「こじらせ」を考える③ モラハラ被害者にも加害者にもならない為に
定義はあいまいだがあちこちに存在する
モラハラ(モラルハラスメント)の定義はあいまいですが、「言葉や態度による精神的な暴力」という説明が最も理解しやすいと思います。正確な定義を知りたくて検索した時、臨床心理関連のサイトが出て来るかと思ったら、検索の上位にあるのはどれも労務関連でした。
確かに「モラハラ」という言葉が聞かれるようになった時、最初は「パワハラ」の派生のような感じで、主に職場で起こるもののように語られていました。
ですが個人的には、恋人や夫婦などで「パートナーのモラハラに苦しんだ。」と、男女関係で話を聞くことが昨今では非常に多くなったと実感しています。付き合った当初は気づかなかったが徐々にその傾向が強くなったという話も聞きます。
本当に付きあった当初はモラハラのそぶりも見えなかったのか、それとも見え隠れしていたが見逃していたのか。事情はそれぞれだと思いますが、可能な限り、相手と深い仲になる前に傾向を見極めるのは重要だと思います。
飲食店での態度
よく聞くのが、パートナーとしての自分に対しての態度は(少なくとも初めの方は)問題無かったけど、全くの他人、例えば飲食店の店員などに対する態度に違和感があった、というものです。例を挙げると、
「料理来るの遅いな」「要領悪いな」などと聞こえるように文句を言う
話している最中に店員が来るといらだったような顔をする
訊き返すときは不快そうに眉をひそめ「は?」と言う
店員や他の客を指して小ばかにしたような冗談を言う
など。
連れの人がそばで見ているにも関わらずそのような態度を取る人は相当危険です。もしかしたらこれでもまだ抑えている方で、一人の時はもっとひどいかも知れません。
異常に嫉妬深い
嫉妬深いのが度を超えているというのも傾向として見られます。これも、自分のパートナーが他の異性と親しく話しているのはあまり気分が良くないという程度なら理解できます。
ですが、後で「お前、あいつに色目使ってただろ!」などと責め立てたり、他の異性の前で目を惹くような格好をするな、出かける先は必ず事前に申告し現地で連絡も寄こせ、などの異常に厳しいルールを課してくるのはモラハラです。
怖い話だが自分もモラハラっぽくなっていたことがある
こうしてモラハラっぽい人の傾向を並べていたのですが、正直に告白すると2年くらい前まで、自分自身モラハラっぽくなっていたことが今思えば何度かあります。男女関係というよりも主に職場で。
その時のことを思えば、何もかもうまくいっていない気がして気持ちに余裕が無かったのが根本原因だったと思います。
相手を自分が救おうと考えるのは難しい
モラハラな傾向がある人たち自身も苦しんでいるのは間違いありません。だからといって、その人たちの助けになりたいからと専門家でもないのに積極的に関わっていこうとするのは危険であり、自分が被害に遭うだけで解決するのは困難です。
そのような相手に関わるのは避けるべきだ、自分が責任を負う必要は全くない、というようなことは、前に紹介した「恋愛依存症」にも書いてありました。
モラハラの被害に遭った場合、職場であれば上司もしくは人事部や総務部の担当窓口に相談する、私生活の場では警察は民事不介入の為、最終的に行き着くのは弁護士への相談でしょうか。
いずれも、第一に被害者を加害者から遠ざけて保護し、その後で加害者は何らかの罰を受ける場合もあります(懲戒、法的措置など)。
その結果、モラハラの傾向がある人は症状が悪化するのではないか。その人たちはいずれどこかで解消するきっかけを見つけることができるのか?考えてみると、現在そのような社会の仕組みがあるとは思えず、恐ろしくなってきました。