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デートでクーポンを使う男を再評価してみる


クーポンやポイントもバカにならないのはわかる

 皆さんは、お店のクーポンやポイントはまめに使いますか?私はあんまり使いません。クーポンはたいてい家に帰ったら捨ててしまうし、ポイントもカードやアプリがむやみに増えるのは好まないので、一部の家電店や服屋くらいに絞っています。

 ですが積極的に使わない側の私でも、紙切れを取っておくだけで次回の買い物で数百円引き、カードを出すだけで何%還元、というのをまめに繰り返していたら、ちりも積もれば山となり、バカにならない金額が浮くというのは理解しています。

 がむしゃらに働けば給料が上がり、終身雇用が保証されていた時代はもはや遠い過去。経済がとても不安定な今の時代には、このようなマメな節約を堅実に行える男性が、将来を共にするお相手として魅力的ですよね。

 という風にならないのは一体どうしてでしょうか?

デートでクーポンを使う男の何がイヤですか?

 デートの時、食事のお会計でクーポンを使う男性はイヤだ。そういう意見はよく聞きます。だけど、クーポンを出す側の率直な意見はきっと、

「そんなもん、紙切れ出すだけで少しでも安くなるんやったら出した方がエエやんけ!第一、全額俺が支払ってるんやから文句言うな!」

 というところだと思います。
(もちろん、実際に発言してしまう男性がいたら絶対にモテませんけど)

 最も、「クーポンがイヤ」と言っている女性達も、たとえばドラッグストアとかのクーポンは使っているでしょうし、インターネットで美容院を予約した時のポイントとかも使っているだろうと思うのです。

 クーポンやポイントがイヤというより、デートのお会計でそれらを使っている姿を見ると何となく、生活感がただよっているというか、何だかちまちました感じで気持ちが冷めるのではないでしょうか。

 将来の生活を共にする(かも知れない)お相手なのに、生活感がただよっているのはイヤとはこれいかに!?というところでありますが、それが人間の心理なのです。人の気持ちは不合理なものなのです。

 生活じみた姿はこの先、必要に迫られていくらでも見ることになるけど、せめてその入り口あたりでは恋愛気分で楽しみたいから、そういうのはなるべく見せて欲しくないのでしょうね。なので、

「僕って堅実で賢い夫になれます!」

 というアピールはむしろ逆効果です。どうしてもクーポン使いたいなら女性の見えないところで手早くお会計しましょう。

クーポンやポイントで得られるときめきがあるのではないか

 ここであえて、クーポンやポイントの使用が生活じみていてイヤだ、という先入観を捨て去り、デートでクーポンやポイントを使うことにより得られる「ときめき」や「特別感」を演出する方法を考えてみましょう。

クーポン編:卵二倍の優しさ

 彼とのドライブデートの帰り道。高速道路を降りた時には既に夜遅くなっていたので、夕食は国道沿いの「なか卯」で軽く済ませようということになった。

 私は「なか卯」ではいつも親子丼だ。隣に座った彼は、何やら辛そうな赤いのがのせられたからあげ丼と、肉うどんのセット。そして生卵。

「はい、これは君に。」

 彼が生卵の入った小鉢を取りあげて、私のお盆に載せた。

「えっ、何で?」

「生卵サービスのクーポンを持っててんけど、僕は別に、今日は卵いらへんから。」

「でも私、親子丼やで?卵とじてるのに卵かけるっておかしいやん?」

「いやいや、それが良えんやって。ここにある銀色のやつで黄身と白身を分けて、黄身を親子丼に載せたらコクが増すんやって。」

 仕方ないので言われた通りにやってみた。確かに、卵の甘味とコクが深まっていつもより美味しい。

「美味しい…。」

「せやろ?」

「何なんそのドヤ顔。」

 この深い味わい。彼がクーポンを持っていなかったら出会えなかった味。卵の栄養と彼の優しさで、私の胸は温かくなったのでした。

ポイント編:一年かけて咲かせたバラ

「ごめんごめん、お待たせー。」

 いつもは早すぎるくらいの時間に待ち合わせ場所に着いている彼が、今日は待ち合わせ時刻ギリギリで到着した。別に遅れたわけでもないし謝る必要は無いのだけど、なんだか不自然に、両手を腰の後ろに隠しているのが気になった。

「はい、これ、プレゼント!」

 突然手を前に出して、私の顔の近くに差し出したのは、色とりどりのきれいな花束。しかもなかなか見ないくらい大きくて豪華な花束だ。

「すごい、きれい…!せやけど、今日は急にどうしたん!?それもこんな豪華な花束…。」

 高かったんとちゃう?と言いかけて言葉を飲みこんだが、言いたかったことを察したのか、彼は微笑んでこう言った。

「いや実は…。これ全額、クレジットカードのポイントで買ってん。」

「えっ、ポイント!?」

「ああ、うん…。僕も社会人で給料もらってんねんから、そら花束やってお金出したら買えるんやけど、それやと何も特別感が無くて味気ないと思って。せやから、一年かけてポイントをコツコツ貯めて、最初の頃のポイントの期限ぎりぎりまで待ってから、貯まった分で買える最高の花束を買ったんよ。けっこう貯まっとったから思いのほか豪華になってもうたけど。」

「もう…!これからこれ持って映画館行くねんで!?」

 我ながら可愛くないことを言ってしまったが顔は笑っていた。それを受けて彼もはにかんだように笑った。花束のバラに負けないくらい赤くなった彼の笑顔を、私はずっと忘れないでしょう。

結論

 クーポンやポイントを使うというのは小さな節約の行為です。もちろん悪いことではないのですが、それをどのようにとりつくろったしても、どうしてもスケールの小さい行いに見えてしまいます。

 女性とのデートのお支払いはクーポンを出さず、女性の財布も出させず、手早く支払って気風の良いところを見せておいた方が得策と考えます。