで応援だけしてくれる人の存在も大きいと感じています。

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