IT業の「職場専用マッチングアプリ」構想② 「職場」という現実と「マッチング」というゲームとの相性の悪さ
前回の記事:
そもそもの目的が果たせないからボツ
前回記事で提案していた「IT業の職場専用マッチングアプリ」なのですが、記事を書いた後で一晩よく考えてみて、自らボツにしました。
致命的なリスクがたくさん見つかっただけでなく、「内気な人々が社内恋愛に挑戦する助けになれば」という目的が果たせない気がしました。
そもそもの趣旨はこんな感じでした。
「職場で恋愛したくても、誰が独身で恋人がいないかなんてわからない。だったらそれを可視化した上で、ルールの決められたゲームの場に参加してもらえば良い。」
だけどそんなものを作ってしまったら、一般的なマッチングアプリで優位に立てる一部の強者が職場でより優位に立つだけで、内気で自信の無い人たちは蹴散らされてしまうでしょう。
「僕の好きな〇〇ちゃんは、あんな男にだまされないんだ!」
と主張する人もいるかも知れません。そう思うなら挑戦してみれば良い、と背中を押す効果くらいはアプリにあるかも知れません。もちろん価値観は人それぞれですのでマンガみたいな奇跡が無いとも言い切れません。
ですが、貴方の好きな〇〇ちゃんはきっと、多くの人から見て、とても魅力的な女性なのでしょうね。では一度、女性の視点ではどう見えるかを想像してみた時、ご自分はどういう立ち位置にいると思います?
などといらんことを言って現実を見つめさせた時には、
「こんなクソアプリいらんわ!」
って言われるのが目に見えました。
他にも懸念点がいっぱい
「現実世界」という言い方をすると変なのですが、仕事という実に現実的な世界で実際に関わる人間関係の中に、マッチングという一種のゲームを持ち込むのは根本的に危険な気がしてきました。
職場でのプライバシーの問題だけでなく、お断りした相手がストーカー化する危険性、優位な立場を利用した交際の強要、職場の「恋愛対象外」の人たちに好意を持たれていると知ること自体が精神的負担…など。
むしろ、こんなシステムは絶対に作ってはいけないと思うようになりました。
代替案:人事部に仲人を配置してはどうか
職場専用マッチングアプリなどというものを用意した日には、ゲームのルールを定めたつもりが、かえって手の付けられない事態になる。
結局、アプリを用意して法を定めたつもりになっていても、実際には道具を提供しただけに過ぎないのだと思いました。人は人が管理しなければなりません。
だったらアプリではなく、会社の人事部内に専門の部署を設けて、もはやすっかり見かけなくなった「仲人おばさん」の役割を担う専門家を配置してみてはどうか。
その人が自らの経験と勘に基づき、自力では「職場内恋愛」を行えない社員たちの支援を行うのです。
この案も少し考えてみたのですが、やはり無理があるという結論に至りました。
(続く)